【指導参考事項】
1.課題の分類  水稲
2.研究課題名  水稲機械移植用成苗ポット苗(成型丸型)に関する試験
         (5)活着性に関する試験
3.期  間  昭53〜54
4.予算区分  受 託
5.担  当  北農試稲第2研究室
        中央農試稲作部圃場管理科
        上川農試水稲栽培科
        北見農試普通作物科
6.協力分担  道南農試作物科
         農業改良課

7.目 的
 成苗ポット苗(成型丸型)の活着性について検討する。

8.試験研究方法
場 所 年度 品 種 播種期 移植期 冷水処理条件
北農試 53 ゆうなみ 4月21日
(成苗4.27)
5月26日 12℃
中央農試 54 ともゆたか 4月17日
(稚苗4.28)
5月25日 冷水かけ流し11.5℃(23日)
日中5〜8時間かけ流し
上川農試 53 イシカリ   5月22日 灌がい水のかけ流し(平均11.3℃)
54 イシカリ   5月16日
5月21日
 
北見農試 53 はやこがね 4月12日 5月18日  
54 はやこがね 4月16日 5月21日  

9.試験結果および考察
 1)北農試(表1)では移植21日における生育進度は成苗ポット苗が最も優り、成苗、出光成型ポット苗を凌駕している。
 2)中央(図1)では成苗ポット苗が他の育苗様式より、草丈の増加率、分けつ数、発根量において優り、葉数の測定値は優るが増加率はやや小さく、乾物重も大きいが増加率では大差はなかった。
 3)上川では移植10日後の枯葉率は成苗ポット苗は殆んど枯葉しないのに対し、成苗は冷水田で51%の高い枯葉率を示した。また乾物増加量および発根量は他の育苗様式より優る。移植後の分けつ発生(図3)は示すとおりで、他の育苗様式より初期分けつの発生が旺盛である。
 4)北見(表2)では移植17日後の生育は成苗と同程度で葉数または、分けつで簡易中苗より優る。
 5)以上の結果から成苗ポット苗の低温による枯葉も少なく他の育苗様式よりも活着性は優る。

10.主要成果の具体的数字
表1.移植21日後の生育(12℃)  (53年 北農試)
区   別 草 丈 葉 数 茎 数 乾物重(㎎) 地上部・乾物重
増加率(%) 増加率(%) 増加率(%) 地上部 増加量(㎎) 増加率(%)
成苗ポット苗 18.3 144 4.9 114 2.0 95 120.0 8.8 70.6 243
成   苗 15.9 124 4.5 118 2.0 111 83.8 8.8 41.6 199
出光ポット苗 16.1 1335 4.3 123 1.5 115 74.0 6.5 40.8 223
型 枠 70% 16.6 129 4.1 111 1.3 118 55.8 5.6 26.9 193
箱 中 苗 15.2 128 3.9 126 1.0 100 46.4 5.7 25.1 218
簡易中苗 15.4 134 4.0 118 1.4 127 61.8 4.5 38.1 261


図1.移植25日後の苗形質増加率 (45年 中央)


図2.乾物重増加率 (移20日後)


図3.移植後の分けつ変動 (昭53年)

表2.移植17日後の生育 (北見)
項  目 昭 53 年 昭 54 年
区  別 草丈
(㎝)
葉数
(葉)
分けつ
(本)
乾物重(g/100本) 草丈
(㎝)
葉数
(葉)
分けつ
(本)
乾物重(g/100本)
地上部 地下部 地上部 地下部
成苗ポット3 18.9 5.8 0.36 5.20 2.63 16.6 5.4 0.97 7.77 4.17
成苗ポット4 19.0 5.9 0.32 4.61 2.58          
成   苗 19.1 5.6 0.25 6.29 3.34 15.9 5.1 0.81 6.77 3.40
紙 筒 苗           15.1 4.9 0.94 6.30 3.50
簡易中苗 18.5 4.9 0 3.28 1.53 16.1 4.3 0.02 4.63 2.46