1 課題の分類:育苗
2 研究課題:水稲育苗における被覆資材(二重被覆)に関する試験(1)
3 期間:昭和50年
4 予算区分:受託
5 担当:北海道農試 稲第2研究室
6 協力分担:北海道立中央農試、上川農試、
         道南農試、改良課

7 目的:
  水稲育苗二重被覆用資材としてシルバーポリトウを用い、その苗床過剰昇温防止・苗焼け防止の各効果を検討する。

8 試験研究方法:
  (1)二重被覆資材:i)透明ポリエチレンフィルム  ii)シルバーポリトウ80
             iii)シルバーポリトウ90
  (2)育苗方法:簡易マット方式(播種量200cc)
  (3)播種期:i)4月22日  ii)8月14日  iii)8月26日  iv)9月14日
         v)10月11日(なお品種はi)のみかむいもちii〜vはしおかり)
  (4)調査項目:育苗床の最高最低地温、出芽日、出芽以降の苗の生育、発芽率

9 結果の概要・要約(本年)
 (1) シルバーポリトウ80および同90は透明ポリフィルム区に比べて地温は低いが、出芽、草丈伸長が優ることから過剰昇温防止効果を有することが知られた。(表1・2)
 (2) シルバーポリトウ90の透明ポリ区に対する昇温抑制は晴天日では14%と大きいが、曇天日では8%と小さくなる。このことは低温寡照の場合、シルバーポリトウの昇温抑制がかえって温度不足を招く危険性を軽減するのに役立つとみられる。
 (3) シルバーポリトウの最低地温は透明ポリと大差がみられないことからシルバーポリトウによる保温効果は小さいとみられる。(表1)
 (4) 被覆期間の戸外の日最高最低平均気温が18℃以下で、かつ日射量が400cal以下の場合は、シルバーポリトウ90の昇温抑制がかえって温度不足を招き、出芽および苗の生育に対してシルバーポリトウの効果がみられない。(表3、図1)

10 主要成果の具体的数字

表1  苗床地温・外気温・日射量

   最高地温 最低地温 外気温 日射量
透明ポリ シルバー80 シルバー90 透明ポリ シルバー80 シルバー90 日最高 日最低
NO.1 30.9 29.9 28.6 11.0 10.6 10.0 15.1 3.5 569
NO.2 33.2 32.8 31.8 23.0 24.1 23.4 28.9 19.5 361
NO.3 32.5 30.6 31.3 21.3 20.9 20.6 24.8 13.8 428
NO.4 27.7 26.3 25.2 17.2 17.5 17.4 22.5 13.3 278
NO.5 21.2 19.8 19.5 10.7 10.3 10.4 14.2 4.0 392

注)NO.1:播種期4月22日、NO.2:同8月14日、NO.3:同8月26日、NO.4:同9月14日、
  NO.5:同10月11日 表中の価はいずれも播種〜出芽揃迄の4〜7日間平均値


表2  苗の形質(4月22日播種試験)

  草丈 第1鞘高 葉令 乾物重
地上部
透明ポリ 9.2±1.4 2.7 3.2±0.4 46 8
シルバー80 10.0±1.7 2.6 3.3±0.4 48 10
シルバー90 10.2±1.4 2.8 3.4±0.4 53 11


表3  出芽日・草丈

播種日 項目 透明ポリ シルバー80 シルバー90
8月14日 出芽日 8.18 8.17 8.17
除覆3日後の草丈  
8月26日 出芽日 9.30 9.29 9.29
除覆3日後の草丈 4.4±1.0 5.1±1.0 5.9±1.1
9月14日 出芽日 9.16 9.16 9.17
除覆3日後の草丈 5.8±1.6 7.4±1.8 5.6±1.2
10月11日 出芽日 10.21 10.21 10.23
除覆3日後の草丈 3.4±0.6 3.1±0.4 2.0±0.5

図1 シルバーポリ90の効果と被覆期間の気象条件
○:出芽及び苗の生育に関して透明ポリ区より効果がみられた場合
×:出芽及び苗の生育に関して透明ポリ区より効果がみられない場合

11 今後の問題点:シルバーポリの効果が発現する条件の解析をさらに多数事例により検討する必要がある。
12 次年度計画:なし