【指導参考事項】
昭和54年度 農業試験会議(指導参考)資料
1.課題の分類  稲作
2.研究課題名  水稲種子催芽の予測条件に関する試験
3.期 間  昭和54年
4.担 当  北農試稲2研
       中央農試稲作部圃場管理科
       上川農試水稲栽培科
       北見農試水稲試験地
5.予算区分
6.協力分担

7.目 的
 水稲種子の催芽に関する適切な予浸方法(水温条件及び予浸期間)を明らかにする。

8.試験研究方法
<試験1>水温調節に浸種し、次の処理を行った。1区300粒。
区 分 予 浸 日 数 備 考
16.7 10 8 7 6 5.6 5 4.5 4 3 2 1 このほか
①予浸なし
②12℃4日后6℃2日処理
③6℃6日后12℃2日処理
を設け、合計51区とした。
一定温 6        
10        
12          
14          
18              
22              
26                  
日変温 8hr18℃
16hr6℃
         


<試験2>ハトムネ催芽機を用い次の処理を行った。1区1袋(5㎏)。但し①は11袋。

区 番 号
予浸温度・日数 13℃×4日 10×7 10×6 16×3 16×2 (10×4)+(16×1)
Σ(T-5℃) 32℃ 35 30 33 22 31
Σ(T-12℃) 4℃ - - 12 8 4

2)供試品種:<試験1>イシカリ  <試験2>ともゆたか
3)催芽:予浸后直ちにハトムネ催芽機(32℃)催芽
4)調査項目:予浸后のもみ含水準、
未発芽・ハトムネ発芽・過伸の各もみ数歩合
◎その他の試験は別刷成績書参照

9.結果の概要・要約
 1)水稲種子催芽時の予浸条件に関して、従来言われてきた積算水温100℃の条件は必ずしも適切ではなく、本試験の結果より、ハトムネ催芽籾歩合を高めるためには、有効積算水温Σ(T-5℃)≧20℃、Σ(T-12℃)≦10℃の範囲での予浸が適当と考えられた。
 2)有効積算水温が上記の範囲内であっても、浸種水を更新せず長期間予浸することは、水中O2濃度や発育抑制物質の影響から好ましくない。市販のハトムネ催芽機を用いるならば13℃4日程度の予浸がハトムネ催芽籾歩合を高める。
 3)但し、道内の品種のうちでも品種内差が見られないので、個々の品種の発芽特性を把握した上での予浸操作が重要と考えられる。

10.主要成果の具体的数字
<試験1>

図1.予浸日数、予浸時平均水温とハトムネ発芽歩合

<試験2>
表1.予浸条件と催芽程度
区番号 水温制御16時間後 (%) 同左20時間後 (%)
適伸籾 過伸籾 未発芽籾 催芽率 適伸籾 過伸籾 未発芽籾 催芽率
76.7 13.1 10.2 89.8 62.2 32.6 5.2 94.8
74.4 10.7 14.9 85.1 64.5 26.7 8.8 91.2
81.1 3.0 15.9 84.1 72.3 18.7 9.0 91.0
74.4 16.9 8.7 91.3 55.5 39.1 5.4 94.6
69.1 4.1 26.8 73.2 72.4 19.6 8.0 92.0
71.6 13.6 11.8 88.2 57.7 35.3 7.0 93.0

11.普及指導上の注意事項
 適正な選別を行った良質種子を用いることが原則である。