【指導参考事項】
1.課題の分類  根釧農試 草地・飼料作 飼料成分
2.研究課題名  イネ科生体2番草の飼料価値とそのTDN・DCP推定法
3. 期 間  昭和43年〜47年
4. 担 当  酪農科(根釧)
5. 予算区分  道単
6. 協力分担  なし

7. 目 的
 2番草の飼料価値を明らかにし、飼料計算、飼料価値評価などの参考資料とする。

8. 試験研究方法
 (1) 2番草の生育日数と飼料価値との関係
   昭和43年から昭和47年までの消化試験成績のうち、1・2番草を6月中に刈取ったイネ科主体2・3番草の資料29点を用い系統的に検討した。
 (2) イネ科草の番草および生育時期別乾物消化率
   
草種 : オ−チャ−ドグラス、チモシ−
前番草の
刈取り時期
1番草 オ−チャ−ドグラス 6月上旬、6月下旬、7月中旬
チモシ− 6月中旬、7月上旬、7月下旬
2番草 オ−チャ−ドグラス 7月中旬、8月上旬
  2・3番草の生育日数:20、40、60、80日
  乾物消化率の測定:Invitro法
 (3) 1番草早刈りサイレ−ジと2番草サイレ−ジの飼料価値の比較
処理および
サイレ−ジ調製:
1番草早刈り、2番草早刈り、2番草遅刈りの高水分サイレ−ジ
飼養試験: 供試牛は1群2頭とし、3×3ラテン方格法によった。
飼料給与: サイレ−ジは飽食量、乾草は2kg、配合飼料はFCMの1/6とした。
消化率の測定: めん羊による
 (4) アダムス方式の2番草への適用性の検討
   昭和43年から昭和47年までの再生草の消化試験成績81点を用い、系統的に検討した。

9.結果
 (1) 再生草においても生育日数が進むにつれ、飼料価値の減少が認められる。その減少割合、傾向は前番草の刈取時期により異なり草の生育が盛んな時期は、その飼料価値の減少割合が大きいが、草の生育が盛んでない時は、飼料価値の変動は小さい。従って、再生草の飼料価値の変動は草丈により推測できると考える。
 (2) 2・3番草のサイレ−ジ・乾草の飼料成分・組成は、1番草に比較して一般に高粗蛋白質・低粗繊維であるが、その割にTDN含量が低く、その組成が、1番草と同程度であれば、2番草の飼料価値は1番草より劣った。
 (3) 再生草のTDN・DCPを粗蛋白質と粗繊維含量から推定する場合、アダムス方式をそのまま用いると実測値より高く評価するので、本試験から求めた回帰式を用いる方が良いと考える。
  TDN=72.10+0.921×粗蛋白質−0.988×粗繊維 (乾物中)
  DCP=1.058×粗蛋白質−6.18             ( 〃 )

10. 主要成果の具体的数字
1・2番草サイレ−ジの飼料価値の比較
試   験
番草・刈取時期 1−早 2−早 2−遅 1−早 2−早 2−遅
サイレ−ジの PH 4.3 4.2 4.0 4.4 4.1 4.8
   〃     粗蛋白質 (%) 15.4 17.9 14.7 13.7 15.9 13.7
   〃     粗繊維   (%) 30.3 29.9 30.8 34.1 30.2 30.5
   〃  有機物消化率 (%) 67.3 57.4 53.4 66.5 62.0 49.4
   〃     TDN    (%) 62.5 54.3 46.8 65.2 59.8 45.8
   〃     DCP    (%) 9.8 11.0 7.4 9.0 10.5 7.7
乾物摂取量 全体    (kg/日) 12.40 12.18 12.16 13.79 13.97 12.46
   〃  サイレ−ジ  (kg/日) 9.28 9.11 8.99 10.52 10.87 9.08
TDN摂取量  〃     (kg/日) 5.81 4.94 4.18 6.85 6.50 4.17
DCP 〃    〃     (kg/日) 0.91 1.00 0.66 0.95 1.15 0.69
体  重           (kg) 563 570 560 602 616 612
乳  量 (FCM)      (kg/日) 12.75 11.25 10.93 14.56 12.79 10.88

11. 今後の問題点
  まめ科草、まめ科主体草の飼料価値およびその推定法

12. 成果の取扱い