【指導参考事項】
1.課題の分類 乳牛 飼養 2.研究課題名 乳牛における妊娠末期の栄養条件と分娩性低Ca血症の関係 (草地型酪農地帯における乳牛のミネラル代謝障害防止試験) 3.期 間 (昭51〜55) 4.担 当 根釧農試・酪農科、管理科 5.予算区分 道費 6.協力分担 |
7.目 的
妊娠末期におけるCa及び粗蛋白質の給与水準と分娩性低Ca血症発生との関係を明らかにする。
8.試験研究方法
試験1:生草給与時における分娩性低Ca血症群と正常群の分娩前2週間の養分摂取量を比較した。
試験2:分娩前3〜4週間のCa給与量が50gと100gの2群について (TDNとDCP給与水準は90、140%)、分娩後6〜48時間の血中Ca、Piなどを比較した。
試験3:分娩前3〜4週間のDCP給与水準が280、210、160%の3群について (TDNとCa給与水準は100%、110g)、分娩後6〜72時間の血中Ca、pi濃度などを比較した。
試験4:分娩前3週間のCa給与量が170、120、60gの3群について (TDNとDCP給与水準は110、290%)、分娩後6〜48時間の血中Ca、Pi濃度などを比較した。
試験5:放牧期に分娩した乳牛72例について、産次と分娩時の血中ミネラル濃度との関係を調べた。
9.結果の概要
試験1:低Ca血症群のDCP摂取量が有意に高く、日本飼養標準の要求量に対し281%であった。
試験2:低Ca血症の発生は両群ともになく、血液成分にも差がみられなかった。
試験3:粗蛋白質の摂取量が多い群ほど低Ca血症を示す割合が多かった。
試験4:Ca摂取量の多い2つの群の低Ca血症の発生割合は極めて高かった。
試験5:分娩性低Ca血症の発生は3産目になると急激に増加し、3産以降の分暁牛の37%が低Ca血症を示した。
10.主要成果の具体的数字
試験 | 処 理 | 栄養条件 | 供試頭数 | 低Ca血症 発生数 |
起立不能 発生数 |
||
Ca(g) | DCP(㎏) | ||||||
1 | 正常群 | 84 | 1.19 | 5 | 0 | 0 | |
低Ca血症群 | 90 | 1.54 | 5 | 5 | 2 | ||
2 | Caレベル | 高 | 96 | 0.81 | 5 | 0 | 0 |
低 | 48 | 0.79 | 5 | 0 | 0 | ||
3 | 蛋白質レベル | A | 114 | 1.58 | 9 | 6 | 1 |
B | 110 | 1.22 | 9 | 5 | 0 | ||
C | 112 | 0.92 | 9 | 2 | 0 | ||
4 | Caレベル | A | 168 | 1.66 | 6 | 5 | 2 |
B | 118 | 1.64 | 6 | 5 | 1 | ||
C | 57 | 1.68 | 6 | 2 | 0 |
11.今後の問題点
1)粗蛋白質の過剰摂取時におけるCa代謝のメカニズム
2)放牧時における飼料給与改善による分娩性低Ca血症予防の実証。特に、本症の経歴牛に対する予防効巣の確認。
12.成果の取扱い
分娩性低Ca血症。特に、放牧期における本症の予防には、妊娠末期のCa給与量を少なくすると共に粗蛋白質の給与量も低くめる必要がある。