【指導参考事項】
1.課題の分類  分類番号 整理番号
2.研究課題名  良質食用・加工用ばれいしょの栽培技術確立(303110)
3.期  間  昭和57〜59年 完了
4.予算区分  総合助成
5.担  当  北海道立十勝農業試験場作物科
6.協力分担関係  農業機械科

7.目  的
 これまで,ばれいしょの総いも生産を高めるための栽培技術の改善がなされてきた。
今回は食用,加工用の規格内塊茎の効率的生産を図るための栽培法としての品種別適正栽植密度の検討を行った。また緑化いも発生率,粒大分布におよぼす栽植法の影響を明らかにするために植付深,培土の深さ,密度について検討した。

8.試験研究方法
(1)栽植密度
 ア,設 計 分割区法3反復
 イ,処理区別
畦幅(cm) 密度 品種
66 男爵薯
75 × × メークイン
85 農林1号

 10a当り栽植株数
密度 畦幅
(㎝)
株間
(㎝)
栽植株数
(株/10a)
66 35 4,329
75 30 4,444
85 27 4,357
66 45 3,367
75 40 3,333
85 35 3,361

(2)栽植法
植付深(㎝) 培土の深さ(cm) 密度 品種
0 15 トヨシロ
× × × メークイン
10 20 農林1号
注)種いもと培土
  後の畦の頂点
  との距離
注)密:株間30㎝
  疎:株間40㎝
  畦幅75㎝
  (共通)
注)但し昭和
  57年は「ト
  ヨシロ」のみ

9.結果の要約
(1)栽植密度 良質食用,加工用の規格内塊茎を効率的に生産するための畦幅は75㎝前後,10a当り栽植株数は4,400株程度が適当であると判断された。
また,上規格塊茎を生産するためには,本試験の範囲内では,10a当りの栽植株数を3,400株程度の疎植にすることが望ましいと判断された。
(2)栽植法 緑化いもの発生を防ぐための畦幅は75㎝前後,培土の深さは15㎝が適応であると判断された。また排水の良好な乾性灰土壌でおこなった本試験の範囲では10cm程度の深植は,規格内塊茎の効率的生産のための有効な植付法であると判断された。
 塊茎の粒大には株間の影響が大きく,規格内塊茎の生産にとっては75㎝の畦幅では株間は30㎝,上規格塊茎生産にとっては,本試験の範囲内では株間40cmが適当であると判断された。

10.主要成果の具体的数字
(1)栽植密度におけるばれいしょの主要形質の処理平均(3カ年平均)
項目/
処理区別
茎長
(㎝)
茎数
(本/株)
上いも
収量
(kg/10a)
緑化
いも重
(kg/10a)
変形
いも重
(kg/10a)
規格内
いも収量
(kg/10a)
上規格
いも収量
(kg/10a)
澱粉価
(%)

66cm 54 3.8 4,017 201 77 3,374 2,181 15.6
75 59 3.8 4,073 275 101 3,351 2,235 15.4
85 59 3.9 3,936 147 109 3,286 1,992 15.4

57 3.7 4,107 203 77 3,410 2,087 15.6
58 4.0 3,911 213 115 3,275 2,186 15.1

男爵薯 44 3.5 3,720 219 81 3,065: 1,918 14.9
メークイン 59 3.3 3,976 271 96 3,094 1,714 14.5
農林1号 70 4.8 4,333 151 110 3,852 2,776 17.0
備考
 1)規格内いも収量:緑化いも,変形いもを除く1個重 60g以上のいも重
 2)上規格いも収量:緑化いも,変形いもを除く1個重120g以上のいも重

 3)変形いも重は昭和58,59年の2カ年平均

(2)栽植法におけるばれいしょの主要形質の処理平均(3カ年平均)
項目/
処理区別
茎長
(㎝)
茎数
(本/株)
上いも
収量
(kg/10a)
緑化
いも重
(kg/10a)
変形
いも重
(kg/10a)
規格内
いも収量
(kg/10a)
上規格
いも収量
(kg/10a)
澱粉価
(%)


0cm 62 3.5 4,163 330 82 3,415 2,270 15.3
10 63 3.8 4,210 141 66 3,649 2,386 15.8
培土の
深さ
15 63 3.6 4,194 236 78 3,524 2,298 15.6
20 63 3.7 4,179 235 70 3,540 2,358 !5.5

63 3.6 4,248 218 69 3,554 2,195 15.6
62 3.6 4,126 253 79 3,509 2,460 15.5

トヨシロ 58 2.9 3,936 272 29 3,359 1,831 16.0
メークイン 58 3.5 3,892 414 101 2,815 1,113 14.7
農林1号 74 5.3 4,491 226 91 3,851 2,032 16.8
備考
 1)品種の処理平均は,昭和58,59年の2カ年平均
 2)変形いも重は,昭和58,59年の2カ年平均

11.指導上の注意事項
(1)培土作業にあたっては,畦幅にあった培土機を使用し,培土時のドラクターの運行は畦そって正確に行うよう心がけること。
(2)畦の高さが25㎝以上になるよう培土を行うこと。