【指導参考事項】
1.課題の分類  農用地の基盤
2.研究課題名  転換畑の排水方法について
3.期  間  昭54〜57
4.担  当  北海道農試 農業土木研究室
5.予算区分  別枠・経常
6.協力分担  な  し

7.目  的
 転換畑が作物の正常生育可能な土壌水分環境であるためには、一筆ごとの適切な地表・地下排水対策とともに、水田・転換畑の混在するある程度まとまった広さを持つ地区全体の排水対策を考えねばならない。すなわち転換畑自体の排水特性とともに、地区全体の流出特性をは握し、適切な排水計画や耕地組織計画を樹立する必要がある。以上の視点から、北海道の大型水田転換畑地区の排水実態調査を実施し、転換畑および転換畑地区全体の排水対策を検討する。

8.試験研究方法
 泥炭地水田地帯ホ場整備地区内の転換畑・水田の地下水位変動を実測した。
ホ場区画は、150m×30mであり、地表下0.7〜1.0mの位置にφ70mmの塩ビ管暗キヨが、長辺方向に4木施工してある。暗キヨ排水は各筆ごとの水コウを通じて明キヨ排水路に落ちている。土層断面は0〜30cmが客土した植壌土、30〜60cmが植壌土混りの泥炭、60cm以下は泥炭であった。

9.結果の概要・要約と次年度の計画
 図に示すように、7月以前の水田・転換畑の地下水変動は大きな差異がある。これは水田たん水期間中のため水田暗キヨ水コウが閉じられていたためであり、転換畑面積割合に応じた地区排水流出特性の変化(ピーク流出強度や単位用水量の変化)を示唆するものである。8月中旬以後は落水のため水田暗キヨの水コウも開かれ、水田・転換畑とも同様な波状の地下水変動がみられる。しかし約10日おきの多量の降雨により、転換畑地下水位は上昇傾向をたどっている。これは降雨量と地区内排水能力から決定される地下水位形成過程を示すものと考えられ、暗キヨや営農排水による転換畑各筆の排水能力をいかに高めようとも、転換畑地下水位は確率雨量に基づく地区内計画排水量の大小に左右されるといえよう。
 次年度は、転換畑の地表・地下流出特性と、排水路系における流出特性の調査を実施し、水田・転換畑混在地区の系統的な排水計画樹立のための技術的資料を得る。

10.主要成果の具体的数字
図 雨量と地下水位変動(泥炭地水田)