【指導参考事項】
1. 課題の分類  7 農業施設
2. 研究課題名 道内における新績雪量
3. 期間 49〜51
4. 担当 北農試 機械化第3研究室
5. 予算区分 別枠
6. 協力・分担 なし

7. 目的
   道内においては積雪地帯の雪害,除雪力法,および強風時の障害などが問題になっており,これに耐える講造と材質が要求されるので,外力の大
  きさ,様態などを明らかにし,施設構造物導入に際しての,数量的地域指標の資料とする。

8. 試験方法
 (1) 新積雪深の統計値
  ① 道内主要地区(函館,室蘭,札幌,旭川,網走,帯広)を対象とする。
  ② 月別(1月,2月,3月,4月,11月,12月)新積雪深の最大値
  ③ 統計年(1950−1974(一部1941−1974))
  ④ 最大値の分布(Fisher−Tippetの)を仮定し,再現期待値を計算する。
 (2) 新積雪深の附水量換算値
  ① 道内主要地区(函館,室蘭,札幌,旭川,網走,帯広)を対象
  ② 月別(1月,2月,3月,4月,11月,12月)の降水量換算値
  ③ 統計年(1950〜1974(一部1941〜1974))
  ④ 降水量換算式は(最大新積雪日の降水量(mm)×13+(前日の降水量)×11/24によった。

9. 成果の概要
 (1) 施設強度に関連する外力の道内地区別統計値を以下のとおり求めた。
  1) 従来の資料にない新績雪深の推定値に関して,再現期待値でまとめた。
    (その一例が第1表)
  2) 更に,新積雪深の降水量換算値を求め,同様再現期待値を求めた。(第2表)
  3) その地,年間最大風速,最深積雪Φ再現期待値を求めた。
 (2)対象とする現象に対応して,外力の統計値の地域的傾向が異なる。
   例えば,最深積雪では札幌〜旭川>帯広>函館>網走>室蘭であるが,
  新春雪深では,帯広>札幌>旭川>網走>室蘭>函館は比較的小さい値となる。
   更に,降水量に換算すると,帯広,札幌が大きくついで,室蘭>網走>旭川>函館の順であった。
  なお,再現期待値の意味は,例えば,「第1表中 札幌1月48.3cmとは10年間に/回の確率で1月に48.3cmの新積雪深をみると推定される」ということ
  である。

10. 主要成果の具体的デ−タ

 第1表 再現期間を10年とした場合の月別
     最深新積雪の推定値 (単位cm)
場 所 11月 12月 1月 2月 3月 4月
旭 川 40.2
(4.7)
32.0
(2.7)
36.7
(3.9)
32.0
(3.2)
24.4
(2.5)
22.7
(3.9)
網 走 20.0
(3.3)
22.0
(2.9)
33.1
(3.8)
24.2
(3.4)
21.8
(2.4)
15.6
(2.1)
帯 広 25.9
(4.5)
32.6
(5.0)
46.5
(6.6)
55.2
(9.1)
42.4
(6.1)
24.3
(4.0)
札 幌 28.7
(3.7)
41.7
(5.6)
48.3
(5.5)
38.0
(4.3)
26.5
(2.9)
16.8
(2.8)
室 蘭 8.6
(1.3)
16.6
(3.4)
24.7
(3.8)
22.0
(3.2)
23.7
(4.0)
7.5
(1.4)
函 館 12.5
(2.0)
25.5
(3.5)
19.8
(2.2)
18.6
(2.4)
26.6
(3.7)
7.2
(1.5)
(註) 上段の数値は平均下段( )内は標準偏差を示す。

第2表 再現期間を10年とした場合の月別
     最深新積雪の降水量換算値(単位cm)
場 所 11月 12月 1月 2月 3月 4月
旭 川 15.3
(1.7)
12.0
(1.2)
15.0
(2.0)
12.0
(1.3)
11.8
(1.4)
12.7
(2.3)
網 走 9.6
(1.5)
10.0
(1.5)
18.4
(2.9)
13.2
(2.2)
22.7
(4.1)
13.0
(2.0)
帯 広 13.3
(2.3)
22.6
(4.1)
19.4
(3.1)
33.4
(6.4)
17.4
(2.6)
17.4
(3.2)
札 幌 15.7
(2.0)
20.5
(3.0)
20.2
(2.5)
27.2
(4.7)
17.4
(2.9)
11.0
(1.6)
室 蘭 15.2
(2.9)
10.0
(1.7)
26.7
(5.2)
23.1
(4.0)
19.0
(3.2)
9.7
(2.4)
函 館 12.9
(2.4)
8.1
(1.1)
10.1
(1.5)
8.0
(1.2)
17.9
(3.7)
9.8
(2.0)
注 上段数値は平均値,下段( )内は標準偏差を示す。

11. 問題点と対策
   再現期間内以外の統計値が必要なときは、中間年次の推定値に,別の推定法をとる。その場合補間法が有効である。
 (資料) 施設強度に関連する外力の道内地区別統計値 北農試機3研資料76−10