スィートコーン「北缶3号」に関する試験成績
                十勝農業試験場
                北海道農業試験場草地開発第2部

育種目標
 早生、多収、良質、穂形良好な軸付冷凍用、生食市場用品種の育成

来 歴
 北海製缶(株)缶詰研究所において、米国ウイスコンシン大学より24自殖系統の分譲をうけ、同年より既存自殖系統との組み合わせ能力の検討を開始。
 昭和47〜50年 生産力検定試験 昭和47年「HLC455」の育成番号を付す。
 昭和48〜50年 道内かく試験機関で地域適応性検定
 組合せ Me123×Ma21547
 Me123:ウイスコンシン大学より導入。
 Ma21547:米国マサチュウセッツ農試においてMe2の自殖により育成

特性の概要
 1.形態的特性
  初期生育はピリカスィート並の中位。分けつ数は少ない。稈長、着穂高はゴールデン・ビュウティ、ピリカスィート並である。有効雌穂数はゴールデン・ビュウティ並であるが、ピリカスィートよりは若干少ない。
 2.生態的特性
  熟性は極早生種のゴールデン・ビュウティより5日内外おそく、ピリカスィートより1日程度おそい早生種である。
  収量はゴールデン・ビュウティより20%内外多く、ピリカスィートより若干少ないが、早生種としては多収である。
  耐倒伏性は中位でピリカスィート並である。また、すす紋病に対する抵抗性は他のスィートコーン品種と同様に弱いが、実際栽培においては多肥栽培が行われるので、ほとんど発病をみない。
 3.雌穂の形態および品質
  早生種としては極めて雌穂長が長く、平均一種重が大きいのが特徴である。また穂揃が極めて良好で上物雌穂の割合が高く、粒列数は平均12.8列であるので外観がよく、軸付冷凍用、生食市場用として好適している。
  粒色は鮮黄色で良く、食味も良好である。また絹糸は苞皮の内外ともに無色である。
 4.採種特性
  種子親と花粉親の開花期に若干の差異があるため播種期を変える必要があるが採種量は早生スィートコーン並である。

品種名 抽糸期
(月日)
収穫期
(月日)
稈長
(cm)
倒伏
(%)
すす紋病 10a当収量 平均
穂重
(g)
有効
穂長
(cm)
穂径
(cm)
粒列数
(行)
有効
穂数
(株/本)
剥皮
穂重
(kg)
GB

(%)
     十勝農試(昭48〜50平均)
北缶3号 8.4 8.29 156 36 1.08 100 127 209 17.7 4.2 12.9
G・ビュウティ 7.30 23 132 0.99 79 100 180 15.1 4.2 12.3
ピリカスィート 8.5 27 157 35 1.15 93 118 182 15.6 4.2 13.3
G・C・B 15 9.11 197 34 1.08 87 110 194 17.8 4.1 11.2
     北海道農試(昭48〜50平均)
北缶3号 7.31 8.22 145 1.1 107 129 211 18.9 4.6 12.7
G・ビュウティ 28 18 125 1.1 83 100 177 16.4 4.6 12.3
ピリカスィート 8.1 24 154 1.2 113 136 218 17.7 4.6 13.2
G・C・B 10 9.5 190 1.2 107 129 186 19.2 4.5 11.9

各試験地における成績(G・Bに対する収量比)

場 所 中央農試 仝原々種 北見農試 上川農試 北海製缶
比量比(%) 123 124 131 114 117
試験年次 昭48〜50 昭48〜50 昭48〜50 昭50 昭46〜50

奨励態度
 生食市場用および軸付冷凍用早生品種として北海道全域のスィートコーン栽培地帯が対象となる。なおこの品種を生食市場用として利用する場全にはさらに熟期の早いゴールデン・ビュウティと組合わせる。

栽培上の注意
 ゴールデン・ビューティおよびピリカスィートの早生品種の栽培法に準じ多肥栽培とすることが望ましい。その場合、栽植密度はやや密にしても穂の形質は低下しないで、10a当り5,500本内外とすることが適当である。

普及見込面積 4,500ha
配付し得る種子量 Me 123   26.5kg    F1 25.1kg
             Ma 21547  24.9kg