【指導参考事項】
1. 課題の分類  労力手段
2. 研究課題名  麦作団地形成のための大型機械施設の運営合理化調査研究
3. 期 間  (昭和45〜48年)
4. 担 当  道立十勝農試農業機械科
5. 予算区分  道単
6. 協力分担  なし

7. 目 的
 コンバインによる小麦収穫と、それを乾燥調整するドライヤ−施設の総合利用について、運営上の問題点を実態調査により改善しようとする。

8. 試験研究方法
 (1) 調査対象:十勝管内芽室農協のコンバイン、乾燥調整施設を中心として、音更、川西、鹿追、大正の各農協のものについて調査した。
 (2) 調査項目:機械、施設の操業と経営収支、小麦の収穫、乾燥調整行程、小麦の収穫、乾燥調整方式、機械、施設の運営

9. 結果の概要・要約
 (1) 機械、施設の操業と経営収支
 コンバイン、乾燥調整施設であ、小麦が最も多く利用され、その他に豆類、ソバ、米などがある。経営収支は操業率の比較的高い年度で、コンバイン部間は均衝、乾燥部間は赤字、調整部間は黒字である。乾燥部間の赤字の要因は、設備投資額が大きいこと、操業率が低いことである。現行の利用料金で収支を均衝するためには、かなり高い操業率(90〜100%)にする必要がある。補助金部分を圧縮計算すると、収支はかなり改善される。
 (2) 小麦の収穫、監視宇調整行程の分析
 小麦の収穫、乾燥調整行程で能率を最も制約している作業は、乾燥処理であり、その他の作業では、選別、張込みなどである。今後、作業能率を向上するには、乾燥能率をいかに向上させ得るかにかかっているといえる。
 (3) 小麦の収穫、乾燥調整方式の検討
 将来の作業方式は、半乾貯留施設(ドライストア)を主体とした方式であると思われる。その理由は半乾貯留施設は、作業能率が比較的高いこと、バラ貯留、バラ出荷方式に添うものであること、作業経費は従来のものに比べやや高いが豆類、雑穀など他作物にも利用できる機構を有することなどである。
 (4) 機械施設の運営方式
 十勝管内のコンバイン、乾燥調整施設は、ほとんどが農協自身で管理、運営している。しかし一部の農協で行っている地域農民への委託運営方式は、農協と機械施設との結びつきを深める意味でも有効であり、今後検討されるべきである。

10. 主要成果の具体的数字
 表2. 乾燥調整方式と処理能力、所要経費
                  ( )は圧縮計算
項目/
乾燥方式
処理能力
(トン)
搬入量
(トン)
乾燥調整経費 (円/トン)
固定費 変動費



堅型乾燥施設 990 990 9.517
(8.288)
2.174 11.691
(10.462)
横型乾燥施設 660 660 30.604
(18.828)
2.841 33.445
(21.669)
半乾貯留施設 1.100 1.100 12.116
(6.813)
2.031 14.147
(8.844)




サブ施設
堅型乾燥施設
3.600 2441
990
5.820
(5.465)
1.202 7.022
(6.667)
サブ施設
半乾貯留施設
4.367 3267
1100
14.027
(8.684)
1.519 15.546
(10.203)
半乾貯留施設
堅型乾燥施設
2.090 2.090 15.366
(9.481)
1.739 17.105
(11.220)

12. 次年度の計画((成果の取扱い)
 十勝地方の8月の気象は、雲天が多いので、半乾貯留施設単独では、安全性に欠ける。したがって本乾燥機を附設することが望ましい。