【指導参考事項】
1. 課題の分類
2. 研究課題名  水稲露地育苗における被覆資材(二重被覆)に関する試験
3. 期 間  昭和49年
4. 担 当  道立中央農試稲作部
5. 予算区分  水田機械化(道費)
6. 協力分担

7. 目 的
 従来ビニ−ルハウス内の床土水分保持および保湿効果を図るためポリフイルムによる二重被覆が用いられているが、紙筒苗又は簡易マット苗の育苗にポリフイルムを使用した場合、高湿障害などが見られたのでより安全な資材について検討した。

8. 試験研究方法
試験Ⅰ 試験Ⅱ
試験年度:昭和46年     試験年度:昭和49年
供試資材:寒冷紗300# 供試資材:発泡ポリエチレンシ−ト 1mm・2mm・3mm・4mm
播種期:5月7日 温度条件:低温区・・・ポリフィルムの二重被覆で育苗可能な温度にハウスを開閉
供試品種:ゆうなみ 高温区・・・外気温、床内温度に関係なく播種から出芽揃までハウスを密閉
播種期:4月26日
供試品種:ゆうなみ

9. 結果の概要・要約
 試験Ⅰ
 ・寒冷紗の二重被覆はポリフィルムに比べ、保湿力は劣るが過高温の心配もなく安全に使用できる。
 ・ハウス育苗に必要な土壌水分の保水性もポリフィルムよりは劣るが、無被覆の場合より保水力は極めて高く、潅水するときも二重被覆のままで行うことが可能で省力的である。
 試験Ⅱ
 ・発泡シ−トの二重被覆はシ−トの厚さにより若干の差は認められるが、日中の最高地温はポリフィルムより低く、発芽障害になる過高温の危険は少なく、又夜間の保温はポリフィルムと同程度ある。
 ・土壌水分の保水性は、シ−トの回りを土で押さえておくと、ポリフィルムと差はなく、播種から出芽揃までの潅水は殆ど不必要で、育苗管理が省力されるとともに出芽揃まで二重被覆できるので、覆土の持ち上げも見られない。

10. 主要成果の具体的数字
 1) 試験Ⅰの結果
区 分 項 目 5.8 5.9 5.10 5.11 5.12 5.13 5.14 5.15 備 考



ポリフィルム区 最 高 26.7 43.9 33.9 29.0 47.5 39.6 36.3 35.7 5月8日AM9時その
他はAN10時調査
*印は前日PM2時に
潅水40%
最 低    8.0 9.3 11.8 11.2 13.7 14.3 14.0
寒冷紗区 最 高 23.1 38.7 30.1 28.2 37.4 32.7 33.9 33.7
最 低    7.1 7.7 10.5 9.2 10.8 11.3 9.8
無処理区 最 高 22.8 34.7 29.1 27.5 31.4 27.9 31.4 31.3
最 低    5.2 5.6 9.0 7.3 9.0 9.9 8.8


ポリフィルム区

(%)
42.0
(%) (%)
38
(%)
37
(%)
31
(%)
30
     
寒冷紗区 36 34 *36 31      
無処理区 29 16 *32 19      

 2) 試験Ⅱの結果
  温度調査
区 分 最高地温(℃) 最低地温(℃)
4.25 4.26 4.27 4.28 4.29 4.30 4.26 4.27 4.28 4.29 4.30


発泡シ−ト1(mm) 37.0 17.6 23.5 39.5 19.3 38.0 15.0 12.0 11.8 16.5 11.8
    〃 2 36.8 17.2 23.0 38.0 19.7 39.0 15.0 12.2 11.8 15.8 11.5
    〃 4 33.0 17.5 21.5 34.5 21.5 37.5 15.0 12.0 11.8 15.8 11.5
ポリフィルム 39.0 17.5 25.3 40.8 21.5 38.2 14.8 12.0 11.5 15.8 11.3


発泡シ−ト1(mm) 44.3 18.5 24.5 41.3 21.5 43.3 16.0 12.5 11.8 16.3 12.0
    〃 2 44.0 18.5 24.5 41.1 19.5 44.8 16.3 12.5 11.8 16.3 12.0
    〃 4 39.2 17.5 22.2 3.67 21.5 39.5 16.5 12.8 12.0 16.5 12.5
床内温度 39.0 17.0 29.5 41.5 18.0 41.8 10.8 8.3 4.3 11.5 5.5

 稲の調査
項 目 低温区 高温区
発泡シ−ト ポリ
フィルム
発泡シ−ト ポリ
フィルム
1mm 2mm 3mm 4mm 1mm 2mm 3mm 4mm
芽長(播種6日後) (cm) 1.8 2.0 1.7 1.3 1.3 1.5 2.0 2.7 2.1 0.6
健全苗率    (%) 89.3 80.6 85.7 91.3 84.1 87.0 84.9 90.2 87.3 ×

11. 今後の問題点

12. 次年度の計画(成果の取扱い)