【指導参考事項】
メロン 作型、栽培一般
道南農試
施設野菜の周年栽培体系確立試験
6月どりメロン栽培技術試験
(4)栽培管理に関する試験

2.目 的
 この作型における着果安定および良品生産に資する栽培環境条件について、検討する。

3.試験方法
①温度管理に関する試験
試験区別    加温設定温度16℃(最低の極12℃)、13℃(同9℃)昼温30℃換気の成り行き
   1区30株反復なし
栽培概要    は種期3月1日 定植期4月4日 その他品種試験に準ずる

②水分管理に関する試験
a 生育前期の水分条件に関する試験
試験区別    生育前期(定植〜開花期)の灌水点PF値 6組合せ 5㎜灌水
   1区6株 2反復
栽培概要    は種期3月1日 定植期4月5日 その他品種試験に準ずる

b 生育前期・後期の水分条件に関する試験
試験区別    生育前期(定植〜開花始)と後期(開花始〜50日後)の灌水点PF値5組合せ10㎜灌水
    1区のみ5灌水比較
栽培概要    試験aに同じ
〔供試品種 温室メロン「丸遠3号」、ハウスメロン「北海エース」〕

4.結果および考察
①温度管理
 低温区は、生育停滞し、開花が遅れた。花の着生はやや不安定となった程度であったが着果率が極めて低下した。その後、成熟日数も延伸し、果実品質を劣化した。これらの影響は温室メロンで大きかった。
②-a 生育前期の水分条件
 生育初期(定植後5-15日)の少水分条件は花の着生量および質を低下させた。開花期直前(定植後15〜25日)の少水分条件は着果率を低下させる傾向を示した。開花時における3水準の水分条件と着果性の関係については明らかでなかった。1回当りの灌水量の検討も必要である。
②-b 生育前期・後期の水分条件
 定植環境が不良で活着を停滞させたため、初期主枝葉の小さい生育および良花着生が不安定となり結果が判然としない試験となったが、初期から中期の生育は、多水分条件程、大きい傾向であった。花の着生は差が認められなかったが、開花時も引続き多水分条件とした区で着果率がやや低下した。果実については、後期まで多水分分件(灌水点PF2.0)とした区は肥大が良かったが長型化および果型に乱れが見られた。また、前・後期ともに灌水点PF2.4とした区および5㎜灌水とした区の果の肥大がやや劣った。

5.主要なデータ
①温度管理に関する試験 (50年)
生育・着果性・果実品質
区 別 茎 長
開花時
(月日)
平均
着果日
(月日)
率(%) 着果率
果/良
(%)
収穫期
(月日)
成熟
日数
(日)
果 実 調 査
5月6日 収穫時 平均
果重(g)
果型
等級
ネット 糖度
Brix
16℃ 130 141 5/3.5 5/6.6 90 64 98 6/29.6 54.0 1,705 A〜A' 4.9 14.1
13℃ 91 122 5/10.5 5/12.5 82 40 31 7/16.2 64.7 870 A'〜B 3.8 12.8
16℃ 152 160 4/30.5 5/1.9 80 77 99 6/23.2 52.3 1,533 A 4.8 14.6
13℃ 128 152 5/4.5 5/5.6 72 66 50 7/4.1 59.5 1.134 A'〜B 4.0 13.7

②水分管理の水分条件と着果性 (52年)
 a 生育前期の水分条件と着果性

注) =灌水点PF2.0で5㎜灌水
   −灌水点PF2.2で5㎜灌水
   …灌水点PF2.4で5㎜灌水
   −灌水点PF2.7で5㎜灌水

 b 生育前期−後期の水分条件と生育・着果・果実形質 (53年)


灌水点
P-F値
前−後
5月20日生育 収穫終了時生育
着生率
(8〜12節)
着果率
果/良
平均
着果節
平均
着果日
(5月)
果実調査
茎長
(㎝)
葉面積(100㎝2) 茎長
(㎝)
葉面積 平均
果重(g)
果型
等級
ネット 糖度
Brix
10節まで 24節まで
1 2.0-2.0 142 23.0 88.8 144 107.2 58 38 10.2 14.5 1,145 A' 4.5 11.5
2 2.2-2.2 146 22.4 86.1 149 102.0 43 58 11.3 16.5 1,086 (A)-A' 4.2 11.1
3 2.4-2.4 144 22.1 86.9 145 112.1 57 61 10.6 15.5 1,040 (A)-A' 4.6 11.2
4 2.0-2.4 144 23.2 87.4 146 112.6 60 58 10.0 15.5 1,125 A-A' 4.4 12.6
5 2.4-2.0 147 22.1 86.4 151 113.5 53 64 10.7 16.3 1,130 A'-(B) 4.3 12.0
4' 2.0-2.4 145 23.2 92.2 150 116.8 60 50 10.7 16.0 1,046 A' 4.3 11.6

 4'区は1回当5㎜相当量灌水

6.今後の問題点
 時刻別および生育期別の温度管理、施肥基準の設定、湿度、ガス調節効果