【指導参考事項】
1.課題の分類 水稲
2.研究課題名 乗用田植機の利用実態
3.期  間  昭和52年
4.担  当  農務部農業改良課 中央農試専技室 中央農試農業機械部
5.予算区分
6.協力分担  空知南西部普及所 石狩中部普及所 空知中央普及所

7.目  的
 実用場面での問題点を把握するとともに、走行性の面から検討を加え、乗用田植機の適用条件を明らかにする。

8.試験研究方法
 1)調査場所および機種
①江別市美原   保倉 国夫   ヤンマーYP6000
②長沼町22区   駒谷 薫   ヤンマーYP6000
③美唄市拓北   佐藤庄三郎   ヤンマーYP6000
④長沼町8区   大沢 信行   クボタSPR6000
⑤長沼町14区   土田 武   クボタSPR6000

 2)調査項目  ①作業能率 ②土壌条件 ③移植精度
 3)調査方法  移植全期間を対象とし、この期間の移植実績を作業日誌(農家依託)と個別調査により行った。

9.結果の概要・要約
 (1)作業日誌から得られた移植作業立は、0.14〜0.23ha/hrの範囲内にあり、全体平均では0.18ha/hrであった。機種による差は認められない。
 (2)移植日数は7〜10日間、1日の平均稼動時間は約10〜14時間で、作付け面積が大きくなるほど移植日数、1日の稼動時間とも長くねる傾向がみられる。
 (3)1日の稼動時間内における移植機の稼動割合は、約61〜77%、平均68%となっている。
 (4)個別調査による、ほ場作業能率は、土壌条件が同じ場合、ほ場区画が大きくなるにしたがって高くなるが、30aをピークとして横這いとなる。
 (5)田植機の走行性は、耕盤層の土壌硬度が2.5㎏/cm2前後になると、枕地での急旋回や、後進走行性が加わる旋回をすると、車輪の沈下が著しく、走行が困難となり、2㎏/cm2以下(根曲り竹を庁手で容易に貫入できる)なると直進走行も困難となる。
 (6)苗取り労力は箱マット方式に比べで簡易マット方式は4 〜5倍多く要する。
 (7)田植機を効率よく利用するには、植付け1人、苗取りは箱マット方式1人、簡易マット方式2人、苗補給1人、苗代管理と移植田の水管1人、計5〜6名画必要と考えられる。

10.主要成果の具合的数字

表1 乗用田植機の利用実績(作業日誌)
場所\項目 移植
面積
(ha)
移植
日数
(日)
苗運搬
距り
(㎞)
10a当り
移植マ
ット数
1日の稼
動時間
苗取り
運搬
時間
(hr)
移植
時間
(hr)
休けい
その他
(hr)
移植
作業
能率
ha/hr
江別市美原 8.41 7 0.05〜0.42 28.1 10.90 2.44 7.04 1.36 0.17
長沼町22区 14.76 8 0.10〜0.93 37.1 13.79 8.98 9.28 2.00 0.19
美唄市拓北21線 12.30 10   23.6 10.80 7.58 6.58 2.28 0.19
長沼町8区 9.57 7 0.2〜1.2 26.2 11.57 9.79 8.29 1.59 0.17
長沼町14区 14.30 9 0.5〜1.0 26.8 12.35 9.28 9.50 1.05 0.17

表2 移植作業能率(個別調査)
耕盤

硬さ
ほ場

大きさ
(a)
作業
速度
(m/S)
総時間
(hr)
作業時間割合 ほ場作
業能率
10a当り
マット数
苗補給
回数
移植
(%)
旋回
(%)
苗補給
(%)
停止
(%)
8.5 0.46 0.51 52.4 19.0 27.7 1.0 0.167 26.9 10
15.0 0.47 0.80 57.4 12.1 28.3 2.3 0.189 29.7 12
29.0 0.54 1.32 58.5 7.6 31.7 3.2 0.220 34.9 18
62.0 0.52 2.86 59.1 9.9 29.2 1.7 0.215 21.0 25
32.5 0.48 2.08 51.4 9.2 25.1 14.3 0.156 25.8 24
65.5 0.50 3.88 46.1 11.7 34.0 8.2 0.169 21.6 52

11.普及指導上の注意事項
 泥炭地水田のように耕盤層がないか、コーン(大)(土壌硬度計SR2型)の貫入抵抗が2㎏/cm2以下の水田では、乗用田植機の導入は避けた方がよい。