【普及奨励事項】
1　課題の分類　　分類番号　整理番号
2　場　所　名　　　北海道農業試験場　北海道立中央農業試験場　北海道立北見農業試験場
3　新品種候補名　タマネギ「レオ」

4　来　　　歴
　1)良質、多収を目標として、「札幌黄」の晩生系と「アーリー・イエロー・グローブ」の耐乾腐病系との交雑により育成した雄性不稔系統(種子親)と「北見黄」から選抜した花粉親系統を利用した単交配F1品種である。
　2)育成者　タキイ種苗株式会社・ホクレン農業協同組合連合会

5　特性の概要
1)種子特性および苗生育
　　種子千粒重は、約4g前後で「北もみじ」よりやや軽いものの、発芽率、苗重、葉鞘径とも「北もみじ」、「フラヌイ」と差異はない。
2)葉部生育
　　草姿は「フラヌイ」、「北もみじ」よりやや開張気味で、葉部の生育はやや旺盛である。葉色等その他の葉部形質については、「フラヌイ」、「北もみじ」と差異はない。
3)早晩性
　　球肥大期、倒伏期、枯葉期については、「フラヌイ」と同程度の早晩性で、中生に属する。
4)耐病虫性
　　乾腐病に対しては、同病抵抗性の「フラヌイ」、「北もみじ」より弱く、「北見黄」等の在来品種程度である。その他の病虫害に対しては、「フラヌイ」等と差異はない。
5)収量性
　　球の肥大性は、「フラヌイ」より勝り、一球重が重く、総収量、規格内収量とも「フラヌイ」より多収を示し、「北もみじ」と同程度である。規格内率では長球の発生がやや多いため「フラヌイ」よりやや低い。
6)球の外観品質
　　球のしまり、硬さ、皮ムケ等「フラヌイ」、「北もみじ」と同程度で「北見黄」等在来種より明らかに優れており、機械収穫に適する。
7)貯蔵性
　　貯蔵向品種である「フラヌイ」、「北もみじ」より発根、萌芽が早く、「北見黄」等在来種と同程度の貯蔵性である。

6　普及対象地域における試験成績概要
場所名 品種・
系統名		 規格内収量(Kg/a) 同左比 平均
一球重
(g)		 規格内
率
(%)		 倒伏期
(月日)		 貯蔵前
腐敗率
(%)		 貯蔵後
健全率
(%)
57 58 59 平均 57 58 59 平均
北農試 レオ 428 675 431 511 130 103 119 114 162 95.5 8.13 2.8 49.7
フラヌイ 329 657 362 449 100 100 100 100 145 95.3 13 0.9 87.8
北もみじ 416 676 342 478 127 103 95 106 157 96.2 12 1.6 74.9
札幌黄 271 651 398 440 82 99 110 98 155 94.5 12 4.0 44.1
中央農試 レオ 590 558 299 482 129 124 87 116 195 85.8 8.9 8.0 62.0
フラヌイ 456 451 342 416 100 100 100 100 163 86.1 10 4.9 85.5
北もみじ 550 593 378 507 121 131 110 122 182 86.9 8 3.3 91.5
そらち黄 599 528 330 486 131 117 96 117 206 84.1 12 10.7 59.5
北見農試 レオ 599 679 469 582 127 118 110 118 238 86.4 8.14 8.4 44.5
フラヌイ 470 575 427 491 100 100 100 100 188 90.7 14 3.7 74.2
北もみじ 486 726 459 557 103 126 107 112 209 88.7 15 3.2 80.4
北見黄 475 593 392 487 101 103 92 99 218 80.5 14 7.3 35.0
岩見沢 レオ 560 634 415 537 120 116 106 115 186 91.4 - 3.7 70.0
フラヌイ 466 547 392 468 100 100 100 100 164 88.8 - 0.5 97.6
北もみじ 593 668 433 565 127 122 110 121 185 92.4 - 1.0 93.0
そらち黄 710 671 527 636 152 123 134 136 212 91.2 - 2.3 93.1
富良野 レオ 295 560 530 462 81 100 118 101 257 79.1 - 10.4 41.0
フラヌイ 365 560 451 459 100 100 100 100 195 90.3 - 5.5 49.5
北もみじ 461 591 600 551 126 106 133 120 231 83.7 - 2.9 56.8
北見 レオ 719 676 485 627 107 115 104 109 212 94.7 8.10 5.1 54.9
フラヌイ 671 586 466 574 100 100 100 100 194 97.1 8 3.6 82.2
北もみじ 688 667 370 575 103 114 79 100 194 94.9 9 3.8 86.3
北見黄 672 504 443 540 100 86 95 94 199 92.0 8 7.1 64.9
平均 レオ 532 630 438 533 116 112 108 112 208 88.8 (8.12) 6.4 (57.3)
フラヌイ 460 563 407 476 100 100 100 100 175 91.4 (　11) 3.2 (79.5)
北もみじ 532 654 430 539 116 116 106 113 193 90.5 (　11) 2.6 (80.5)
注)平均一球重、規格内率、倒伏期、貯蔵前腐敗率は3カ年平均。貯蔵後健全率は2カ年平均、
　　なお、北農試の「札幌黄」は「宮本系」。

7　普及対象地域
　全道のタマネギ栽培地帯。

8　普及見込面積および保育種子量
　1)普及見込面積　500ha
　2)保育種子量　1000kg

9　栽培上の留意点
　「フラヌイ」、「北見黄」等従来の品種と同様で良い。