【指導参考事項】
1.課題の分類  トラクタ
2.研究課題名  作業機の複合装置に関する試験(1)
3.期  間  昭和56年
4.担  当  中央農試 機械部
5.予算区分  道費
6.協力分担  滝川畜試

7.目  的
 現在、汎用トラクタがかなり普及しているが、その中で自走式専用機の方向とトラクタに全面的にマウント可能な一体型なども出現している。その中で従来あるトラクタの作業性を高める意図で、3点リンク、PTO軸を前装し、トラクタと作業機を前後装着できるもの(いわゆる複合装置)、又は、作業の状態により前後進を自在に可能ならしめるトラクタが製造されたので、その作業性を検討し、指導上の参考に供する。

8.試験方法
1)期  日  昭和56年3月〜12月
2)場  所  中央農試、滝川畜試
3)供試機名  久保田M9550DT、芝浦SF1040T
4)試験項目  プラウ+ロータリ耕、コーン収穫作業、除雪作業

9.結果の概要
1)M9550DT
 プラウとロータリの複合作業の検討を行い、使用プラウは16×3連、ロータリ巾は1.36mである。プラウ単体では2m/sまで作業が可能でありプラウ+ロータリ作業では、1.4m/sが限界である。この時の砕土の平均土塊径は33〜38mmであり荒砕土である。
2)SF1040T
 2畦用のコーンバベスタを使用し、コーン収穫作業を行った。コーンの収量が少なかったが、処理量は35t/hrある。作業能率試験は、平均作業速度が2.07m/sで、16畦刈取りを行い、能率は0.98ha/hrである。

10.主要成果
1)前装ロータリ作業(久保田9550DT)
作業
内容
変速
位置
作業
速度
m/s
スベリ率% 耕巾
cm
耕深
cm
PTO軸動力 燃費
L/hr
作業の
可否
rpm kg-m ps
プラウ耕
16×3連
M2L 1.21 12.2 11.7 121 24.5 664 - - 12.8
M3L 1.56 12.8 12.6 119 23.7 660 - - 14.0
M3H 1.90 13.0 12.8 121 22.7 650 - - 17.3
M4L 2.04 13.5 12.9 121 23.3 647 - - 18.4
プラウ耕
16×3連

ロータリ
1.2m巾
M2L 1.21 12.1 11.4 120 24.3 652 32.4 29.5 17.5
M3L 1.43 11.7 11.9 120 24.7 613 47.3 40.5 20.5
M3H 1.58 10.1 11.4 122 24.0 513 - - 18.1 ×
M4L 1.59 12.2 11.4 122 23.3 496 - - 17.4 ×

2)コーン収穫作業(芝浦SF1040T)  設定切断長 8.8mm
作業
内容
変速
位置
速度
m/s
1条1m
当りの
収量
kg/m
含水率
W6%
エンジン
回転数
rpm
処理量 燃費
L/hr
切断

mm
作業の
可否
t/hr DHt/hr
コーン
収穫
M1 1.09 2.32 75.3 2260 17.7 4.4 15.4 10.3 0
M2 1.55 2.28 75.0 2333 24.4 6.0 18.0 11.2 0
M3 2.19 2.20 73.9 2250 35.2 9.2 19.7 10.5 0

3)スノーブロウ作業試験
作業
内容
変速
位置
速度
m/hr
エンジン
回転数
rpm
PTO動力 燃費
L/hr
除雪量
rpm kg-m ps
cm

cm
m3/hr t/hr
除雪 C1 250 2257 923 63.4 81.7 18.07 230 88 506 184
C2 312 2260 925 67.5 87.2 17.91 230 93 666 242

11.普及上の問題点
1)前装作業(M9550DT)−前装作業機の種類が少ない。作業操作の上で、前装作業機の作業状態が良くみえない。
2)前後進トラクタ(SF1040T)−装着可能な作業機の種類が少ない。従来のトラクタにステアリング、電磁油圧式クラッチ等の付属処理が必要である。作業状態は座席位置よくよく見えるが安全に作業が出来る様に検討を進めている。

12.次年度の計画
     あ り