指導参考

水稲の障害型冷害危険期の簡易推定法
                    北見農業試験場
                    上川農業試験場
                    中央農業試験場
                    札幌統計情報事務所
                            作況試験室
                    北農試作況研究室
                    北農試イネ第3研究室

目的  障害型冷害の危険期を推定する簡易な方法を確立する。

試験方法
 1.葉耳間長−10cmから+10cmの範囲の幼穂を2〜3cmの間隔で5〜6本以上採取し、FAAで固定した。
 2.各幼穂の穎花を穎花長別に1mmの間隔で群別した。
 3.各穎花長群から30〜50穎花を選び、花粉の発育時期をアセトカーミンでスメアした調査した。
 4.障害型冷害危険期の花粉の発育時期は花粉4分子期から第1収縮期の小胞子初期である。この時期にある穎花割合を算出し、危険期の穎花割合とした。

試験結果
 1.穎花長
    危険期の穎花長の範囲は3〜6mmで、同じ品種でも地域・年次により異なり、危険期にある穎花割合のモード、パターンが著しくことなった(第1図a−c)。
 2.葉耳間長
    危険期穎花が存在する葉耳間長は地域・年次・品種により異なるが、葉耳間長0cmを中心として土5cmの範囲にすべて入った(第2図a−c)。また株全体としても同じであった。
 3.幼穂形成後日数
    これによる判定は園児による変動が大きく、不正確であった。
 4.出穂前日数
    年次による変動は幼穂形成後の日数より小さく、危険期の中心日は出穂期8〜12日であった。

考 察
 1.出穂前日数
    冷温による不稔の発生率は出穂日より異なることは冷害年の調査により確かめられているが、冷温時の花粉の発育時期を推定することはできない。
 2.幼穂形成後日数
    幼穂形成後の調査は繁雑であり、年次による変動が大きく花粉発育時期のこれによる推定は困難であり、最も不正確である。
 3.穎花長
    その測定に多くの労力がかかり、生育条件の異なる圃場での使用は困難である。
 4.葉耳間長
    その測定は非常に簡単であり、しかも危険期の推定は年次・地域・品種を通じて正確である。従って毎年止葉期を生育調査項目の中に加えることが必要である。