図1 傾斜地用ベールローダの概要図
【指導参考事項】
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1.課題の分類 C 5-(6) 収 穫 牧 草 2.研究課題名 普通形こん包(タイトベール)のハンドリング用機械に関する試験 3.傾斜地用ベールローダの性能 3.期 間 昭和56年度(53〜58) 4.担 当 北海道農試 機械化第1研 5.予算区分 経 常 6.協力,分担関係 新得畜試 |
7.研究目的
農用運搬車(TCM-NCD35)に装着したコンベア式ベールローダの、傾斜草地におけるこん包搬出性能を調査する。
8.試験研究方法
(1)供試機械 本体TCM-NCD35農用ダンプ車、ベールローダはNCD35に直装する専用機で油圧モータ駆動方式である(北札ゴム製)。主要諸元ならびに外観は表1、図1に示す通りである。本機の特徴はコンベアが中間でくの字に折れまがり、拾ったベールが折れ曲り部でつかえないよう上部に補助コンベアが取り付けられている。コンベア速度などは表2。
(2)試験日時と場所 上士幌大規模草地 昭56年7月23日
(3)材料とほ場 ビックベール乾草をほどいて使用、ほ場傾斜条件と大きさは図2のとおり。
(4)作業方法、作業速度は1.23m/sで約100m長さを上り下りしながらベールを拾った。整形積みでは2人が上乗り、ばら積みでは自由に荷台へこん包を落下させた。また拾ったこん包は10.3km離れたバンカーサイロまで運びダンプで荷下ろしを行った(表4)。ベーラはWERGER AP-61形。
9.結果の概要、要約
(1)平均傾斜度は8.8度であったが、ベーラ拾い上げ作業中の傾斜度別のスリップは14°の上りで−8.1%、下りで6.5%であった。
(2)このベールローダはくの字に折れているため、ベール長さが80cm以上になると途中で詰まりベール長が70cm以下ならばほとんど詰まらない。供試ベールは平均で約70cmだったが、長さむらのため、整形積みでは60個中2回、ばら積みでは25中3回詰まりを生じた(その後上部補コンベア速度をアップし、くの字折れ角をゆるやかに改造した。
(3)8.3m3のダンプ式荷台に2人上乗りして整形積みすると60〜70個積むことができるが、ばら積みでは25個以上は積めなくなる。運搬時の平均速度は29.4km/hであった。
(4)こん包100個当り整形積みで拾上け時間が0.320h、荷降ろしが0.091h、合計では0.411hの能率である。またh当りの拾い上げこん包数は正味作業では469個(10分間に78個)、旋回などを含めるとh当り313個(10分間に52個)であった。
(5)このほ場でのサイクルタイムは60個のこん包を拾って運搬、荷降ろしを行った場合1台当り54.6分であった。トラックの運転を含めて3人の組作業である。
以上要するに、耐傾斜性のある農用トラックにベールローダを直装して急傾斜地の乾草こん包の拾い上げ作業を行ったが、傾斜地での適応性は高いと認められる。試験の結果ベール長さに対する適応性はより大きくする必要がある (改善が行われた)。
表1 主要諸元
| ベールローダ | トラック装着時 | ||
| 全長(mm) | 3,310 | 全長(mm) | 7,000 |
| 全幅(mm) | 1,210 | トラック全長(mm) | 5,665 |
| 全高(mm) | 2,870 | 荷台高(mm) | 2,490 |
| 〃 (mm) | (格納時)3,270 | 荷台床高(mm) | 1,390 |
| 全重(kg) | 350 | 荷台幅(mm) | 2,200 |
| エレベータ幅(mm) | 550 | 荷台長(mm) | 3,500 |
| エレベータ長(mm) | (1段目)1,480 | 荷台容積(m3) | 8.47 |
| 〃 長 | (2段目)1,780 | エレベータ傾斜角(度) | (上段)33°20′ |
| 補助ベルト(mm) | 780 | 〃 | (下段)70° |
| チエン速度(m/s) | (2,400rpm) 1.50 |
駆動軸回転数(rpm) | 203 |
| 補助ベルト速度(m/s) | (〃)1.28 | 補助車輪 | 400-8-4p |
| 〃 幅(mm) | 125 | コンベア駆動法 | 油圧モータ 4.2ps |
10.主要成果の具体的数字
図1 傾斜地用ベールローダの概要図
図2 ほ場傾斜と長さ
表2 コンベア速度
| エンジン回転数 | コンベア速度 | 備考 |
| 1000(rpm) | 0.66(m/s) | エンジン2400 rpmでL-3速は 0.79m/sの走 行速度。 |
| 1500 | 1.00 | |
| 2000 | 1.34 | |
| 2400 | 1.50 |
表3 旋回直径
| 方向 | 距離 |
| 左回り | 18.14(m) |
| 右回り | 17.44 |
表4 こん包の大きさと配列
| 高さ | 幅 | 長さ | 重さ | 含水率 | こん包間隔 | こん包条間 | ha個数 | 土壌水分 |
| 380(mm) | 500(mm) | 698(mm) | 18.9(kg) | 20.7(%) | 6.01(m) | 2.09(m) | 574(個) | 52.9(%) |
表5 運搬車の走行性能(スリップ率)
| 傾斜 | 上り速度 | 下り速度 | 上り(%) | 下り(%) | 平均(%) | |||
| 左 | 右 | 左 | 右 | 上り | 下り | |||
| 6° | 1.96(m/s) | 2.17(m/s) | +1.2 | +3.8 | -3.7 | -0.9 | +2.5 | -2.3 |
| 8° | 2.27 | 2.13 | +1.2 | +5.5 | -2.6 | -1.5 | +3.3 | -2.1 |
| 12° | 2.38 | 2.02 | +6.8 | +6.9 | -5.4 | -4.1 | +6.8 | -4.8 |
| 14° | 2.27 | 2.02 | +6.9 | +9.3 | -7.7 | -5.2 | +8.1 | -6.5 |
表6 1第当り拾上げ作業時間(10.3km運搬、平均速度29.4km/h)
| 組人員 | 作業法 | 個数 | 面積 | 準備 | 拾上げ | 旋回 | チェン ジ |
詰り(回) | 合計 | 運搬 | 荷降し | サイクル タイム |
| 3人 | 整形積 | 60個 | 0.145ha | 0″ | 461″ | 116″ | 61″ | 54″(2) | 692″ | 往21′00″ 復18′47″ |
3′17″ | 56.6′ |
| 1 | ばら積 | 25 | - | 15″ | 225″ | 55″ | 8″ | 131″(3) | 434″ | 50.3′ |
表7 作業能率
| 作業法 | 捨上げ作業時間(h) | 100個当り 荷降ろし 時間(h) |
こん包100 個当り合 計時間(h) |
h当り拾い上げ こん包数(個) |
||||
| 100個 当り |
乾草t 当り |
ha当り | こん包100個 当り正味 |
正味作業 | 拾上作業 | |||
| 整形積 | 0.320 | 0.218 | 1.65 | 0.213 | 0.091 | 0.411 | 469 | 313 |
| ばら積 | 0.428 | 0.255 | - | 0.250 | (0.091) | 0.573 | 319 | 208 |
11.今後の問題点 ベールの長さと補助コンベアの作用関係。
12.次年度の具体的計画 タイトベールハンドリング用機械の検討