７．目　　　的
　　北海道の立地条件をいかして自給飼料及び農産副産物を有効利用し、濃厚飼料節
　減型及び濃厚飼料無給与の牛肉生産方式を検討する。

８．試験研究方法
　試験1.　放牧と舎飼期とうもろこしサイレージ給与による外国肉専用種の育成肥育
　試験2.　放牧と舎飼期とうもろこしサイレージ給与による外国肉専用種の育成肥育(濃飼無給与)
　試験3.　放牧と舎飼期脱水でん粉粕給与による外国肉専用種の育成肥育

９．主要成果の概要
　1)　放牧ととうもろこしサイレージ給与を組み合せることによって、25か月齢で約
　　330㎏の枝肉生産が可能で、これに要する配合飼料は0.5t程度で良いことがわか
　　った。
　2)　放牧ととうもろこしサイレージ給与を組み合せることによって、配合飼料は無
　　給与でも25か月齢で310㎏程度の枝肉生産が可能であった。
　3)　放牧と舎飼期とうもろこしサイレージ給与による育成肥育モデルを作成した。
　

放牧と舎飼期とうもろこしサイレージ給与による育成肥育モデル(春生れ)

　注)Ｃ:市販配合飼料,Ｓｉ:とうもろこしサイレージ(糊熟後期),Ｈ:乾草

１０．主要成果の具体的数字
　1)　飼　養　成　績

　試験1.放牧ととうもろこしサイレージ給与による外国肉専用種の育成肥育

　注)供試牛:春生れアンガス去勢牛,　(　㎏):日増体量
　　　0.2%区,0.4%区,0.8%区：市販配合ペレット「肉牛育成用」各体重比給与
　　　　　　　　　　　　　　　とうもろこしサイレージ及び乾草自由採食

　試験2.放牧ととうもろこしサイレージ給与による外国肉専用種の育成肥育(濃飼無給与)

　注)供試牛:春生れアンガス去勢牛,　(　㎏):日増体量
　　濃飼無給与区：とうもろこしサイレージ及び乾草自由採食
　　少量給与区：市販配合ペレット「肉牛育成用」0.5㎏/1頭・1日給与
　　　　　　　　　とうもろこしサイレージ及び乾草自由採食

　試験3.脱水でん粉粕給与により外国肉専用種の育成肥育

　注）供試牛:秋生れヘレフォード去勢牛,　(　㎏):日増体量
　　　ＳＰ区:脱水でん粉粕,乾草自由採食,市販配合ペレット「肉牛育成用」制限給与
　　　Ｃ　区:市販配合ペレット「肉牛育成用」体重比1.6%給与,乾草自由採食

　2)　と　体　成　績

	後了時 体　重	月　齢	絶　食 体　重	絶　食 歩留り	枝肉量	枝　肉 歩留り	格　付	正肉量	正　肉 歩留り
試験1.	kg		kg	％	kg	％		kg	kg
0.2-0.4%区	588	24.9	542	92.2	328	60.6	並〜中	256	78.0
0.2-0.8%区	604	24.9	564	93.4	647	61.5	並	270	77.8
0.4-0.4%区	557	24.9	519	93.2	324	62.3	並	252	77.8
0.4-0.8%区	649	24.9	603	92.9	372	61.7	中	282	75.8
試験2.
無給与区	577	24.7	511	88.7	312	61.1	並	244	78.1
少量給与区	570	24.7	512	89.8	307	60	並	242	78.6
試験3.
S　　P　　区	580	20.4	531	91.6	317	59.6	並	247	77.9
C　　　　区	596	20.5	548	91.9	322	58.9	並〜中	251	78.0

１１．今後の問題点

１２．普及指導上の注意事項
　1)　とうもろこしサイレージは出来るだけ熟期が進んだものを調製、給与する配慮
　　が必要である。とくに肥育期においては黄熟期のものが望ましい。
　2)　放牧と舎飼期とうもろこしサイレージ給与による育成肥育モデルは、安全性を
　　考慮して糊熟後期のとうもろこしサイレージで作成した。
　3)　本試験における脱水でん粉粕給与は、放牧育成を終えた素牛を用いている。濃
　　飼多給で育成された素牛では、脱水でん粉粕の採食量がかなり低下すると思われる。
　4)　脱水でん粉柏は厳寒期には凍結するので、これを念頭に置いた給与を考える必
　　要がある。
　　また、本試験は飽食給与期間が約8か月でこれ以上については検討していない。