【指導参考事項】
1. 課題の分類  流通利用
2. 研究課題名  キャベツの貯蔵に関する試験
3. 期 間  昭和46〜48年
4. 担 当  中央農試加工科  土屋弘、印東照彦
5. 予算区分  経常、道単
6. 協力分担  なし

7. 目 的
 キャベツの冬期貯蔵法を確立するために熟度と貯蔵性の関係、及び、収穫後の損傷と貯蔵性との関係を検討した。

8. 試験方法
 試験(1) 熟度と貯蔵性
  1) 同品種の播種期を2回に分け同時に収穫しトレンチ、及び庫内に無包装、ライナ−、シ−トで貯蔵。
  2) 播種期を2〜3回に分け、2〜4品種を用いて同時に収穫し、同一の包装で庫内に貯蔵した。
 試験(2) 損傷と貯蔵性、収穫後の結球を高さ1mよりコンクリ−ト床に落し、頂部及び赤道部を打撃して後、2ヶ月間庫内に貯蔵した。(庫内とは簡易貯蔵庫)

9. 結果の要約
 (1) 冬期間に野外トレンチ及び、簡易貯蔵庫内で無包装、シ−ト、ライナ−貯蔵では、いづれの場合も熟度の進み過ぎたものは貯蔵性が劣った。
 (2) 貯蔵性は熟度の低いものほど高いが、実用上は四季穫、晩抽理想、豊栄中性では6月11日播(11月14日収穫)の熟度のものが優っていた。その熟度は結球頂部が露出し緑色を呈する程度が良かった。
 (3) 結球を高さ1mよりコンクリ−ト床に落下させ頂部を打付けると頂部を通り巾2mm、長さ約8cm、本数3.4本(平均)の裂溝を生ずるが貯蔵2ヶ月後も変色、変質は認められなかった。しかし赤道部を打付けたものは打点よりやや下方に約18cm2の楕円形変色を生じ、その内部は結球葉の3〜5層まで折損や砕損が及び、2ヶ月後には変色、腐敗を生じていた。従って貯蔵用キャベツは収穫後、落下、その他の損傷をうけたものは用いないこと。

10. 主要成果の具体的数字
 表1.












項目/
播種/
処理  (月日)
調査重量歩留(%) 良個数割合(%)
12月 1 2 3 12月 1 2 3


47
無包装 5.23 89.7 80.9 80.4 73.1 100 100 94.7 82.1
6.22 83.9 89.4 78.7 76.2 100 100 100 98.4
ライナ− 5.23 89.5 80.0 80.4 71.0 97.5 94.4 93.7 74.4
6.22 87.6 86.2 84.2 82.0 100 100 100 100
トレンチ 5.23 85.0 82.8 75.6 100 100 91.2
6.22 78.5 79.0 77.4 100 100 100 97.0


48
無包装 6.2 92.0 88.3 86.3 66.0 100 100 100 82.6
6.11 88.6 83.1 83.2 76.0 100 100 100 100
ライナ− 6.2 94.5 90.2 72.4 78.9 100 100 87.5 95.0
6.11 92.2 90.1 84.7 86.7 100 100 100 100
トレンチ 6.2 87.7 79.8 77.0 70.4 100 100 100 100
6.11 81.5 75.3 52.6 71.1 100 100 70.6 100

 表2.


別、







項目/
播種/
品種   (月日)
調整重量歩留(%) 良個数割合(%)
12月 1 2 3 12月 1 2 3


47
四季穫 5.23 89.5 80.0 80.4 71.0 97.5 94.4 93.7 74.4
6.22 87.6 86.2 84.2 82.0 100 100 100 100
豊栄中生 5.23 91.8 89.4 89.7 88.2 100 100 100 85.7
6.22 88.1 86.4 87.0 65.6 100 100 100 18.7
晩抽理想 6.22 90.3 88.1 85.9 81.2 100 100 100 94.1


48
四季穫 6.2 92.0 88.9 86.3 66.0 100 100 76.0 72.0
6.11 91.4 83.3 86.0 79.5 100 100 100 100
6.26 79.5 75.0 77.4 74.4 100 100 100 100
豊栄中生 6.2 91.3 49.2 100 50.0
6.11 88.7 82.4 80.4 54.6 100 100 100 77.3
6.26 84.1 76.6 72.6 71.1 100 100 100 100
晩抽理想 6.2 93.6 87.3 89.3 84.7 100 100 100 100
6.11 92.6 88.5 86.2 83.7 100 100 100 100
6.26 80.5 75.4 76.6 73.1 100 100 100 100
巴晩生 6.2 88.4 71.7 51.0 46.2 100 94.4 68.8 66.7
6.11 85.9 72.8 76.2 69.2 100 100 100 100

 図1. 赤道部を下に落下した損傷


 図2. 頂部を下に落下して生ずる裂落

11. 今後の問題点
 貯蔵の生理、貯蔵病害等の品種間差異の究明

12. 成果の取扱い (普及指導上の注意事項)
 (1) 貯蔵用のキャベツは過熱にならぬよう、播種期を加減する。
 (2)      〃     は落下、打撃など損傷を受けた球は用いない。