【指導参考事項】
場  所(部室名)  北海道農業試験場 作物第1部 稲第2研究室
課  題(試験名)  機械移植時苗令の地域対応性に関する試験
              (2)簡易マット苗の本田生育に関する試験

試験目的
  簡易マット苗の苗質向上と、本田の移植精度を高めるため、簡易マット条播について検討する。

試験方法
 1.育苗:「簡易マット苗の育苗法に関する試験で育成の苗を使用。
 2.本田施肥:N,P2O5,各0.7kg/a,K2O 0.53kg/a
 3.移植:5月26日植、YP-2型 ブロック14mm×14mm
 4.1区面積:38m×2往復(38m×0.6m×4=91.2㎡)
 5.調査:移植精度、左右各々100株(合計200株)
      収量;10m×0.6m×3反復(6㎡×3反復)

試験結果
 (前年度までの成果)
  条播は散播にくらべて欠株および1本植のものが減少し、4本植が多く全般的に移植精度は高まった。
 (本年の結果)
 1.移植精度は、播種量100g/マットの場合、条播が散播にくらべ4本/株を中心に安定した株内本数が得られ、前年同様条播が散播にまさる。
 2.薄播50g/マットは播種ムラ等により、欠株、1本植が比較的多く、播種機の精度と高める必要がある。(移植時における掻取中の問題も含む)
 3.収量は、各播種量とも収量差が大きくなり、570kg/10a前後であった。

主要成果の具体的データ
 第1表 頻度分布(株当り本数)
区  別 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 平均
100g/マット散播 3% 3% 18% 14% 21% 13% 19% 4% 4% 1% 4.1
   〃   条播 1 5 9 16 28 16 13 8 4 1 4.3
75g/マット  〃 0 6 25 20 21 8 11 4 3 3 3.9
50g/マット  〃 8 10 25 23 15 11 5 1 3 0 3.0

 第2表 生育期節および収量
区  別 出穂期
(月日)
成熟期
(月日)
収量
(kg/a)
屑米歩合
(%)
100g/マット散播 8.5 9.21 57.3 11.5
   〃   条播 5 21 57.7 10.5
75g/マット  〃 5 21 56.8 9.6
50g/マット  〃 4 21 56.7 10.4


 第1図 移植精度

総合考察
 寒地稲作安定のためには、苗質向上と移植精度の安定が不可欠であり、簡易マット条播は播種量100g/マットの場合、散播にくらべ移植精度が高く、4本/株を中心に安定した株内本数が得られ、前年と同様の傾向を示し実用性が高い。
 また、播種量が75g/マットでは、欠株はないが1〜2本植が30%を超えており、今後さらに検討が必要である。