【指導参考事項】
1.課題の分類 C-17 草地管理 2.研究課題名 オーチャードグラス草地の経年化と冬枯れの関係 3.期 間 昭和44〜56年 4.担 当 新得畜試・草地飼料作物科 5.予算区分 道 費 6.協力分担 な し |
7.目 的
土壌凍結地帯におけるオーチャードグラス草地の経年化に伴う低収化・不安定化要因を主として長期試験に基づく老若草地の連年の気象変動に対する反応性から検討し、草地経年化と冬枯れ構成要因との関係を明らかにする。
8.試験方法
1)経年化草地の気象反応性の把握が可能となるよう、毎年老若草地(8〜9年月まで)を配置した。草地から草地への更新を基本とした連作型草地
2)草地5年と畑作物2作〔1サイクル〕を基本とする輪作型草地の配置
3)連作型草地に雪腐病防除区を設置(1978〜1980)
9.主要成果の概要
1)1970〜81年に土壌凍結年7回と不凍結年5回あり、不安定な気象条件で経過した。
2)経年化に伴う低収化と年次変動の増大は、1番草収量により決定づけられていた。
3)土壌凍結の有無により、経年化草地の1番草収量は全く異なった反応性示した。凍結年には経年化草地ほど冬枯れ被害を強く受けたのに対し、不凍結年になると被害の大きかった経年化草地ほど高い回復力を示し、老若草地間の収量差は認められなくなった。1番草の出穂茎数の変動性も、収量反応とほぼ同様の傾向を呈した。
4)経年化に伴う低収化傾向は雪腐病薬剤防除によって抑制しえず、この低収化の主因は冬枯れ要因中の雪腐大粒菌核病によるものでないと推定された。
5)経年化草地でも越冬前には若い草地同様に1番草の収量性に関して高い潜在能力を有している。この潜在能力を土壌不凍結年における各経年草地の収量とみなして、土壌凍結年における「潜在的冬枯れ総量」を査定し、その構成部分である雪腐大粒菌核病被害と凍結等の重み付けをしたところ、草地経年化に伴う低収化の要因は凍結等によるものであると判断された。また、「潜在的冬枯れ総量」に占める雪腐病の割合は若い草地ほど高い傾向にあった。
6)草地の経年化とともに株価と土壌の酸性化が平行的に進行した。
7)牧草中の窒素含有率は古い草地ほど高く、多肥区では「潜在的冬枯れ総量」も高い傾向にあった。しかし、雪腐病被害は軽減される傾向にあった。
8)経年化とともに低下した成分はP、Ca、Mgで、土壌中での動向とも一致していた。Kは制限因子となっていなかった。
9)輪作型5年目までの草地の越冬性に関しての有利性が顕在化するのは1サイクル目以降であり、土壌凍結年には雪腐病薬剤防除効果を上回る増収効果を呈した。輪作草地土壌は作土層全体に高pH状態にあり、土壌改良資材の積算投入量も連作型より多かった。
10.主要成果の具体的数字
図1. 最も古い草地の2年目草地に対する収量指数の年次推移 (標準施肥区)
A)1975〜76
B)1978〜80
図2. 草地経年化と冬枯れ構成因子の関係
(土壌不凍年の収量を100とした)
図3. 5年目までの草地で比較した輪作型草地の連作型草地に対する有利性
11.今後の問題点
1)株価と凍結」の関係
2)土壌酸性化と凍害の関係
3)耐凍性と耐病性にバランスを考慮した肥培管理法の確立
4)輪作型草地の解析(作付と土壌改良資材の関係)
12.普及指導上の注意事項
1)オーチャードグラス草地の長期利用は、土壌凍結地帯では低収化・不安定化する傾向が強いので避けるべきである。
草地関係除草剤一覧表
薬 剤 | 対象草地 | 使 用 量 | 登録 | 備 考 |
アシュラム | 草 地 | 秋季処理 新播草地 200〜300mL/10a 経年草地 300〜400mL/10a |
有 | アージラン液剤 |
アシュラム | アルファル ファ草地 |
新播草地 200〜300mL/10a 経年草地 春季処理200〜300mL/10a 秋季処理300〜400mL/10a |
有 | アージラン液剤 |
グリホサート | フ キ 100倍液 800〜1000mL/10a ギシギシ 100倍液 500〜700mL/10a シバムギ ケンタッキーブルーグラス レッドトップ 200倍液 250〜500mL/10a |
未 | ラウンドアップ液剤 | |
パラコート | 草 地 | 1回処理 500mL/10a 2回処理 400mL+200mL/10a |
有 | グラモキソン液剤 |