【指導参考事項】
1. 課題の分類  Ⅸ−c 951−2−6
2. 研究課題名  単胚種子の無間引栽培(2)移植
          −てん菜の無間引、苗無選別移植栽培に関する試験−
3. 期 間  昭46〜49年(完)
4. 予算区分  道単
5. 担 当  道立十勝農試 てん菜科
6. 協力分担  北海道農試 てん菜部

7. 目 的
 無間引育苗における播種精度ならびに得苗率を調査し、さらにその苗を無選別移植し、ハ−ベスタ収穫を行い、無間引、苗無選別移植栽培を実証する。

8. 試験研究方法
(1) 播種精度ならびに得苗率に関する調査(昭49年度)
1) 供試材料    solorave
2) 処理区分 ① 播種器:播種板、真空播種器
② 補  播:有、無
③ 慣行以外は無間引育苗
(2) ハ−ベスタ収穫による収量調査(昭49年度)
 上記無間引育苗の苗を無選別移植し、ハ−ベスタ収穫を実施

9. 結果の概要・要約
 (昭48〜49年のまとめ)
(1) 播種精度ならびに得苗率
 1) 欠粒を2%以下にすることができたが、ペ−パ−ポットの展開あるいは播種器の取扱いが適切でない場合には欠粒が多くなることがあり、このような場合には補播を行うことが必要である。
 2) 播種技術ののまずさ、あるいは発芽不良等により期待した得苗率(90%以上)は得られず86%にとどまった。
(2) ハ−ベスタ収穫
 1) 無間引、苗無選別区は慣行区にくらべ約10%程度減収したがロス根の割合は根重で2〜3%であり、実収量には影響少なくハ−ベスタ収穫をしても支障はないものと思われる。

10. 主要成果の具体的数字
 (1) 播種精度ならびに得苗率に関する調査


処理区別 播種精度調査


(%)
得苗率調査
1紙筒当り
播種粒数
(粒)
欠粒
割合
(%)
得苗率
(%)
1紙筒当り苗本数割合(%)
空ポット 1本立 2本立 3本立
以上
48 1 真空
播種器
慣 行 1.20 16   82 0 100 0 0
2 1.0粒播 1.00 22   71 15 67 15 2
3 1.2 〃 1.20 14 91.7 80 13 62 20 6
4 1.4 〃 1.40 13   80 12 54 25 9
5 1.6 〃 1.60 8   81 11 48 28 14
49 1 播種板 慣行(補) 1.23(1.27) 2(0)   87 1 94 4 1
2 普通播 1.29 1   81 16 70 12 2
3  〃 (補) 1.27(1.31) 2(0) 78.9 86 15 63 19 3
4 真空
播種器
 〃   1.31 2   83 17 61 19 3
5  〃 (補) 1.28(1.33) 3(0)   83 16 65 16 3
  注) 1) 補:補播   2) ( )は補播後の数値   3) 1紙筒当り苗本数割合は移植後の調査による。

 (2) ハ−バスタ収穫による収量調査


処理
区別
10a当り 根中
糖分
総本数
(本/10a)
ロス根
本数
( ):%
(本/10a)
総根重
(t/10a)
ロス根
根重
( ):%
(t/10a)
ロス根
本数 根重 糖量 根径
(cm)
個体根重
(g)
48 1 慣行 (6.505) (4.95) (732) (14.81) 6.748 243 (4) 4.99 0.05 (1) 7 158
2 無−A 104 95 97 101 7.310 541 (7) 4.81 0.11 (2) 6 172
3 〃−B 109 89 91 102 7.586 493 (7) 4.46 0.07 (2) 5 112
4 〃−C 118 86 87 101 8.710 1.028 (12) 4.40 0.15 (3) 6 132
5 〃−D 133 88 89 101 9.326 662 (7) 4.44 0.08 (2) 5 104
49 1 慣行 (5.931) (3.48) (544) (15.63) 6.297 366 (6) 3.52 0.04 (1) 5 106
2 無−A 93 95 96 101 6.023 481 (8) 3.37 0.06 (2) 5 122
3 〃−B 96 93 94 102 6.297 595 (9) 3.32 0.09 (3) 5 200
4 〃−C 98 91 92 102 6.390 550 (9) 3.19 0.05 (2) 4 82
5 〃−D 108 101 103 102 6.847 435 (6) 3.56 0.04 (1) 5 105
  注) 1) 収量はロス根(掘り残し、堀りこぼれ)を除く。  2) ( )は実数、他は( )を100とする割合
     3) 無:無間引、苗無選別の意

11. 今後の問題点

12. 成果の取扱い
 昭和49年度北海道農業試験会議(成績会議)に「てん菜の無間引、苗無選別移植栽培に関する試験(追補)」として提出。