【普及奨励事項】
作物育種
課題の分類  OA
場所名  北海道農業試験場
新品種候補系統名  タマネギ「月交1号」

来歴:
 ウイスコンシン大学から導入の乾腐病抵抗性雄性不稔系統「W202A」を母とし「札幌黄」の一系統から選抜した乾腐病抵抗性系統「F316」を父として組合わせた一代雑種である。F1は昭和51年から3年間、富良野市の乾腐病汚染現地ほ場において生産力、特性検定、北見農試で51年と53年、道央農試で53年に系統適応試験を実施するとともに、53年に富良野の18ヶ所、道内2ヶ所で現地試験を行い、乾腐病抵抗性品種として汚染地帯に有望であることを確かめた。

特性:
1.熟 期 「札幌黄」の晩生系と同等
2.球形質 球形指数0.9前後で「札幌黄」よりやや偏平、表皮は、「札幌黄」よりやや硬く色は褐色で良、球のしまり良。
3.耐病性 乾腐病の抵抗性で発病率は「札幌黄」の3分の1程度、腐病にもやや強いが、灰色腐敗病に対しては「札幌黄」と同程度に発病する。
4.貯蔵性 萌芽、発根は「札幌黄」より遅く、貯蔵性は「札幌黄」より勝る。
5.収量性 球肥大は「札幌黄」と同等かいくらか劣るが長球、分球の発生が少ないため規格内率が高く、規格内収量は一般に「札幌黄」より勝る。

試験成績:
 乾腐病汚染ほ場における成績
年 度 規格内収量(㎏/a) 総収量(㎏/a) 乾腐病発病率(%)
月交1号 北見黄 札幌黄 月交1号 北見黄 札幌黄 月交1号 北見黄 札幌黄
昭51 775 438 465 779 470 503 14.9 46.1 42.5
昭52 520 250 287 520 255 361 15.7 40.9 44.6
昭53 449 263 223 456 327 292 10.0 32.8 24.6
平 均 581 317 325 585 351 385 13.5 39.9 37.2
同 上 比
(札幌黄100)
179 98 100 152 91 100 36 107 100

 地域適応性検定試験
場 所 名 試験年数 場所数 規格内収量(㎏/a) 総収量(㎏/a) 乾腐病発病率(%)
月交1号 北見黄 札幌黄 月交1号 北見黄 札幌黄 月交1号 北見黄 札幌黄
中央農試 1 1 455 379 418 459 383 423 7.4 21.5 22.2
北見農試 2 1 507 473 441 538 528 502 1.8 5.8 8.0
石  狩 1 1 324 220 155 541 470 374 2.9 8.1 11.7
空  知 1 1 281 201 264 314 239 285 2.3 15.4 23.3
富良野下台 1 9 447 - 303 471 - 396 10.2 - 21.0
富良野高台 1 9 456 - 407 490 - 487 0.9 - 3.0
平  均     441 - 349 477 - 433 3.7 - 12.8
同 上 比
(札幌黄100)
    126 - 100 110 - 100 29 - 100

配布予定県:母系統2㎏  父系統0.7㎏

採用予定県:北海道

栽培上の注意:札幌黄の移植栽培に準ずる。

普及態度:乾腐病多発地帯に普及する。