注1.渡島・桧山北部及び日高管内の作付面積9177haのうち約10%に当る面積に普及予定。
2.1984年の栽培適地:空知、石狩、後志、胆振・上川・留萌。
【普及奨励事項】
摘 録
1.「ともひかり」の特性概要
| 品種名 | ともひかり | 組合せ | (北海230号×巴まさり)×空育99号 | |
| 特性 | 長所 良質・良食味 早熟性 |
短所 いもち病耐病性が「イシカリ」に劣る 収量が「ともゆたか」より少ない |
||
| 採用地帯及び 普及見込面積 |
渡島・桧山北部及び日高1,000ha | |||
| 品種名 /形質 |
ともひかり | 対照 ともゆたか |
比較 はやこがね |
比較 キタアケ |
| 早晩生 | 早の晩 | 中の早 | 早の早 | 早の晩 |
| 草型 | 偏穂数型 | 穂数型 | 穂数型 | 穂数型 |
| 出穂期 | 8月6日 | 8月7日 | 8月5日 | 8月7日 |
| 成熟期 | 9月23日 | 9月27日 | 9月24日 | 9月23日 |
| 結実日数 | 51日 | 54日 | 53日 | 50日 |
| 稈長 | 62cm | 62cm | 63cm | 62cm |
| 穂長 | 18.3cm | 17.6cm | 15.5cm | 15.8cm |
| 穂数(㎡) | 533本 | 614本 | 700本 | 601本 |
| 芒性 | 無 | 稀短 | 稀短 | 稀短 |
| ふ先色 | 黄白 | 黄白 | 黄白 | 黄白 |
| 耐倒伏性 | ヤ強 | ヤ強 | 中 | 強 |
| 耐冷性(障害) | ヤ強 | ヤ強 | 強 | 強 |
| 葉いもち耐病性 | 中 | 中 | ヤ強 | 中 |
| 穂いもち耐病性 | 中 | 中〜ヤ強 | ヤ強 | 中〜ヤ強 |
| 玄米重(kg/a) | 48.2kg | 51.5kg | 46.6kg | 51.8kg |
| 玄米千粒重 | 21.5g | 23.1g | 20.8g | 22.9g |
| 玄米品質 | 上中下 | 上中下〜上下上 | 上下 | 上下 |
| 玄米等級 | 2上 | 3中上 | 2中下 | 2中下 |
| 食味 | 上下 | 中上 | 中中 | 中上〜上下 |
| 食味特性(1) | 96 | 107 | 94 | 99 |
| 〃 (2) | 453B.U. | 387B.U | 383B.U. | 416B.U. |
| 調査地 | 北海道立中央農業試験場稲作部(岩見沢市) | |||
| 調査年次 | 1980〜1984年の5か年(中苗・標肥) | |||
2.「ともひかり」の特記すべき特徴
早生、良質である。出穂期、成熟期は「ともゆたか」より2〜3日早く、玄米品質並びに食味は「キタヒカリ」並である。耐倒伏性と耐冷性は「ともゆたか」と同じであるが、いもち病耐病性は「ともゆたか」にやや劣る。
3.栽培地域を拡大すろ理由
昭和59年の渡島・桧山北部における「ともゆたか」の作付率は約6.5%、日高管内では約50%である。
「ともゆたか」は、安定多収品種ではあるが1等米の出荷率が低く、食味も不十分である。そのため、良質、良食味品種作付を目指す産米改良の立場からは、「ともゆたか」の高率な作付は好ましいこととは考えられない。両地域においては、「ともゆたか」を含めて中生種の作付率は、渡島・桧山北部で93%、日高で約90%あり、早生種についてはそれぞれ約4%と約1O%である。
「ともひかり」は、出穂期、成熟期とも「ともゆたか」より早く、両地域は「キタアケ」とほぼ同じであり早生の晩に属し、「ともゆたか」と比較して玄米等級は優り、玄米品質もやや優り、食味は明らかに良い。
「ともひかり」は、収量では「ともゆたか」に及ぱないが、「キタアケ」とともに両地域の早生種として「ともゆたか」の一部におきかえて作付し、作季幅を拡大することにより冷害危険期を分散させ、刈取適期幅を拡大させるなど良質米の生産に資する。
現在、「ともひかり」は1983年から道央部の優良品種に認定されている。
注1.渡島・桧山北部及び日高管内の作付面積9177haのうち約10%に当る面積に普及予定。
2.1984年の栽培適地:空知、石狩、後志、胆振・上川・留萌。