【指導参考事項】

1.課題の分類　　園芸　果樹 2.研究課題名　　りんごの栽植密度試験 3.期　　　間　　　昭41〜52 4.担　　　当　　　道南農試・白金　茂 5.予算区分　　　道　費 6.協力分担　　　な　し

7.目　的
　デリシャス系りんごの早期多収法の一環としての密植栽培法の資に供するために行った。

8.試験研究方法
(1)供試品種　　　　　スターキング　デリシャス(三葉海棠台)
(2)試験区別　　　　　10a当20樹区(9.0×5.6m)一区　3列　24樹
　　　　　　　　　　　　　10a当40樹区(6.2×4.0m)一区　3列　30樹
　　　　　　　　　　　　　10a当60樹区(4.7×3.5m)一区　3列　30樹
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　各区共　1区制
(3)経過概要
　昭41年春季造苗翌42年移植、44年第2回移植後、46年春季、夫々所定の栽植間隔で本畑に定植した。施肥10a当N5㎏、P3㎏、K5㎏草生。

9.結果の概要、要約
　樹体発育では、幼木時代からすでに栽植密度による影響を受けるもので、その差は樹令に比例して拡大されていくものである。一樹当収量では、20樹区に対し、60樹区は結実初年(8年生)で31%減収、40樹区でも結実2年目で8%減収し、結実5年目では、20樹区に対し40樹区で41%、60樹区では13%の収量に下降し、結実初年から5ケ年間の合計収量では、20樹区に対し、40樹区で64%、60樹区では28%の収量にすぎなかった。
　10a当収量では、20樹区に対し結実初年で40樹区は約3倍60樹区でも約2倍収量を示し
たものの、その後は密植に比例して急速な減収を示し、結実5年目に至ると20樹区に対し、40樹区で81%60樹区では39%と減収を示し、結実初年から5ケ年の合計収量で見ても20樹区に対し、60樹区では57%の収量にすぎず、40樹区では127%でやや増収とはなっているものの、今後を推測すると必ずしも20樹より40樹が有利とは考えられない。
　一果重では、結実初期は区間に大差はないが樹令が進み、密植の程度が増すにつれて、一果重は減少してくる。果実糖度では当初区間に大差はないが、樹令が進むにつれて60樹区の低下が目立ち、40樹区では現在のところ20樹区と差は認められないものの、今後密植の程度が増せば60樹区同様の経過が考えられる。
　以上により普通のデリシャス系品種では、三葉海棠のような台木を用いた場合の栽植密度では、従来の10a当20樹に対し60樹では、明らかに過密であり40樹でも盛果期を考えると必ずしも有利とは、云えないようである。

10.主要成果の具体的数字

項　目			幹周		一樹当				10a当				一果重		一果当 せん枝重		糖度	備考
区別	年度 (S年)	樹令 (年)			果数		果重		果数		果重
			㎝	%	果	%	果	%	果	%	㎏	%	g	%	㎏	%
20樹区	48	8	24.8	100	2	100	0.5	100	38	100	10	100	251	100	2.5	100	-
	49	9	29.4	100	29	100	6.3	100	580	100	125	100	216	100	(4.0)	100	136
	50	10	35.1	100	42	100	8.9	100	840	100	178	100	211	100	5.6	100	117
	51	11	39.7	100	206	100	45.2	100	4120	100	904	100	219	100	9.2	100	12.8
	52	12	43.9	100	81	100	16.0	100	1620	100	320	100	189	100	10.6	100	12.0
	計	-	-	-	360	-	76.8	-	7198	-	1537	-	213	-	31.9	-	12.5
40樹区	48	8	24.9	100	3	142	0.7	143	108	284	27	287	252	100	28	112	-
	49	9	29.3	100	28	97	5.7	92	1100	190	229	183	204	94	(3.5)	88	14.1
	50	10	33.6	96	38	90	7.1	80	1520	181	284	160	189	90	4.2	75	11.7
	51	11	36.6	92	155	75	28.9	64	6200	151	1156	128	186	85	6.4	70	12.6
	52	12	38.9	89	38	47	6.5	41	1520	94	260	81	172	91	8.0	75	12.1
	計	-	-	-	262	73	48.9	64	10448	145	1956	127	187	88	24.9	78	12.6
60樹区	48	8	19.1	77	1	74	0.3	69	84	221	20	206	234	93	0.7	28	-
	49	9	22.5	77	17	59	3.8	61	1020	176	228	182	224	104	(1.0)	25	13.8
	50	10	25.9	74	13	31	2.4	27	780	93	146	82	184	87	1.4	25	11.2
	51	11	28.2	71	72	35	12.6	28	4320	105	756	84	175	80	3.8	41	12.0
	52	12	30.6	70	12	15	2.1	13	720	44	126	39	159	84	4.0	38	11.6
	計	-	-	-	115	32	21.2	28	6924	96	1276	83	184	86	10.9	34	12.1

11.今後の問題点
　矮性台利用

12.次年度の計画

りんごの栽植密度試験　(昭41〜52年)補稿
表1.幹周　(20樹区対照)　　　道南農試

表2.一果重　(20樹区対照)

表3.果実糖度　　　　　（プリックス）

表4.一樹当せん枝重　(20樹区対照)

表5.一樹当果実収量　(20樹区対照)

表6.10a当果実収量　(20樹区対照)