促成トマトの栽植密度に関する試験

【指導参考事項】
　　　促成トマトの栽植密度に関する試験
昭和48〜51年　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　北農試作物第2部園芸作物第2研究室
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　担当者　田中征勝　小餅昭二

目　　的
　促成トマトの栽植密度ならびに摘心段位と収量との関係について検討する。

試験方法
　2月は種、6〜7月収穫の促成栽培条件下で品種「あかぎ」を主体に実用範囲の栽植密度を中心にしたa当り株数200本から4444本の超密植とし摘心段位は花房数を制限(2万花房/10a)した時は密度に応じて1段から10段とし、花房数を制限しない時は5〜6段とした。は種期は2月10〜15日の範囲で施肥その他の管理は慣行法に準じた。

試験成績の概要
　1)トマトの生育は密植により茎は細く葉は小さくなり収穫後期での枯上りが早かった。
　2)トマトの開花は上位花房ほど早くなるが、栽植密度が早いほど早く、密植により遅くなる傾向が認められた。
　3)開花から収穫までの日数は上位花房ほど短縮されるが、栽植密度が高くなると長くなった。
　4)着果数は上位花房ほど減少したが、密植により減少率を高めた。
　5)1果重は密色ほど減少し、a当り2222・4444株の範囲では販売可能1果重が90〜100gであった。花房間では上位花房での着果数が少ないため1果重はむしろ増大の傾向を示した。
　6)トマトの収量は栽植密度を高めることにより慣行栽培の3〜4倍の収量と　　的に増収し、販売可ならびに早期収量増加も明らかに認められた。
　7)以上の結果から促成トマトの密植栽培は総収量、早期収量増大面から実用性はあると考えられる。この場合のa当り栽植密度は1000株が限界で、早期収量を目標とした場合は2段摘心が有利であり、総収量を目標とした場合は5〜6段摘心(7月下旬を収穫打ち切りとした時)までが有効花房位と考えられた。

普及指導上の注意事項
　実際栽培における密植栽培の導入は、苗立率が増加するので大面積の栽培は問題があり、ハウス栽培の高度利用の一作目としての導入が有利性が高い。
　は種から収穫に至るまでの栽培管理は一段促成トマト栽培法に準じてよい。

主要成績の具体的データー
第1表　花房別着果数と1果重におよぼす栽植密度の影響

試験収穫花房 5^cm×100^cm 10^cm×100^cm 20^cm×100^cm 30^cm×100^cm 40^cm×100^cm 50^cm×100^cm

着果数 1果重着果数 1果重着果数 1果重着果数 1果重着果数 1果重着果数 1果重

試
験
Ⅰ 第1花房 4.2 126 4.0 138 4.6 147 4.6 144 4.6 153 4.8 183

　　2 　　 3.3 125 4.4 139 4.3 151 4.7 162 4.5 174

　　3 　　　　 4.0 151 4.0 167 4.7 179 4.3 164

　　4 　　　　 2.7 168 2.9 173 3.0 171 3.8 176

　　5 　　　　　　 3.5 208 3.6 209 3.3 228

　　6 　　　　　 2.4 168 2.8 178 2.5 193

　　7 　　　　　　　　 2.4 191 2.7 170

　　8 　　　　　　　　 2.8 161 2.9 162

　　9 　　　　　　　　　　 1.3 181

　10 　　　　　　　　　 1.7 151

試
験
Ⅱ 　　1 4.2 112 4.0 137 4.5 133 3.9 154 4.3 152 4.4 160

　　2 2.5 113 3.0 120 4.3 118 3.9 164 4.0 155 4.4 150

　　3 2.5 140 3.7 140 3.8 138 4.0 165 4.5 146 4.4 166

　　4 1.3 125 2.5 137 2.4 158 4.1 183 2.9 171 4.3 168

　　5 1.3 140 1.4 148 2.3 153 2.4 199 2.8 178 3.3 197

　　6 1.8 156 2.2 154 3.1 147 1.9 158 2.3 159 2.8 165

収穫花房 5^cm×45^cm 5×45(90) 5^cm×90^cm 30^cm×90^cm 　

着果数 1果重着果数 1果重着果数 1果重着果数 1果重

試
験
Ⅲ 第1花房 2.1 96 2.5 44 2.7 93 2.3 128

　　2 2.1 87 2.8 99 3.0 90 3.9 126

　　3 2.2 100 2.3 102 3.0 95 4.0 147

　　4 1.8 98 1.9 101 2.5 109 3.3 154

　　5 1 94 1.5 106 2.1 104 1.8 155

第1図　2万花房/10aとした時の収量

第2図　6段摘心した時の収量

第3図　5段摘心にした時の収量

試験	収穫花房	5^cm×100^cm		10^cm×100^cm		20^cm×100^cm		30^cm×100^cm		40^cm×100^cm		50^cm×100^cm
試験	収穫花房	着果数	1果重	着果数	1果重	着果数	1果重	着果数	1果重	着果数	1果重	着果数	1果重
試験 Ⅰ	第1花房	4.2	126	4.0	138	4.6	147	4.6	144	4.6	153	4.8	183
	2			3.3	125	4.4	139	4.3	151	4.7	162	4.5	174
	3					4.0	151	4.0	167	4.7	179	4.3	164
	4					2.7	168	2.9	173	3.0	171	3.8	176
	5							3.5	208	3.6	209	3.3	228
	6							2.4	168	2.8	178	2.5	193
	7									2.4	191	2.7	170
	8									2.8	161	2.9	162
	9											1.3	181
	10											1.7	151
試験 Ⅱ	1	4.2	112	4.0	137	4.5	133	3.9	154	4.3	152	4.4	160
	2	2.5	113	3.0	120	4.3	118	3.9	164	4.0	155	4.4	150
	3	2.5	140	3.7	140	3.8	138	4.0	165	4.5	146	4.4	166
	4	1.3	125	2.5	137	2.4	158	4.1	183	2.9	171	4.3	168
	5	1.3	140	1.4	148	2.3	153	2.4	199	2.8	178	3.3	197
	6	1.8	156	2.2	154	3.1	147	1.9	158	2.3	159	2.8	165
	収穫花房	5^cm×45^cm		5×45(90)		5^cm×90^cm		30^cm×90^cm
	収穫花房	着果数	1果重	着果数	1果重	着果数	1果重	着果数	1果重
試験 Ⅲ	第1花房	2.1	96	2.5	44	2.7	93	2.3	128
	2	2.1	87	2.8	99	3.0	90	3.9	126
	3	2.2	100	2.3	102	3.0	95	4.0	147
	4	1.8	98	1.9	101	2.5	109	3.3	154
	5	1	94	1.5	106	2.1	104	1.8	155