【指導参考事項】作成( 月 日)
様式-3-(2)
単年度試験研究成績
1.課題の分類  総合農業  生産環境  気象災害  −
          農業環境  環境資源  気象特性  −  2-1-2
          北 海 道  農業物理  農業気象  −  野菜
2.研究課題名  寒地農業気象改善に関する諸資材の開発
          -雪利用による雪中ハウスに関する研究-
3.予算区分  経 常
4.研究実施年度・研究期間  継・中・完 昭和 年(53〜60年)
5.担当  北海道農試 農物理、農気象研
6.協力・分担関係

7.目的
 寒地の降雪期間は半年にわたる。この期間、広大な耕地の農業生産は休止し農業労働は過剰となる一方で、生産野菜は不足する。この研究は雪の物理的犠牲を利用した雪中ハウスを開発し野菜、花卉などの栽培を可能にせんとする。

8.試験研究方法
 (1)雪利用のハウス構造の研究と有効な雪利用方法の研究
 (2)ハウス構造の改善ならびに無雪時の保温対策(叱熱、水分擬結、氷結熱の利用)
 (3)各種雪中ハウス構造での保温特性(温度分布)と熱収支の解明
 (4)野菜、花卉の栽培法(周斗栽培)の研究

9.結果の概要・要約
 (1)研究経過の概要
  昭和53年から雪中ハウスの研究を開始し、構造は三角形の小型雪中ハウスから着手した。当初、ハウスの温度特性、野菜の栽培試験を行い、その後2ヶ年間はとくに構造と栽培試験を継続し、正三角形型、ほうれん草の播種時期等を検討した。その後、さらに改善して営農用雪中ハウスを検討した。
 (2)雪中ハウスの特性と栽培の可能性
  正三角型の雪中ハウスは保温もよく、厳寒期地面温度は0℃以下になることは非常に少なっかた。さらに研究を進め営農用雪中ハウスとして図1のように構造を改善、大型化した。図2は59年冬季の最低気温が出現した日のハウスとハウス外雪中温、外気温の変化を示している。図のように、ハウス内トンネル中の気温は0℃以下の低下に抵抗(雪の断熱性)を示すので保温が大きい。

10.主要成果の具体的数字

図1 営農用雪中ハウスの構造


図2 59年冬季最低気温日の雪中ハウス内外の温度変化特性

11.今後の問題点
 (1)現在の雪中ハウスの構造ならびに栽培法で家庭菜園や営農用として実用化が可能であるが、積雪のない厳寒期の保温法の開発が必要。
 (2)低温栽培法の確立が望まれる。

12.次年度の具体的計画
 60年度は最終年であるため、営農用雪中ハウスの熱収支解析を主体に研究する。

付図(雪中ハウス)

図3 営農用雪中ハウスのトンネル内地面温度と外気温との関係


図4 同上 トンネル内気温との関係(日最低気温)



図5 営農用雪中ハウスの熱の流れとその等価回路


図6 営農用雪中ハウスの周年作付例 1984