ハウス促成メロン多収技術としての新仕立法に関する試験
Ⅱ 製技法試験
期  間  昭和5〜56年
予算区分  道単
協力分担  なし
1.担 当  園芸科 土肥紘・高橋総夫

2.目 的
 緑肉ネットメロンのハウス促成栽培において、単位面積当りの収穫果数を得られる立作りと、保加温面で有利な這作りの、利点を兼備えた「這・立折衷作り」について、その得失と好適した整枝方法について検討する。

3.試験方法
 1)試験区別
 (1)折衷作りの得失について   〔1区6株 2区割〕
区番号 仕 立 法 着果節位 側枝葉 摘芯節位 蔓当り果数 100m2当蔓数 栽植密度
1 立 作 り 13士2節 各1葉有 25節 2果 200本 4畦×40㎝
2 折衷作り 13士2節 各1葉有 30節 2果 200本 4畦×40㎝
3 這(一方)作り 8±2節 各1葉有 25節 2果 100本 2畦×80㎝

(2)折衷作りにおける整枝法について 〔1区6株 2区制〕
区番号 着果節位 摘芯節位 側枝葉 54年 55年 56年
1 (低)8±2節 25節  
2 25節
3 (高)13士2節 30節
4 30節
5 25節  
・供試品種
(1)試験  北海エース
(2)試験  北海エース・キングメルティ
 2)栽培方法  Ⅰ試験に準ずる。

4.結果および考察
 (1)折衷作りについて;立作りに比べて、地這部分の茎伸長が大きかった。葉は、やや小型化したが、葉質は良好であった。立上げ後の葉が急激に小さくなる傾向があり管理面での検討が必要である。着果性は、立作りより劣ったが実用上問題とならなかった。開花期は、親蔓仕立(立)より、子蔓仕立(折衷、這)が、5節(約5日)遅れた。成熟日数は、受光態勢および微気象環境の環境と考えりれるが、立作りより5〜7日早まった。果実は、立作り、より大果となり、果型も長型から正球型に近づいた。発酵症状も、明らかに少なかった。ネット発生、糖度は、有意義が認められなかった。トンネル保温期間を、立作より、約17日間延長できた。
 (2)製枝法こついて;側枝葉を残すことにより、各室枝葉は小型化したが全葉面積は増大した。立上げ部分の特に上位葉の小型化が著しく、管理面での検討が必要である。着果性は、年次により、変動した。開花期は、当然低節位が、約5日早まった。成熟日数には、差がなかった。果実は、高節位および側枝葉有が大果となった。低節位長型となった。糖度は、低節位および側枝葉有が高く安定した。這作りより用品種(キングメルティ)も同様に適用できた。
 (3)以上から、①折衷作りは、立作りより保温面での有利性、受光態勢および微気象環境が向上し、それらの効果が有意に認められた。加温経費等を勘案しない粗収入でも立作りに対して22%、這作りに対して54%の増収となった。②整枝法は、着果節位13±2節、側枝葉は各1葉を残し、摘心は30節を標準とする。

5.主要な試験データ
 1)折衷作りの損失について

 (図Ⅱ-1) 茎長(終了時)(56年)

   (図Ⅱ-2) 茎面積(56年)

     (図Ⅱ-3) S.L.A.(生枝葉)(56年)

   (図Ⅱ-4) 良♀花着生率(54〜56年)

(図Ⅱ-5)着果から可食日まで日数(54〜56年)

    (図Ⅱ-6)平均一果重(54〜56年)

2)折衷作りにおける製枝法について

    (図Ⅱ-7) 茎面積(56年)




  (図Ⅱ-8) S.L.A.(生枝葉)(56年)


(図Ⅱ-9) 平均可食(調査)日(55〜56年)

   (図Ⅱ-10) 平均一果重(55〜56年)

  (図Ⅱ-11) 糖度(55〜56年)

6.今後の問題点
 上位節葉面積を確保する管理技術

7.普及指導上の注意事項
 (1)定植は地温18℃以上で、ハウス内最低気温13〜16℃以上とし、着果期の最低気温は18℃に管理する。
 (2)這立折衷作りの地這期間中はトンネルで被覆する。被覆資材は日中開放し受光良環境を確保する。