【指導参考事項】
1 課題の分類  野菜、流通利用、輸送
2 研究課題名  夏野菜の流通技術改善試験
           2.輸送実態と品質保持
           (4)保冷シートとドライアイスの効果試験
3 期  間  昭和59年(昭和57〜62年) 継・中・完
4 担  当  中央農試園芸部加工料
5 予算区分  道  単
6 協力分担  改良課
        夏期移出野菜流通協議会

7 目  的
 保冷シートとドライアイスの使用による輸送は今後多くなると思われるが、保冷シートの断熱性、又ドライアイス使用によるCO2濃度について検討し、輸送指針の参考にする。

8 試験研究方法
保冷シート資材名 用途 材質 備考
A 車両 ウレタンフォーム8mm
ビニール8mm
伊達 鉄道コンテナ
㈱ササキ札幌営業所
B ハイピーシート
  クールエース2
発泡ウレタン8mm
PPラミネート加工
東神楽 鉄道コンテナ
ナショナルマリン
C 工ーアイカバー  〃 
航空
エーアイカバー10mm
(アルミ箔P発泡体)
真狩 航空日本軽金属
D ペプシート トラック 東レペフ4mm、発泡ポリスチレン1mm
PEクロスシート
東川 トラック
函館製網船具㈱
G   〃    東レペフ8mm、    〃
  〃
 
H 普通シート (幌用)    
E エーアイカバー 航空 Cと同じ  
F   −       
 備考 シートの大きさ 1.1m×1.4m×1.9m
     ドライアイス   10㎏(10ton当り140kgに相当する)但しE・Fを除く。
     実施時期    10月23日〜25日シート周温、前半25℃、中・継半30℃
               供試品目 キャベツ

9 結果の概要、容約
  1シート当り、品温5℃のキャベツ50ダンボール満載、ドライアイス10kgを使用しシートの保冷効果、CO2濃度等を調査した。なおシートの周温は前半25℃、中・後半は30℃に設定したが、全期間を通じて平均すると30℃以上であった。
(1)その結果、各シートの庫内温は11〜12℃、又品温は15〜16℃以下で経過し、キャベツの鮮度保持には極めて良好であった。シート間の差はみられなかった。
(2)熱伝導よりみると、保冷効果はBシート劣り、Gがすぐれるようであった。
(3)航空コンテナ(ドライアイスを使用しない)は、保冷シートにより庫内温3℃、品温2℃程度低くすることができた。
(4)ドライアイスの使用により庫内は急激にCO2濃度が高まり、15%を越えドライアイスの効力が消失するまで高濃度で推移する。シート間ではBシートのCO2濃度が低く、次でAシートも若干低目であった。
 要 約
 現在使用されている各種の保冷シートはドライアイスを並用すれば庫内の温湿度を野菜(品目)の好適保冷環境にし、鮮度の高い野菜(品目)の輸送に使用できる。

10 成果の具体的数字
 シート別積算温と平均温(10月23日17時〜25日9時)
項目/
シート別
積算温 平均温 保冷効果
外側 内側 中心温 外側 内側 中心温 外側 内側 中心
A 940.1 643.6 396.6 22.9 15.7 9.7 100 68.5 42.2
B 980.4 809.2 470.5 23.9 19.7 11.5 100 82.5 48.0
C 895.1 617.7 587.0 21.8 15.1 14.3 100 69.0 65.6
D 1,026.0 734.8 473.8 25.0 17.9 11.6 100 71.6 46.2
G 1,097.8 676.3 523.7 26.8 16.5 12.8 100 61.6 47.7
H 1,107.9 883.1 661.5 27.0 21.5 16.1 100 79.6 59.6
E 814.6 650.2 512.6 19.9 15.9 12.5 100 79.9 62.8
F 976.6 824.0 730.6 23.8 20.1 17.8 100 84.4 74.8

シート内のCO2の推移(%)10月23日〜25日
(ドライアイスE・Fを除く各シート10㎏+キャベツ50箱)
  調査/
シート別
23日 24日 25日  

17.00
9.00 13.00 17.00 9.00
A   8.1 7.8 7.8 4.5
B   1.8 1.5 1.5 1.6
C 10.2 9.1 8.0 8.5 6.6
D   15〜 15〜 15〜 14.6
E   0.9 0.5 0.5 1.0
F   0.8 0.7 1.0 1.3
G   12.7 10.9 9.2 11.9
H   1.1 1.8 0.5 0.4
全シート内   0.4 0.8 2.0 -
外気
(ハウス内)
0.5 0.2 0.3 0.5 -
Cシート
+
ドライ
アイス
ドライ上 9.5 8.8 8.0 8.3 6.6 E





24日 25日
9.00 13.00 17.00 9.00
直  下 11.1 8.8 8.0 8.3 6.5 0.9 0.5 0.5 1.0
中  段 10.2 9.1 8.0 8.8 6.6 0.9 0.5 0.5 1.0
下  段 10.2 9.0 8.3 8.5 6.6 0.9 0.5 0.5 1.1
上段外側 10.1 8.8 8.3 8.2 6.7 1.0 0.3 0.5 1.2
中  〃  9.9 8.8 8.2 8.2 6.6 0.9 0.5 0.5 1.2
下  〃  10.3 9.0 8.1 8.5 6.7 1.0 0.5 0.5 1.4

ドライアイス残量の推移
項目/時期 ドライアイス+雪状物 ドライ
アイス
10月23日 24日 25日 25日
17時 9時 13時 17時 9時 9時
ハウス内(高温) kg 10.310 5.529 4.439 3.740 1.576 1.311
同上残存量 % 100 53.6 43.1 36.3 15.3 12.7
作業室(低温) kg 10.310 5.987 5.183 4.509 2.387 2.180
同上残存量 % 100 58.1 50.3 43.7 23.1 21.1
時間当ドライ (高温) - 0.30 0.27 0.17 0.14  
消費量(kg) (低温) - 0.27 0.20 0.17 0.13  

11 今後の問題
 (1)品目、又外気温とドライアイスの使用量、ドライアイスの処理方法(分割)
 (2)CO2濃度が品目に及ぼす影響
 (3)普通シートの検討

12 普及指導上の注意事項
  保冷シートのみでは保冷効果が劣るのでドライアイスを併用する。