1.課題の分類 稲作部会 13〜3 2.研究課題名 台風6号水害による冠水程度差が米質に及ぼした影響 −分析調査− 3.期 間 昭和50年 4.予 算 区 分 5.担 当 中央農試稲作部栽培1科 6.協 力 分 担 道農業改良課 北農試栽培第1部作況研究室 空知中央地区農業改良普及所 |
7.目的
台風6号水害による被害水稲の窒素、燐酸、加里含有率ならびに米質に関する理科学的特性を検討する。
8.試験級方法
供試材料 北農試調査サンプル:無(0)、軽(1.5日)、中(3.0日)、甚(40日)
空知中央普及所サンプル:無、24、48、78時間
調査項目 N、P2O5、K2Oの含有率、アミログラムおよびテクスチュログラム特性
9.結果の概要・要約
被害稲の特徴は次のようであった。
1)乾物重は被害の大きいほど茎葉で高く、もみで低い。
2)Nの含有率は茎葉、もみ、玄米ともに、登熟後半被害の大きいほど高く推移した。
3)茎葉のP2O5含有率は登熟後半低下してもみへ移行する。
4)被害中、甚では茎葉のK2O含有率が低下しもみへ移行する。
5)もみへの移行はNにくらべP2O5、K2Oは少ない。
6)搗精歩合は明らかに低下する。
7)アミログラム特性はいずれも低下する。とくに最高粘度、ブレークダウンの低下が甚の被害で著しい。
8)テフスチュウログラムの硬さも低下するが、粘りは大きく低下する。とくに中・甚の被害で著しい。
10.主要成果の具体的数字
N含有率 (%) |
被害程度 | 9月22日 | 10月2日 | ||||
葉 | 茎 | もみ | 葉 | 茎 | もみ | |
無 | 1.27 | 0.99 | 1.67 | 1.15 | 0.73 | 1.48 |
軽 | 1.41 | 0.98 | 1.75 | 0.89 | 0.73 | 1.48 |
中 | 1.68 | 1.29 | 1.82 | 1.29 | 0.94 | 1.65 |
甚 | 1.74 | 1.15 | 1.81 | 1.43 | 1.16 | 1.82 |
サンプル | 被害程度 (冠水時間) |
アミログラム | デフスチュログラム | |||
最高粘度 B.U |
ブレークダウン B.U |
硬さ H |
粘り H-1 |
H/H-1 | ||
北農試 | 無 | 410 | 130 | 4.97 | 3.74 | 6.64 |
軽 | 385 | 130 | 5.46 | 3.40 | 8.03 | |
中 | 365 | 130 | 5.64 | 3.09 | 9.13 | |
甚 | 275 | 95 | 4.69 | 3.28 | 7.15 | |
普及所 | 無 | 430 | 170 | 5.15 | 3.76 | 6.85 |
24 | 410 | 120 | 5.05 | 3.73 | 6.77 | |
48 | 390 | 110 | 4.69 | 3.43 | 6.84 | |
78 | 350 | 70 | 4.65 | 3.16 | 7.36 |
11.今後の問題点
北海道における既往の水害の試験成績は少ない。
12.成果の取り扱い
本調査を含め、指導参考事項として提出。