【指導参考事項】
冬期間における野菜貯蔵法に関する試験
昭和50〜51   中央農試 園芸部

目  的
 ハクサイの貯蔵適性について検討し、貯蔵方法の改善をはかる。

試験方法
 ハクサイの貯蔵(供試品種、板東、オリンピア、仲秋)
 1.気密容器密閉貯蔵時の貯蔵ロス
 2.湿度別貯蔵性
  湿度条件、高温、中温、低温
 3.予措乾燥の効果
   10日、20日間の風乾
 4.播種時期と貯蔵性
  早播(7月19日〜22日) 遅播(7月22日)
 5.外葉用に調整したものと、外葉をつけて貯蔵したものの比較

主要成果の概要
 ①高湿度条件下で貯蔵すると葉の脱落によるロスが大きく、品質も低下する。
 ②湿度に対する反応は品種によって異なり、高湿条件下では、板東、オリンピアの貯蔵性が、仲秋よりも高かった。
 ③中湿度条件下の貯蔵では予措乾燥処理の効果はなかった。高湿度下の貯蔵にはある程度の予措乾燥が必要である。
 ④1月下旬までは早播したハクサイの貯蔵性が高かったが2月下旬では逆転した。
 ⑤外葉をつけて貯蔵することにより、オリンピア、仲秋の貯蔵性は明らかに高まった。

主要成果の具体的データ
 表-1 湿度条件と貯蔵性
湿度 項目
/品種
水分ロス
(%)
葉脱落
によるロス
(%)
重量歩
どまり
(%)
調整
歩どまり
(%)
総合
(指数)
高湿 板  東 13.8 22.1 63.7 63.7 3.2
オリンピア 5.4 28.2 66.7 66.7 2.8
仲  秋 12.8 21.8 48.4 48.4 1.5
中湿 板  東 10.9 17.0 72.1 66.6 3.1
オリンピア 12.2 21.5 66.3 70.4 3.1
仲  秋 11.8 20.9 67.3 58.1 2.2
低湿 板  東 32.0 8.0 60.0 61.8 3.4
オリンピア 26.5 13.2 60.3 55.5 3.5
仲  秋 22.5 9.5 68.0 66.2 2.2

 表-2
品種 播種 項目/
調査日
水分ロス
(%)
脱落葉
数(枚)
全ロス
(%)
調整歩
どまり(%)
総合
(指数)

早播 1.30 6.7 1.6 10.8 74.9 3.8
2.25 7.5 1.8 19.1 70.1 3.2
遅播 1.30 10.3 1.2 17.0 75.9 3.6
2.25 13.3 1.7 20.4 66.9 3.4




早播 1.30 9.8 5.6 21.0 77.9 3.7
遅播 2.25 13.6 5.0 25.0 68.8 3.4
早播 1.30 16.6 3.2 22.4 73.5 3.6
遅播 2.25 14.0 2.3 17.6 64.3 3.7

普及指導上の注意
 ハクサイの貯蔵
①貯蔵期間の目標を設定し、長期貯蔵(92日以上)の場合は品種、収穫期、調整方法、外葉の有無などに十分な注意が必要である。
②湿度管理が必要である。入庫から1か月程度はやや低め(80〜85%)、12月中旬以降からはやや高め(85
〜90%)に湿度を保つようにする。