【指導参考事項】
1.課題の分類 メロン生育障害 2.研究課題名 メロンの異常果対策試験 Ⅰ 現地調査 3.期 間 昭和54〜56年 4.担 当 道南農試・園芸科 5.予算区分 道 単 6.協力分担 空知中央地区農業改良普及所 空知南東部地区農業改良普及所 |
7.目 的
メロン異常果発生の実態を調査し、その発生原因の解明及び防止対策を検討する。
8.試験研究方法
現地聴取り及び調査圃による発生実態調査
現地2ケ所(夕張市・ハウス作型、月形町・トンネル作型)
9.結果の概要・要約
1)「異常果」の種類
現地で「発酵果」と呼称させる異常果には次のものがあった。
①果皮の変化を伴わず、果肉の熟度が異常に早く進んだ果(通称:みくずれ果)
②未熟な状態で果肉が水浸状等に悪変した果(通称:発酵果=異常発酵果、心腐れ果)
③病害により腐敗した果
2)発酵果(心腐れ果)、みくずれ果の特徴的な症状
部 位 | 発酵果(心腐れ果)の症状 | みくずれ果の症状 |
外 観 | 固い玉(果溝は少ない。光沢が強い)。小玉。重い。 タテネットが強く、ヨコネットが不足。 花痕部周辺が、張り(膨玉)気味で、光沢も強い。 |
ゆるい玉にもある。 |
果 肉 | 種子部および果肉が、アメ色に水浸状。軟かくない。 種子部はやや暗色アメ色(品種によっては白濁状)。 水浸状部と、正常部との境界が鮮明。 食感で、刺戟臭あるいは異臭がある。腐敗臭はない。 |
果肉と同色系水浸 軟かく溶解傾向 境界は不鮮明 刺戟臭 |
他 | 比重値が大きい傾向 |
3)聞き取りにより得られた発生要因(調査作型:ハウス半促成及びトンネル早熟)
(1)温度:玉のび時、あるいは収穫10日前位からの低温または加温不足。
(2)光 量:被覆フイルムの汚れ、収穫まで30日間の遮光処理で再現(夕張)
(3)栄 養:家畜糞堆肥の多用。生育後期の強い草勢。強勢の南瓜台木。重い土(火山岩出こ比)。CaO/MgO比の小さい畑(過大では糖度が低い)。土壌水分の過不足。
(4)その他:成熟期の果温が高い。強整枝。
4)調査及び試験により得られた発生要因〔(発)は主に発酵果、(み)は主にみくずれ果〕
〔標示のないものは、共通的なあるいは未確定の要因〕
(1)温度:肥大盛期以降の低温(発)。成熟期における高温=換気不良(み)。
(2)光量:成熟期における不足=遮光。収穫1旬前の日照不足。
(3)栄養:窒素・加里の、肥大期あるいは成熟期における肥効過多。(特に成熟期)。これに遮光あるいは土壌水分変動条件は相乗する。成熟期における土壌水分の不足あるいは変動(み)。塩基置換容量の小さい・塩基飽和度の低い・特に置換性石灰の少ない土壌(ただし、石灰多施用および葉面施用の効果は不明、みくずれ果に有効?)。南瓜台接木。二番果早期着果による競合。
5)異常果(発酵果、みくずれ果)の発生と、推定された要因 模式図
10.主要成果の具体的数字
省略
11.今後の問題点
12.普及上の注意事項