【指導参考事項】

1.課題の分類　　新得畜試　肉牛　飼養 2.研究課題名　　乳廃(乾乳)牛の100日肥育 3.期　　　間　　昭和56年 4.担　　　当　　新得畜試　肉牛科・乳牛科 5.予算区分　　道費 協力分担　　なし

7.目　的
　乳廃牛を肥育して、付加価値を高めた場合について検討する。

8.方法
　1)供試牛

牛　番　号		A	B	C	D	E	F	G	平均
生　年　月		46.1	50.11	53.1	53.2	51.12	54.7	53.1	635
産　　　次		6	4	1	1	2	0	1
前分娩年次		54.4	54.11	55.4	55.4	55.2	-	55.6
主な廃用理由		繁殖障害	繁殖障害	繁殖障害	繁殖障害	繁殖障害	繁殖障害	低能力
種　付　回　数		11	11	4	10	11	6	11
試験 開始時	体重　(㎏)	822	688	600	560	614	505	656
	体重/体高	6.2	5.3	4.4	4.1	4.6	4.1	4.6
供試前 2週間	放牧日 増体(㎏)	1.46	3.23	3.92	2.00	1.08	0.62	-

　2)飼養条件

図1.　供試前と試験期の飼養概要

9.主要成果の概要
　1)素牛の年令、肥育度、体重などに大きな巾があったが、日増体には大きな差はなく(CV14%)、飼料効率も良好であった。
　2)正肉、精肉歩留りも良好であった。
　3)年令によって肉質評価に大差はなかった。

10.主要成果の具体的数字
表2.　飼養結果　(103日間平均1頭当り)

開始時体重	飼　　　　　料				日増体	TDN 要求量	出荷体重
	配合 飼料	圧べん 大麦	乾草	とうもろこし サイレージ
635±102㎏	1.10t	0.43t	0.20t	0.36t	1.83±0.25㎏	6.6㎏	822±98㎏

　注：とうもろこしサイレージは42日間給与

表3.　と体成績

出荷体重 ①　　㎏	絶食体重 ②　　㎏	②/① %	枝肉量 ③　　%	③/① %	正肉量 ④　　%	④/③ %	皮下脂肪厚 ㎝	格付 等級
822±98㎏	756±98㎏	91.8±1.1%	438±54%	53.3±0.9%	340±37%	77.8±1.8%	1.2±0.1㎏	上

表4.　精肉調査

牛名	正肉量① ㎏	精肉② ㎏	②/① %
F	292	259	88.8
G	345	305	88.5

表5.　1頭当り経営収支　(56年9月現在)

11.今後の問題点
　1)肥育する場合の素牛の選定基準の作成
　2)増体良好な場合の肥育期間延長
　3)肥育中の成績不良牛に対する肥育中止の判断基準

12.成果の取扱い　(指導上の注意事項)
　1)既往の試験結果ではおおむね1.0㎏前後の日増体が報告されており、いずれの試験も個差の大きいことが問題となっている。本試験は、平均日増体、変動係数、飼養効率、正・精肉歩留りなどすべての点で、理想的な結果といえる。したがって肥育する場合の素牛の選定が成果のすべてを握るポイントになる。
　2)濃飼自由採食のための馴致期間を2週間程度設ける必要がある。