【普及奨励事項】

1.課題の分類　　準奨励品種候補(アルファルファ・導入品種「リュテス」) 2.試験実施場所　　北海道農試・牧草第1研究室、牧草第3研究室、 　　　　　　　　　　　　中央農試畜産科、根釧農試作物科、天北農試作物科、北見農試牧草、 　　　　　　　　　　　　新得畜試草地飼料作物科、滝川畜試草地飼料作物科 3.準奨励品種候補名　　「リュテス」 　　　　　　　　　　　　　　　(バーティシリウム萎ちょう病抵抗性品種)

4.来　　歴
　育成機関　　L.N.R.A.(Institute National de la Recherche Agronomique),France
　導入機関　　ホクレン農業協同組合連合会　種苗課
　育成方法　　問合せ中
　品種登録　　O.E.C.D.登録

5.特　　性
　(1)バーティシリュウム萎ちょう病(Verticillium albo-atrum)に対する抵抗性品種である。また、そばかす病、葉枯れ病、いぼ斑点病等に対しても強い。
　(2)早生品種に属し、開花始および開花期は「ソア」に比較して全道平均で3〜5日程度早い。
　(3)花色は紫色で雑色花の割合は低く、「ソア」に近い花色を示す。
　(4)草型は直立型であり、「ヨーロッパ」に類似する。
　(5)葉色は「ソア」よりやや濃い緑を示す。
　(6)春の草勢は「ソア」なみであるが、2番草再生、秋の草勢は良好である。
　(7)耐倒伏性は強い。
　(8)収量は「サラナック」「ソア」「サイテーション」より低収の傾向がある。
　〔要約〕
　この品種はパーティシリュウム萎ちょう病抵抗性品種である。早生品種に属し、草型は直立型であり、耐倒伏性に優れるが収量はやや低い傾向がある。しかし、バーティシリュウム萎ちょう病の多発地帯では、本品種が本病に強い抵抗性を持つことから従来の優良品種よりも多収をあげることが期待される。

6.試験成績
表1.　バーティシリュウム萎ちょう病抵抗性の品種間差異
　　　(江別市角山試験圃場)

品種名	1　9　8　3			1　9　8　4
	調査株数	発病株数	%	調査株数	発病株数	%
リ　ュ　テ　ス	101	8	7.9	23	0	0.0
ヨーロッパ(準)	108	26	24.1	74	12	16.2
ソ　ア　(準)	108	12	11.1	86	19	22.1

表2.　幼植物接種検定による品種間差異

品種名		個体数	罹病指数		抵抗性 　の 判　定	抵抗性 個体率 　(%)
			地上部	根
リュテス		131	1.3	1.4	強	86.3
サイテーション	(準)	52	2.0	2.0	弱	66.5
キタワカバ	(奨)	43	2.2	2.1	〃	59.1
サラナック	(奨)	61	2.7	2.4	〃	4.03
ソア	(準)	122	2.7	2.3	〃	44.7
アルファ	(準)	86	2.8	2.4	〃	33.5
ヨーロッパ	(準)	79	2.9	2.6	〃	42.1
デュピュイ	(参)	96	3.0	2.3	〃	35.5

表3.　「リュテス」の特性と収量

場 所	年 次	開花期	耐倒 伏製	乾物収量比
				試験Ⅰ	試験Ⅱ
北 海 道 農 試	1	-4.5		-	93
	2	-2.0	*	-	82
	3	-4.0	*	-	90*
	計	-3.5		-	87*
中 央 農 試	1	-	+ns	98	-
	2	-5.0	+ns	81	75*
	3	-5.0	+ns	99	92*
	計	-5.0		91	84
根 釧 農 試	1	0.0		101	-
	2	-4.0	+ns	95	80*
	3	-5.0	*	94	79*
	計	-3.0		96	80*
北 見 農 試	1	-3.0		99	79
	2	-4.0	+ns	84	93
	3	-4.0	*	78	89*
	計	-3.7		86	89
天 北 農 試	1	-2.0		87	96
	2	-1.0	±	87	90
	3	-	+ns	98	87*
	計	-1.5		93	89
新 得 畜 試	1	-4.0	±	100	77
	2	-5.0	+ns	95	86*
	3	-6.0	*	93	92
	計	-5.0		96	87*
滝 川 畜 試	1	-3.0		99	64
	2	-2.0	±	92	82*
	3	-10.0	+ns	100	90
	計	-5.0		96	85
適要		対ソア ーは早 い日数	対ソア	対ソア 比2〜4 年目データ	対ソア 比1〜3 年目データ

　第1図　バーティシリュウム萎ちょう病の発生分布

7.適応地域　　パーティシリュウム萎ちょう病発生地域を対象とする。

8.栽培上の注意　　早生品種であるため刈遅れないように注意すること。