【指導参考事項】
1.課題の分類
2.研究課題名  水田除草剤の処理条件と薬害に関する試験及び調査
            Ⅰ 「MCPB」の薬害に関する試験
3.期  間  (昭和52年)
4.担  当  中央農試稲作部、圃場管理科
5.予算区分
6.協力分担

7.目  的
 「MCPB」剤使用による薬害(ロール葉)発生の条件を明らかにする。

8.試験研究方法
育苗法 2: 稚苗、中苗 処理量 1 300g/a
移植時期2: 5月21日、5月31日 供試品種 1 イシカリ
薬剤   2: MCPB粒剤、シメトリン、MCPB3.5粒剤 反復 2
処理時期3: 稲、4葉期、5葉期、6葉期

9.結果の概要・要約
 ①稚苗移植の場合、MCPB3.5剤処理によるロール葉発生は、稲の葉令が、4葉期前後が最も感受性高く、この葉令の時期にMCPBを処理した場合、処理後2週間の平均気温が15〜16℃以下の場合、多く発生する。反面、安全な時期は、葉令、5.5葉以上で、処理後2週間の平均気温が17℃以上ある時と推定された。中苗移植の場合は、稚苗と同じ葉令でも、中苗の発生は少ない傾向である。
 ②ロール葉発生と分けつ構成
 各葉期処理とも、その時期の葉位からの分けつ茎発生に強い影響を与え、作用が強い時には、分けつ抑制が生じ、つぎに分けつが生じたとしても、ロール葉の発生となるこの機巧は次に、その葉期の前後の葉期にも影響を与える。又上位節位への影響よりも下位節位への影響の法が強いようにみられる。ロール葉発生が多い場合は、分けつ抑制もかなりみられる。この傾向は、処理時期が、4葉期処理で強く、又中苗より稚苗で多い。
ロール葉の発生が多いとその分だけ上位節の分けつ発生が増え、穂揃性が悪くなり、全体として生育遅延の傾向となる。

10.主要成果の具体的数字
移植日 処理
時期
処理日
(月日)
ロール葉% 処理後
2週間の
平均気温
(℃)
                     ( )内
分けつ節位別穂数頻度(%)MCPB無処理
MCPB S・M35 3 4 5 6節 7

5月21日 4葉期 6.9 21 5 14.3 40 30 27 44 29
5 〃 17 3 4 16.9 31 64 74 31 5
6 〃 22 1 0 19.0  (53   88    90   40     0)
5月31日 4 〃 13 2 0 14.6 13 26 26 61 32
5 〃 22 4 1 19.0 35 55 38 13 5
6 〃 28 0 0 19.7  (41   69    82   15     0)

5月21日 4 〃 7 2 0 14.9 28 82 95 59 0
5 〃 10 8 2 14.0 8 60 73 48 5
6 〃 17 2 1 16.9  (23   90    95   46     0)
5月31日 4 〃 10 13 3 14.0 15 50 45 28 25
5 〃 17 5 1 16.9 0 13 40 35 13
6 〃 22 0 0 19.0 3 13 40 85 25

11.今後の問題点
  MCPB剤及び混合剤の安全使用時期と、除草効果との関係

12.成果の取扱い上の注意