【指導参考事項】
1 課題の分類  花(シュッコンカスミソウ) 品種特性
2 研究課題名  主要花きの品種特性調査
           Ⅱ シュッコンカスミソウの品種特性
3 期間  (昭和60〜61年)
4 担当  中央農試園芸部花きそ菜科
5 予算区分  道単
6 協力分担  月形町野菜花き指導センター
          旭川市園芸センター

7 目的
 本道の立地条件を生かし、夏から秋に採花する作型における品種の特性調査を行う。

8 試験研究方法
(1)実施場所
場所 土壌(土性) ハウス
中央農試(長沼町) 低地土(植壌土) 無加温 5.4×20m
月形町野菜花き指導センター 低地土(植壌土) 雨除け 4.5×25m
旭川市園芸センター 低地土(砂壌土) 無加温 7.7×23.4m

(2)供試品種
1.ブリストルフェアリー(白、小輪)、2.ダイアモンド(白、中小輪)、3.パーフェクタ(白、大輪)、4.レッドシー(ピンク、小輪)。種苗入手先:ミヨシ

(3)作型および耕種概要
年度 60年 61年
場所 中央農試 月形町 旭川市 中央農試 月形町 旭川市
砂上苗入手時期 5月30日 6月20日 7月10日 6月20日 6月20日 越冬株 越冬株 越冬株
定植期(月・日) 6.7 7.3 7.19 7.4 7.1 5.1
(改植)
4.24
(融雪)
4.22
(ハウス)
摘芯期(月・日) 6.21 7.16 7.31 7.13 7.4 6.2
(整枝)
5.24
(整枝)
5.8
(整枝)
仕立数(本) 4 4 4 6 6 7
栽植密度(株/a) 309 313 313 309 313 313

9 結果の概要・要約
(1)購入苗利用(60年)
①定植時期が遅くなるに従って、到花日数、採花率およぴ品質も品種間差が拡大した。
②ブリストルフェアリーは定植期が遅くなると品質はやや低下したが、採花率も全作期とも90%を越え、もっとも安定した特性を発揮した。
③ダイヤモンドは早い作期(5月30日仮植)で草丈はブリストルフェアリーにやや劣るもの の品質では優る傾向があり、早い作期での利用が有効と思われた。
④パーフェクタは遅い作期では著しく低下し、異常花(だんご花)の発生も多いが、大輪という特徴があり、早い作期での利用が考えられる。
⑤レッドシーはブリストルフェアリーに比べると品質は劣るがピンク種であり、一定程度の利用が考えられる。しかし、開花が高温期にかかると花色は淡色化する。
(2)越冬株利用(61年)
①排水不良圃、融雪水の滞水する圃場では越冬株率が著しく低下する。
②越冬株の開花期は品種間に差はなく、ほとんど一斉に開花した。

10.主要成果の具体的数字
表-1 60年度(購入苗の利用)
場所 No. 品種名
(略称)
砂上苗
仮植日
〔S〕
(月・日)
定植期
(月・日)
摘芯期
〔P〕
(月・日)
採花期a 到花日数a 採花

(%)
採花

(本/
10株)
切花

(cm)
切花

(g)
10%
〔F〕
(月・日)
50%
(月・日)
80%
(月・日)
〔F-S〕
(日)
〔F-P〕
(日)
中央
農試
1. BF 5.30 6.7 6.21 8.19 8.20 8.22 81 59 100 40 93 107
2. DM 5.30 6.7 6.21 8.23 8.27 8.31 85 63 96 38 84 111
3. PF 5.30 6.7 6.21 8.29 9.7 9.21 91 69 93 37 90 161
4. RS 5.30 6.7 6.21 8.21 8.27 9.6 83 61 91 36 102 89
1. BF 6.20 7.3 7.16 8.29 9.4 9.10 70 44 92 37 85 93
2. DM 6.20 7.3 7.16 9.5 9.10 9.18 77 51 94 38 71 86
3. PF 6.20 7.3 7.16 9.17 10.11 - - 89 63 68 27 84 173
4. RS 6.20 7.3 7.16 9.9 9.23 (10.5) 81 55 80 32 98 93
月形
1. BF 6.20 7.4 7.13 9.6 9.6 9.30 78 55 96 39 76 77
2. DM 6.20 7.4 7.13 9.6 9.18 10.6 78 55 84 34 66 98
3. PF 6.20 7.4 7.13 10.12 - - - - 114 91 9 4 80 315
4. RS 6.20 7.4 7.13 9.6 9.18 9.30 78 55 89 36 88 93
旭川
1. BF 6.20 7.1 7.10 9.17 9.18 10.1 89 69 94 38 76  
2. DM 6.20 7.1 7.10 9.17 9.25 10.4 89 69 101 41 67  
3. PF 6.20 7.1 7.10 10.16 11.12 - - 118 98 61 25 86  
4. RS 6.20 7.1 7.10 9.17 9.24 10.11 89 69 90 36 92  
備考a:( )内は反復をこみにした数値。

表-2 61年度(越冬株の利用)
場所 No. 品種名
(略称)
越冬
株率
(%)
改植期
(月・日)
整枝期
(月・日)
採花期 到花
日数
b
(日)
採花率
(%)
採花数
(本/10株)
切花長
(cm)
切花重
(g)
10%
(月・日)
50%
(月・日)
80%a
(月・日)
中央
農試
1. BF 36 5.1 6.2 7.21 7.23 7.29 81 85 51 77 92
2. DM 76 5.1 6.2 7.21 7.26 (7.31) 81 73 44 76 131
3. PF 50 5.1 6.2 7.21 7.23 (8.10) 81 73 44 76 131
4. RS 52 5.1 6.2 7.23 7.28 (8.3) 83 70 42 83 90
月形
1. BF 90 - - 5.24 7.16 7.22 (8.5) 82 76 46 95 79
2. DM 84 - - 5.24 7.18 7.25 (8.5) 84 75 45 91 97
3. PF 97 - - 5.24 7.16 7.20 7.30 82 81 48 96 97
4. RS 39 - - 5.24 7.29 8.5 (8.5) 95 50 30 103 87
旭川
1 BF 100 - - 5.8 6.27 7.9 7.15 78 99 69 111 140
2. DM 100 - - 5.8 7.1 7.11 7.14 80 99 69 105 225
3. PF 100 - - 5.8 6.27 7.9 7.21 78 91 64 102 175
4. RS 50 - - 5.8 7.7 7.21 7.21 90 97 68 120 170
備考a:( )は採花終。b:中央農試は改植期(5.1)、月形調は根雪終(4.25)、旭川市はハウスビニールかけ(4.22)から10%採花期までの日数。

表-3 作型適応性
No. 品種名
(略称)
花色 花径 草丈 作型適応性 備考
作型 砂上苗a
定植期
(月・日)
ポット苗b
定植期
(月・日)
採花期
(月・旬)
1. ブリストルフェアリー
(BF)
中-高 越冬株     7上 徒長し易い
作期-1 5.30 6.15 8中  
作期-2 6.20 7.5 9上  
作期-3 7.10 7.25 10上 軟弱化し易い
2. ダイアモンド
(DM)
小-中 越冬株     7上  
作期-1 5.30 6.15 8下  
作期-2 (6.20) (7.5) 9中 可能だがメリットなし
作期-3 不適 不適    
3. パーフェクタ
(PF)
中-高 越冬株     7上  
作期-1 5.30 6.15 9上 高温で異常花(だんご花)
作期-2 不適 不適    
作期-3 不適 不適    
4. レッドシー
(RS)
ピンク 越冬株     7中 徒長し易い
作期-1 5.30 6.15 8下 高温で花色が退色化
作期-2 6.20 7.5 9中  
作期-3 (7.10) (7.25) 10中 無加温で切り残し?
備考a:砂上苗を直接定植し、定植15〜20日後にピンチする。b:ピンチされた大苗を定植する場合。

11 今後の問題点
 品質を向上させるための栽培法の検討。

12 成果の取扱い
(1)本試験は道央地域で実施し、無加温ハウス条件下を前提として検討、考察されていることを考慮する。
(2)定植期の設定には苗の種類、すなわち砂上苗がポット苗かを十分考慮する。
(3)越冬株の利用にあたっては市場動向の見極めが必要である。