| 冬季栽培刈タイナの生育と地中加温電熱容量との関係に関する試験成績 試験年次 昭和48〜49年 北農試作物第2部園芸作物第2研究室 担当者 田中征勝・小餅昭二 |
目 的
施設の冬季利用としての刈タイナの栽培と加温電熱容量との関係について検討を行う。
試験方法
１）は種期：48年12月5、20日、49年1月5、20日の4回。
２）は種量：20mL/3.3㎡
３）地中加温電熱容量：0w、50w、100w、200w/33㎡
４）タチガレン処理：2回目は種以降処理、50g/㎡土壌深さ10cmに混和。
５）栽培条件：ハウス内にビニールトンネル栽培で、栽培期間中夜間はシルバーポリトウで被覆保温管理した。
1区面積は6.6㎡（2回目以降3.3㎡）で収量調査は刈タイナが収穫適期に達した時期から1〜5回調査した。1回の調査面積は0.1㎡を2ヶ所とした。
試験成績の概要
１）栽培期間中の平均最低気地温は戸外気温で-13.3℃、ハウス内-7.3℃、トンネル内無加温区で-1.8℃であった。一方地温は気温より6〜14.5℃高く、無加温区で4.1℃であった。
２）は種から収穫までの日数は40〜50日で加温電熱容量の低下とともに長くなった。
３）刈タイナの無加温栽培は、トンネル内が0℃以下となり、刈タイナが凍結する条件でも収穫までの日数を多く要するだけで、栽培が可能であることが認められた。この場合、3月末までの間に2作するためには10月には種する必要があると推定される。
４）加温栽培における地中加温電熱容量は、刈タイナの生育適温からすれば100〜200w/3.3㎡付近がよく、この場合12月まきでも2作が可能である。
主要試験の具体的データー
| は種 時期 |
電熱容量 w/3.3㎡ |
発芽 始期 |
発芽 揃期 |
収穫 始期 |
発芽から 収穫まで の日数 |
収穫調査時期と収量kg/㎡、（ ）内はタチガレン処理区 | 平均収量 kg/㎡ |
||||
| 12月5日 | 200 | 月日 12.8 |
月日 12.11 |
月日 1.19 |
日 46 |
1月19日 1.95 |
1.95 − | ||||
| 100 | 12.10 | 12.13 | 1.19 | 46 | 1月19日 1.58 |
1.58 − | |||||
| 50 | 12.12 | 12.16 | 1.30 | 57 | 1月30日 1.90 |
2月7日 3.33 |
2月27日 1.43 |
2.22 − | |||
| 0 | 12.16 | 12.21 | 2.16 | 74 | 2月16日 4.85 |
2月21日 5.25 |
2月27日 4.88 |
4.99 − | |||
| 12月20日 | 200 | 12.23 | 12.26 | 2.7 | 60 | 1月30日 2.53（3.25） |
2月7日 2.73（3.07） |
2月27日 0.93（1.28） |
2.06（2.54） | ||
| 100 | 12.24 | 12.27 | 2.7 | 60 | 2月7日 2.53（3.63） |
2月21日 1.63（4.38） |
2月27日 1.38（2.21） |
1.85（3.51） | |||
| 50 | 12.26 | 12.30 | 2.16 | 69 | 2月16日 2.75（3.43） |
2月21日 3.15（3.88） |
2月27日 2.05（3.30） |
2.66（3.54） | |||
| 0 | 12.29 | 1.3 | 3.4 | 85 | 3月4日 3.85（−） |
3月15日 6.70（2.35） |
3月19日 7.30（3.25） |
5.95（2.80） | |||
| 1月5日 | 200 | 1.7 | 1.10 | 2.16 | 43 | 2月16日 3.00（3.30） |
2月21日 2.08（2.83） |
2月27日 1.30（2.05） |
2.13（3.03） | ||
| 100 | 1.9 | 1.13 | 2.21 | 48 | 2月21日 3.00（3.15） |
2月27日 3.80（3.35） |
3月4日 3.20（3.80） |
3.33（3.45） | |||
| 50 | 1.11 | 1.15 | 2.27 | 54 | 2月27日 3.23（2.80） |
3月4日 3.95（3.15） |
3月9日 5.20（4.25） |
3月15日 3.75（5.60） |
4.03（3.59） | ||
| 0 | 1.13 | 1.19 | 3.19 | 74 | 3月15日 8.28（−） |
3月19日 5.80（2.08） |
7.04（2.08） | ||||
| 1月20日 | 200 | 1.23 | 1.26 | 3.4 | 44 | 3月4日 4.13（4.10） |
3月9日 4.25（5.25） |
4.19（4.68） | |||
| 100 | 1.24 | 1.27 | 3.9 | 49 | 3月4日 3.47（1.90） |
3月9日 4.23（5.00） |
3月11日 3.90（4.80） |
3月15日 6.15（6.65） |
3月19日 6.40（6.15） |
4.83（4.90） | |
| 50 | 1.27 | 2.1 | 3.15 | 55 | 3月9日 3.75（3.55） |
3月15日 5.55（5.45） |
3月19日 6.85（4.88） |
5.39（4.63） | |||
| 0 | 1.31 | 2.6 | 3.26 | 66 | 3月26日 7.80（0.28） |
7.80（0.28） | |||||
普及指導上の注意事項
加温栽培では病害（立枯症状）の発生が問題となるので、この対策の検討が必要である。