【指導参考事項】
1. 課題の分類 水田作 直播 2. 研究課題名 水田直播栽培における発芽促進剤(CaO2)に関する試験 3. 期 間 昭和48〜49 4. 担 当 北海道農試 第1部 稲2研 5. 予算区分 受託 6. 協力分担 |
7. 目 的
カルパ−(CaO2)タチガレンの種子粉衣が直播稲の発芽苗立に対する効果を確かめる。
8. 試験研究方法
試験Ⅰ:水田におけるCaO2の効果
1) 供試品種:「しおかり」 2) 播種量:1.8L/a 3) 試験区:裏面第1表のとおり 4) 播種期:5月16日
5) 栽植密度:30cm×15cm点播(タコ足直播器) 6) 施肥量:N、0.6、P2O50.88、K2O0.48kg/a
7) チウラム粉衣:浸漬籾重量の0.3% 8) 区制:8.6m22区制
試験Ⅱ:低温におけるCaO2の効果
1) 32cm×25cmのパット 2) 栽植密度:パット当り100粒相当散播 3) 温度処理:昼夜とも12℃、15℃27日間 4) その他は試験Ⅰに準ずる(但し施肥は3要素各1g./パット)
9. 結果の概要・要約
〔前年まで〕
CaO2処理によりたとえ被泥しても発芽に支障なく、さらに根の定着が良く、苗立と初期生育の向上がみられ、直播安定のための実用方法の可能性が認められた。
〔本 年〕
(1) 苗立
試験Ⅰ
① 代掻直後播種の場合でもCaO2は効果を示し、その程度はタチガレン粉衣量に応じて効果が上がった。
② 代掻6時間後播種区についてはタチガレンの効果は認めらたが、粉衣量間の差はみられなかった。
試験Ⅱ
① 12℃、15℃ともに代掻6時間後播種の場合には効果は判然としない。
② しかし代掻直後播種区では無処理区に比べCaO2+タチガレン粉衣区の効果は大きく、特に12℃処理で顕著に効果を示した。
③ さらにCaO2単剤に比べタチガレンの混用の効果は12℃区でみられほぼ10%程度の苗立が向上した。
④ 15℃処理では単、混用間の差は判然としなかった。
(2) 生育・収量
初期生育は苗立不良であった無処理で茎数が劣ったが、生育の進行とともに初期の生育差は消去され、収量構成要素および収量に対する差はみられなかった。
(要約)
以上の結果から湛水直播水稲に対しCaO2単剤およびCaO2+タチガレン混用は代掻直後のように濁り水状態で播種した場合に効果的で、たとえ種籾が被泥しても発芽、苗立に支障はなく、さらに根の定着が良くなり初期生育の向上をもたらした。これらの効果は気温が低いほど顕著に現れることから、冷涼気象が持続する年には一層この効果を期待することができる。
10. 主要成果の具体的数字
第1表−苗立歩合と収量(試験1)
試験区 | 出穂期 (月日) |
苗立歩合 (%) |
穂数 (本) |
精玄米重 (kg/a) |
同左比率 (%) |
|
代 掻 直 後 |
CaO225%+タチガレン0% | 8月13日 | 60.0 | 32.0 | 44.8 | 100 |
〃 + 〃 2 | 12 | 62.3 | 31.0 | 44.5 | 99 | |
〃 + 〃 3 | 〃 | 69.0 | 30.7 | 44.8 | 100 | |
〃 + 〃 4 | 〃 | 72.8 | 29.7 | 44.2 | 98 | |
無処理区 | 14 | 43.6 | 32.0 | 43.5 | 97 | |
六 時 間 後 |
CaO225%+タチガレン0% | 8月12日 | 62.5 | 30.0 | 44.3 | 99 |
〃 + 〃 | 〃 | 70.7 | 31.0 | 44.3 | 98 | |
〃 + 〃 | 〃 | 68.9 | 3.3 | 44.2 | 98 | |
〃 + 〃 | 〃 | 70.7 | 30.7 | 45.3 | 101 | |
無処理区 | 〃 | 47.5 | 29.3 | 43.1 | 96 | |
慣行区 | 8月13日 | 62.9 | 30.0 | 44.9 | 100 |
11. 今後の問題点
土壌の種類による被泥厚とカルパ−の効果
12. 次年度の計画(成果の取扱い)
完了