【指導参考事項】
1.課題の分類  稲作
2.研究課題名  稲作機械改良開発に関する試験
        1)乗用機械化一貫作業体系に関する試験
3.期  間  昭和54〜
4.担  当  中央農試農業機械部
5.予算区分  道 費
6.協力分担  上川農試

7.目  的
 田植機の乗用化の進展に即し、管理作業の乗用化を図り稲作の乗用機械化一貫作業体系を確立せんとする。

8.試験方法
1)供試田植機 4機種 SPR600,PL820A,YP6000,LTR8F
2)供試作業機 ①パディ・スプレーヤ:タンク容量100L,ブーム長6m,重量50kgf
          ②パディ・カルチ  :2転輪型6畦用         ,重量35kgf
3)試験圃場  北長沼(空知),恵庭(石狩),鷹栖(上川),南国市(四国)
4)調査項目  作業機の装着法,走行・作業性,能率,収量等

9.結果の概要
1)トラクタ直装型,および専用田植機の前・中・後装型にパディ・スプレーヤ,パディ・カルチベータを装着し,作業性を検討した結果,一貫乗用化が可能である。表-1は作業機装着時の各機種主要諸元を示したものである。
2)このための条件として、田植機の装備重量以下に作業機を開発した。その形式は,カルチで2転輪式のけん引6条型,スプレーヤでは低圧・少量散布のブーム・スプレーヤ(2〜5kg/c㎡,20L/10a)とした。この際コーン指数4kg/c㎡(耕盤層以下0〜10cmの平均値)以上,車輪沈下深さ5cmが安定作業を得る走行条件で,車輪はニューマチックまたはソリッドゴム・タイヤが作業性に富む。
3)労働投下量面での慣行法に対する乗用化の利得は,中耕・除草で1/2,薬剤散布で1/10となった。なお枕地での回行および作業機走行障害等による収量損失は,きわめて少なく全体として問題とならなかった。
 表-2は,慣行法に対する乗用化の特徴を労働投下量で比較したものである。

10.具体的成果
表-1 作業機装着時の機体諸元
田植機型式 SPR600 PL820A YP6000 LTR8F
走行部形態 B5001・9.5PS 専用機・7.5PS 専用機・5.5PS 専用機・5.OPS
作業機装着部 平行4点リンク 平行4点リンク 平行4点リンク 平行4点リンク
スプ
レーヤ
搭載時
前輪分担Kg 195(150) 250(205) 256(427) 148(200)
後輪分担Kg 285(410) 250(395) 203(125) 206(254)
全量Kg 480(560) 500(600) 459(552) 357(454)
カルチ
装着時
前輪分担Kg 195 230 243 155
後輪分担Kg 280 260 194 180
全重Kg 475 490 437 335
車輪形式 鉄ラグ・ニューマチック ゴムラグ・ニューマチック ソリッドゴムラグ ソリッドゴム
前車輪 外径cmφ 60 60 90 80
幅㎝ 5,10 5,6 10 7
後車輪 外径cmφ 90,100 90 90 90
幅㎝ 16,10 16,10 10 6
最低地上高cm 27.0 27.0 37.5 37.0
軸距m 1.18 1.15 1.17 1.80
輪距 前輪m 0.66 0.70 1.22 -
後輪m 0.66〜1.20 1.30 0.62 1.33
( )内は薬剤充填時重量

表-2 作業別投下労働時間の比較(時間/10a)
作業項目 北海道農林水産
統計1980
北長沼農家実態1980
水田4.5ha,47PSトラクタ所有
慣行作業内訳
投下
労働
時間
機械
使用
時間
投下労働時間
期間内 本田内作業
慣行 乗用化 慣行 乗用化
種子予措 人・時
0.5

-
人・時
0.3
人・時
0.3
人・時 人・時 枝梗取り,塩水選,芽出し
苗代一切 7.2 0.6 5.2 5.2     ハウス・土篩・土詰・播種・配置
耕転・整地・代掻 2.8 1.5 1.6 1.6 1.6 1.6 耕転・砕土1.8m,代掻3.1m
基肥施用 1.4 0.4 0.5 0.5 0.5 0.5 ブロードキャスタ120Kg/10a
移植 7.1 1.3 1.5 1.5 1.5 1.5 6条植13a/hr……2人
追肥 0.3 - 1.0 0.8 1.0 0.8 三兼機30a/hr……3回
除草     1.8 0.9 1.8 0.9 動力歩行除草機3畦…3回
6.2 0.4 2.0   2.0   手取り除草………2回
    1.2 1.2 1.2 1.2 畦畔草刈り………3回
水管理 6.6 1.5 2.8 2.8 2.8 2.8 2hr/日(4〜6月),1hr/日(7,8月)
防除 1.5 0.3 0.7 0.3 0.7 0.3 イネドロオイムシ防除1回
2.4 2.4 共同防除10人組作業3回
稲刈・脱穫 7.6 2.6 2.6 2.6 2.6 2.6 5条コンバイン,トラック2合(2トン)
乾燥・籾摺 3.0 2.5 2.7 2.7     循環型2台(24,33石)
合計 44.2 11.0 26.3 20.4 18.1 12.2  
(但し、乗用による能率…薬剤散布 0.08hr/10a,中耕・除草 0.46hr/10a)

11.今後の問題点
 稲転畑への利用拡大,大型トラクタによる乗用作業化

12.次年度の計画