目的
 8月23日〜24日における台風6号によって石狩空知支庁の水田に被害をもたらした浸冠水が、糊熟期以降水稲の登熟に影響する程度を確認する。

試験方法
 試験実施場所、空知郡北村豊正9三日月排水周辺

試験区 栽培法 品種 土壌型 施肥量
N P K
対照区 稚苗移植 ゆうなみ 土壌 6.4 7.2 6.4
24時間冠水区 5.2 14.2 6.0
48時間冠水区 5.2 14.2 6.0
78時間冠水区 5.2 6.4 6.0

試験成果の概要
 1.調査開始が9月2日でありこれを基準として穂重も増加、摺落し玄米重によって登熟経過を追跡した。
 2.結果としては、穂重、摺落し玄米重ともに冠水時間程度別に低い傾向を示しているが、それなりに増加している。とくに78時間冠水区は登熟の程度も遅れていたことによってその増加は無冠水区と同様な程度であった。
 3.収量は無冠水田を対照としてみると24時間冠水区88%、48時間冠水区で78%、78時間冠水区で41%となった。
 4.粒厚別分布品質については、24時間冠水区以上となると無冠水区からみていづれも1.8mm以下が多く1.9mm以下の玄米が20%以上となる。
   とくに78時間冠水区は2.0mm以上の玄米が15%位となる。品質は冠水田は整粒の不足で等外であった。

主要成果の具体的データ

調査結果
 (1)穂重測定と収量調査

区別 調査
月日
5株当り
平均穂重
左の9月2
日にたいし
ての増加率
5株当り
摺落し
玄米重
左の9月2
日にたいし
ての増加率
成熟期
玄米重
左の
収量比
稈長 穂長 穂数
無冠水区 9/2 131.1 100 102.5 100 cm cm kg
12 144.1 109.9 117.2 117.2          
22 147.6 112.6 118.8 115.9          
10.2 148.0 112.9 121.1 118.1 57.5 14.5 25.5 488.2 (100)
24時間冠水区 9/2 106.6 100 79.5 100          
12 114.4 106.9 90.7 114.1          
22 121.0 113.5 97.1 122.1          
10.2 120.8 113.3 96.9 121.8 56.6 15.2 20.5 429.0 87.9
48時間冠水区 9/2 105.3 100 78.0 100          
12 107.8 102.4 85.1 109.1          
22 106.1 100.7 83.7 107.3          
10.2 105.1 99.8 83.4 106.9 56.5 14.4 20.6 382.4 78.3
78時間冠水区 9/2 84.8 100 55.9 100          
12 89.3 105.3 65.1 116.5          
22 97.8 115.3 73.7 131.8          
10.2 102.6 121.0 76.0 136.0 51.1 15.0 21.2 201.3 41.2

(2)粒厚別分布並に品質

     粒厚別
区分
1.8mm
以下
1.8 1.9 2.0 2.1 22mm
以上
品 質
無冠水区 2.0% 2.6% 10.1% 33.1% 42.4% 9.8% 5等(胴割れをみなければ4等)
24時間冠水 3.1 6.7 17.0 31.6 34.5 7.1 等外規格外甲整粒35%
48時間冠水 4.6 8.8 19.1 32.9 29.4 4.7 等外整粒22.5%
78時間冠水 31.7 29.6 23.7 11.7 3.1 0.2 等外整粒不足

普及指導上の注意事項
 水稲にたいする冠水時間が品質、収量に影響する程度がある程度確認することができた。