【指導参考事項】

1　課題の分類　　野菜　流通利用　輸送 2　研究課題名　　夏野菜の流通技術改善試験 　　　　　　　　　　　2　輸送実態と品質保持 　　　　　　　　　　　(3)鉄道輸送の実態と実験 3　期　　間　　昭和59年(昭和57〜62年)　継・中・完 4　担　　当　　中央農試園芸部加工科 5　予算区分　　道　単 6　協力分担　　改良課 　　　　　　　　　　夏期移出野菜流通協議会

7　目　　的
　鉄道輸送における夏野菜の収穫から小売販売までの輸送中の環境条件を明らかにし、又、今後普及の可能性のあるものについて実験を行い、輸送の改善に資する。

8　試験研究方法
　鉄道輸送により下記の通りその実態の調査と実験を行なった。

積荷 月日	販売 月日	産地	航路	市場	種類	供試品目(*包装資材別)
7月18日	7月20日	伊達農協	青函	西友	URI+ドライアイス(80kg) コンテナ+保冷シート+ド ライアイス(80kg)	キャベツ
8.22	8.25	東神楽	〃	淀橋	〃　　〃　　(140kg)	ダイコン*、スイートコーン*

9　結果の概要、要約
　(1)断熱材展着コンテナURI又は普通コンテナに保冷シートを張りドライアイスを使用し、10℃以下の予冷品を積載すると、庫内温を10℃前後で経過し、35時間経過後キャベツ品温は2〜3℃であった。
　(2)積荷時、10℃を若干上まわったダイコン、スイートコーンを積載した場合の庫内は14〜16℃前後で経過し、60時間経過後品温の上昇は6℃であった。
　(3)URIと普通コンテナ+保冷シートの差はみられなかった。
　(4)庫内湿度は外気やや低温であれば100〜80%で経過し、外気が昇温すると70%以下になる。
　(5)輸送中の品目の水減少は少なく、しおれ現象はほとんどみられなかった。
　(6)ダンボール箱の水分吸収割合はキャベツで10%見られ、箱のつぶれが目立った。
　(7)ドライアイスの使用量80kgに対し、URI29.5%、保冷シートコンテナ36.1%、又東神楽の140kgに対し残量15.0%(台風の影響により1日長い)であった。
　要約　　コンテナによる鉄道輸送
　10℃以下の予冷品をURI、又は保冷シート付コンテナにドライアイス100kg以上/10tonを使用すれば35〜60時間、庫内温は10℃前後、湿度80〜90%で経過するので野菜(品目)の鮮度保持上、保冷環境としては良好で野菜(品目)の輸送手段として有効と思われた。

10　成果の具体的数字
セリ前における品質評価(5点法)
　鉄道輸送
　URI+ドライアイス
　C-31+保冷シート+ドライアイス
(伊達市　所沢西友配送センター　7月18日〜21日)

	水分減少率	葉色	しおれ	評価
キャベツ(URI)	104.9	5	5	◎
〃　(保冷シート)	104.2	5	5	◎

鉄道輸送　コンテナ+保冷シート+ドライアイス
(東神楽町　淀橋　8月22日〜25日)

	水分減少率	葉色	しおれ	評価
スイートコーン	98.4	(4) 　3.6	(4) 　　4	(○) 　　△
〃　(EPS)	98.8	4	4	○〜△
〃　(FD)	98.7	4	4	○〜△
ダイコン	99.2	4		(○) 　　○
〃　(EPS)	99.2	4		○

(　)は積荷時評価
葉色は品目により包皮色・肌色

18図　鉄道輸送
　　　(田辺　No.1〜No.4)
　　　庫内温

23図　国鉄(C21+シート+ドライアイス)
　　　コンテナ(C21)保冷シート+ドライアイス
　　　保冷シート(ナショナルマリンプラスチック)
　　　東神楽農協(函館-青森-隅田川-淀橋市場)
　　　品目　だいこん,スイートコーン(メロン)
　　　8月22日〜8月25日

11　今後の問題

12　普及指導上の注意事項

生産地では	①品目毎の規格品、良品質のものであること。 ②高温環境下に出荷するので適正な予冷を実施すること。
輸送方法では	③混載(他品目、又は同一品目でも予冷の程度の異なるもの)は保冷効果が劣る 　　のでさける。但し同種品目(キャベツ、ハクサイ等)予冷品の混載は差しつか 　　えない。
着荷後は	④市場環境条件が悪いのでその対策を講ずる(シートの被覆とドライアイスの使用)。
その他に	⑤ドライアイスの使用が前提となるので庫内温度は高く、ダンボール箱の吸水に 　　より箱のつぶれが見られるのでその対策を講ずる。 ⑥コンテナの確保。