6.目　　的
　ヘイウェファーの調製ならびに乳牛に対する給与効果等について検討を加え、草地型酪農におけるヘイウェファーの価値を明確にする。
7.試験研究方法
　1)ウェファー調製機(ターラップ・ユニドライTU22)によりウェファーを調製し、その調製能率を調査した。
　2)イネ科主体草よりウェファーと乾草を調製し、その栄養価の差異を比較した。
　3)アルファルファおよびアカクローバ主体ウェファーの産乳価値を比較した。また、ウェファーの濃厚飼料代替効果について検討した。
　4)ウェファーと乾草を乳牛に給与し、その産乳効果を比較した。また、ウェファーと濃厚飼料の産乳価値を比較した。

8.結果の要約
　1)ウェファーの調製能率は、機械の調整状態により大きく変動した。製品1kg当たりの灯油消費量は0.31〜0.52Lであった。
　2)ウェファーは乾草に比較し、粗蛋白質、粗脂肪、NFE含量が高く、粗織維含量が低かった。栄養価はウェファーが乾草より高かった。
　3)アカクローバ主体ウェファーはアルファルファ主体のものより多く摂取され、乳量も多かった。また、1番草ウェファーは2番草のものに比べすぐれていた。
　アカクローバおよびアルファルファ主体ウェファーと濃厚飼料の給与比率において、乳量、乳組成における明確な相異は認められなかった。
　4)ウェファー区は乾草区に比べ乳量および脂肪率、蛋白質率が高かった。
　牧草サイレージの給与時において、ウェファー区と濃厚飼料区間に栄養摂取量、乳量および乳組成に大差はなかった。

9.主要成果の具体的数字

　表1　ウェファーの調製能率

	1年次		2年次				3年次
	アルファルファ 主体	アカクローバ 主体	アルファルファ 主体		アカクローバ 主体		アカクローバ 主体
	1番草	1番草	1番草	2番草	1番草	2番草	1番草	2番草
原料草水分(%)	82.9	87.6	81.1	87.9	86.4	88.0	85.7	84.0
製品水分(%)	15.1	14.9	13.8	17.7	14.3	16.5	18.8	16.0
製品量(kg/h)	435	315	534	426	300	450	677	638
灯油消費量(L/h)	152	150	168	222	150	204	-	-
灯油消費量/製品(L/kg)	0.35	0.48	0.31	0.52	0.51	0.45	-	-

　表2　アカクローバ主体ウェファーとアルファルファ主体ウェファーの比較

	乾物摂取量			DCP 摂取量	TDN 摂取量	乳量	乳組成
	ウェファー	サイレージ	濃飼				脂肪	無脂 固形分	蛋白質
1番刈 アカクローバ主体	kg 8.5	kg 5.0	kg 4.3	kg 1.7	kg 12.2	kg 27.4	% 3.6	% 7.8	% 2.7
2番刈 アカクローバ主体	6.6	5.2	4.4	1.7	11.1	26.0	3.8	7.8	2.7
1番刈 アルファルファ主体	6.7	5.1	4.3	1.4	10.9	26.3	3.6	7.8	2.7
2番刈 アルファルファ主体	5.4	5.2	4.1	1.4	9.8	24.7	3.6	7.7	2.7

　表3　アルファルファ主体ウェファーと濃厚飼料の給与比率

濃飼：ウェファー	乾物摂取量			DCP 摂取量	TDN 摂取量	乳量	乳組成
	ウェファー	サイレージ	濃飼				脂肪	無脂 固形分	蛋白質
100：0	kg -	kg 8.8	kg 3.6	kg 1.3	kg 9.3	kg 17.0	% 3.5	% 8.1	% 2.7
50：50	2.3	8.4	1.7	1.3	8.7	17.3	3.2	7.9	2.6
25：75	3.0	8.3	0.9	1.3	8.4	17.1	3.3	7.9	2.6

　表4　ヘイウェファーと梱包乾草の比較

	乾物摂取量				DCP 摂取量	TDN 摂取量	乳量	乳組成
	ウェファー	乾草	サイレージ	濃飼				脂肪	無脂 固形分	蛋白質
ウェファー区	kg 6.6	kg -	kg 7.1	kg 2.8	kg 2.1	kg 11.4	kg 22.2	% 3.2	% 8.3	% 3.0
乾草区	-	4.1	7.4	2.5	1.7	9.7	19.0	3.0	8.2	2.9
ウェファー3kg区	2.5	-	9.7	2.6	1.8	10.5	20.7	3.1	8.2	2.9

　表5　ヘイウェファーと濃厚飼料の比較

	乾物摂取量				DCP 摂取量	TDN 摂取量	乳量	乳組成
	ウェファー	乾草	サイレージ	濃飼				脂肪	無脂 固形分	蛋白質
ウェファー区	kg 4.1	kg -	kg 6.5	kg 2.1	kg 1.4	kg 8.2	kg 14.8	% 3.1	% 8.2	% 3.1
濃厚飼料区	-	3.1	6.8	2.3	1.3	8.3	14.8	3.0	8.3	3.1

10.指導上の注意事項
　1)ヘイウェファーの飼養価値は原料草により左右される。原料草の草種、刈取時期および番草によって栄養価は異なる。
　2)ヘイウェファーを自由に摂取させた場合、必要以上に摂取することがある。高品質、高栄養価のものを給与する場合には、乳牛の養分要求量をよく見極めて給与する必要がある。
　3)高泌乳時におけるヘイウェファーの濃厚飼料代替効果について、さらに、検討する必要がある。