【指導参考事項】
1.課題の分類  病害・野菜
2.研究課題名  紫外線カットフィルムによるホウレンソウの萎ちょう病防除
3.期  間  昭和61年(1カ年)
4.担  当  中央農試病虫部病理科
        三菱化成ビニル株式会社
5.予算区分  道費(共同研究)
6.協力分担  空知北部地区農業改良普及所

7.目  的
 紫外線カットフィルムによりホウレンソウ萎ちょう病を防除する

8.試験研究方法
(1)試験場所:北海道深川市
(2)対象病害:ホウレンソウ萎ちょう病
(3)供試資材:紫外線カットフィルム(商品名:「ムラサキエース」,葉茎菜類栽培用フィルムとして昭和50年9月25日特許出願。昭和57年11月4日公告,昭和60年9月27日登録,特許第1283663号。)
(4)萎ちょう病に関する試験
(5)紫外線カットフィルムに発病抑制試験
(6)保菌率,土中菌量調査

9.結果の概要・要約
(1)ホウレンソウ萎ちょう病は,北海道の主要産地である石狩,上川管内で発生している。
(2)本病の病原菌は,Fusarium oxysporumf.sp.spinaceaである。
(3)本病は,雨よけ栽培(ビニールハウス栽培)が行われている地域の,夏どりホウレンソウで発生が顕著である。
(4)紫外線カットフィルムは,太陽光線中の紫外領域をカットする。
(5)本フィルムを,雨よけ用の被覆資材として使用すると,ホウレンソウ萎ちょう病は著しく抑制される。
(6)本フィルムの被覆により,土壌中のF.oxysporumの菌量は,低下しない。
(7)本フィルム下で栽培したホウレンソウのF.oxysporumの保菌率は,透明フィルム下のそれを下廻る。

10.具体的数字


第1図 ホウレンソウの播種期と萎ちょう病の発生
   (昭和59年、深川市、同一農家6棟のハウスで調査)

第1表 紫外線カットフィルムによるホウレンソウ萎ちょう防除効果
フィルム別 遮光処理 病株率 総収量
/10a
規格別 商品化率
内品 外品
透明フィルム × 95% 646kg 0kg 646kg 0%
84 554 0 554 0
紫外線
カットフィルム
× 0 1,542 1,351 191 87
0 1,415 1,391 24 98
播種:7月22日  収穫:8月25日

11.今後の問題点
(1)発病抑制機作の解明
(2)他のフザリウム病に対する発病抑制

12.成果の取扱い(指導上の注意事項)
(1)紫外線カットフィルム(商品名:ムラサキエース)は,ホウレンソウ萎ちょう病の発病を抑制する。