【指導参考事項】
1.課題の分類  十勝農試 経営方式 農地 畑作
2.研究課題名  畑作−酪農間における麦稈−堆厩肥の適正
           交換比率
3.期  間  昭和49〜53年
4.担  当  十勝農試農業機械科
5.予算区分
6.協力分担

7.目  的
 近年、畑作・酪農間で麦稈と堆厩肥を交換しあう例が多くなっているが、交換によって双方がメリットを受けられるような交換比率を設定する基準を提示し、今後交換が円滑に行われるための資料とする。

8.試験研究方法
 1)麦稈−堆厩肥の交換の実態については農家調査
 2)適正交換比率については交換にかかわる費用試算分析

9.結果の概要・要約
 1)調査事例における交換比率(堆肥1tと交換される麦稈梱包の個数)は平均16ヶ/tであるが、最大23ヶ/t、最小10ヶ/tと中がある。
 2)交換が成立する背景としては、酪農側では堆厩肥を十分に利用しきれないこと、敷料を不可欠とするが経営内部ではまかないきれないことがあり、畑作側では長期的な地力維持にとって有機物施用が必要であるが経営内部では十分確保できないことがあげられる。
 3)交換が成立するのは、双方が上に述べたメリットを受けるとともに、それに伴う費用負担が購入するばあいよりも小さいことが条件となる。費用負担が小さくなるかどうかは交換比率に依存なし、畑作、酪農双方にとって購入するより費用負担が小さくなるような交換比率の範囲を適正交換比率とする。
 4)交換を内容から2つのケースに分けてそれぞれについて、酪農、畑作が負担すべき費用を示すと表のようになる。これらのケースにおいて酪農、畑作それぞれについて購入価額2費用負担額
費用負担者/
ケース
酪農 畑作



畑作側で麦稈を
梱包するばあい
敷料代
バーンクリーナ費用
堆肥盤費用
ローダ費用
麦稈梱包料



酪農側で麦稈を
梱包するばあい
敷料代
バーンクリーナ費用
堆肥盤費用
ローダ費用
麦稈梱包料
 
注)ケースⅠ、Ⅱとも堆厩肥の運搬にさいして酪農家のフロントローダを利用するものとする。
となることが、交換成立の条件である。
 5)これにもとづいて、現状の堆厩肥価格を1,500円/t、麦稈梱包価格(運賃52円/ヶ含む)300円/ヶとして適正交換比率を求めると、ケースⅠでは9.9〜16.9ヶ/tケースⅡのばあいは15.8〜21.8(畑作からみた技術技術的上限)ヶ/tとなる。

10.主要成果の具体的数字

図1 現状での適正交換比率の範囲