【指導参考事項】
自給飼料の栄養価値査定に関する試験
−根釧地方における適草種、適品種の栄養価値査定−
                        根釧農試 作物科

・目 的
 自給飼料とくに牧草の草種別、品種別、刈取番草別、施肥水準別の試料についてInvitro乾物消化率を測定し、栄養価値を推定する。

・試験方法
 1. 供試材料
草     種 品種数 年次 刈取回数 施肥
チモシ− 採草型 6 2、3、4 2 標・多
放牧型 3 4、5
オ−チャ−ドグラス 採草型(1) 3 3
〃 (2) 4 3、4 3
放牧型 4 5
ト−ルフエスク 放牧型 3 2、3、4 5 標・多
シロクロ−バ 放牧型 4 5
アカクロ−バ 採草型 5 2 2
 2. 消化率の測定  TilleyおよびTerry法によるInvitro乾物消化率


・試験結果の概要
 1. Invitro消化率とInvivo消化率との関係は22点の試験について0.883**の相関が得られ、前者がやや高い数値を示した(d=2.88%)
 2. 各草種におけるInvitro消化率は年次、刈取回次およびこれらの相互作用による変動が大であり、刈取回次間の関係は年次により一定の傾向がみられなかった。
 3. 施肥処理および品種による変動は一般に小さく、また、品種×年次あるいは、品種×刈取回次の相互作用が有意である場合もみられたが、品種×施肥処理の相互作用に有意性は認められなかった。
 4. DDM収量は年次による変動がほとんどみられない場合や減少傾向を示す場合等、草種により異なる傾向を示した。刈取回次間の変動が大きく、年次による一定の傾向がみられなかった。

・主要成果の具体的デ−タ−
 Invitro消化率%
チモシ−採草型(6品種平均)
1 66.3 68.3 54.7
2 71.4 61.9 63.8
1 66.8 71.9 54.7
2 73.9 65.8 62.7
チモシ−放牧型(3品種平均)
1 78.3 78.9 68.8
2 74.6 76.1 75.6
3 68 73.2 70.5
4 83.8 73
5 - 81.8 -
1 80.8 76.2 69.2
2 77.5 75.5 77.8
3 72 76.2 74.2
4 82.9 76.2
5 - 80.6  
オ−チャ−ドグラス採草型(1)(3品種平均)
1 64.6 74.4 77.3
2 58.6 68.4 61.9
3 72.1 62.1 62.4
1 68.5 75.9 75.8
2 63.8 70.1 61.6
3 76.7 63.6 63.1
オ−チャ−ドグラス採草型(2)(4品種平均)
1 75.8 74.3  
2 61.6 68.1  
3 63.3 60.8 -
アカクロ−バ採草型(5品種平均)
1 74.3 - -
2 72.8 - -
1 73.8 - -
2 72.2 -  
オ−チャ−ドグラス放牧型(4品種平均)
1   79.2 73.0
2   77.0 68.6
3    62.7 68.0
4    86.5 71.4
5    88.8 68.5
ト−ルフエスク放牧型(3品種平均)
1 75.8 69.1 74.6
2 71.8 71.4 66.2
3 72.0 67.6 64.5
4 66.7 65.7 62.0
5 75.3 68.4 70.8
1 75.1 70.7 65.8
2 70.0 67.7 67.7
3 70.3 67.6 62.0
4 66.0 65.6 62.8
5 72.9 68.5 70.2
シロクロ−バ放牧型(4品種平均)
1 78.9 80.3 85.3
2 80.7 71.2 84.5
3 75.7 79.8 83.0
4 78.9 77.7 81.6
5 78.8 78.5 86.4
1 76.9 79.2 84.3
2 77.4 71.2 81.1
3 75.0 78.4 82.6
4 77.0 77.1 82.3
5 77.7 76.5 85.9

・普及指導上の注意事項