【普及奨励事項】

てんさい新品種候補系統
総合農業　生物生産　夏作物　てんさい-I-2-
北海道　畑作

北海51号の概要
北海道農試・てん菜・育1研・育2研・育3研

1.特性一覧表
系統名 北海51号 組合せ(NK-172㎜-CMS×NK-183㎜-0)×NK-159
特　性 長　所 短　所
1.高糖・多収で糖量が多い。
2.抽苔耐性は｢モノヒカリ｣より、かなり優れている。
3.種子生産性が良い。		 1.耐湿性がやや弱い。
2.根腐病抵抗性は、既存品種と同様に弱い。
採用県及び
普及見込面積		 北海道：2500ha
調査地 育成地(北海道農業試験場)
　　　品種・系統名
形質		 北海51号 ハイラーベ
(対象)		 モノヒカリ
(比校)		 モノミドリ
(標準)		   　　　品種・系統名
形質		 北海51号 ハイラーベ モノヒカリ モノミドリ  
倍数性 二倍体 三倍体 二倍体 三倍体   葉身の大きさ やや小 中 やや小 中  
種子の胚数 単胚 単胚 単胚 単胚   葉柄の太さ 中 中 やや細 中  
葉　姿 直立 やや開平 直立 やや開平   トップ重 中 中 少 中  
葉　色 やや濃緑 中 やや濃緑 やや淡緑   T/R比 低 やや低 低 中  
葉　形 やや皮針 楕円 皮針 楕円   抽苔耐性 やや強 強 中 やや強  
          褐斑病抵抗性 やや強 弱 やや強 やや強  
調査地 育成地 十勝農業試験場 北見農業試験場
　　　品種・系統名
形質		 北海
51号		 ハイ
ラーベ		 モノ
ヒカリ		 モノ
ミドリ		 北海
51号		 ハイ
ラーベ		 モノ
ヒカり		 モノ
ミドリ		 北海
51号		 ハイ
ラーベ		 モノ
ヒカリ		 モノ
ミドリ
根重 107 107 111 100 109 100 110 100 108 109 106 100
(t/10a) 5.42 5.40 5.57 5.05 6.28 5.79 6.37 5.78 5.26 5.29 5.17 4.88
根中糖分 100 98 101 100 101 97 100 100 103 99 103 100
(%) 16.39 16.04 16.48 16.35 17.68 17.05 17.47 17.55 17.87 17.26 17.96 17.40
糖量 108 104 112 100 109 97 110 100 111 108 110 100
(㎏/10a) 889 864 919 825 1.111 988 1.l14 1.015 938 912 928 847
調査年次 昭和60〜62年 昭和59〜62年 昭和59〜62年
ナトリウム 128 134 82 100 108 122 90 100 115 124 76 100
(meq/100g) 1.29 1.38 0.80 1.01 0.20 0.22 0.17 0.18 0.77 0.83 0.51 0.67
カリウム 104 102 89 100 102 106 79 100 103 113 85 100
(meq/100g) 4.06 4.00 3.49 3.92 3.35 3.48 2.59 3.30 4.03 4.44 3.33 3.92
アミノ態窒素 96 108 79 100 89 115 84 100 83 127 65 100
(meq/100g) 1.30 1.45 1.06 1.35 0.82 1.07 0.79 0.93 1.36 2.09 1.06 1.64
調査年次 昭和59〜62年 昭和61・62年 昭和61・62年

2.北海51号の特記すべき特徴
　｢北海51号｣は二倍体一代雑種で、種子の粒径は｢モノヒカリ｣より大きい。葉姿は直立型で葉長は｢モノヒカリ｣並に長く、葉数はやや多い。またクラウンは小さい。
　根重は｢ハイラーぺ｣より多く｢モノヒカリ｣に近い多収性。根中糖分は｢モノヒカリ｣並で｢ハイラーベ｣より高く、糖量が多い。品質は｢モノヒカリ｣より劣るが｢ハイラーベ｣より高品質。抽苔耐性は、欧州品種より劣るが｢モノヒカリ｣よりも優る。褐斑病抵抗性はやや強、根腐病低抗性は｢モノミドリ｣及び欧州品種と同じく弱い。耐湿性は｢モノヒカリ｣より劣るが｢ダイヒル｣より優る。採種関連形質は｢モノヒカリ｣より優れている。

3.奨励品種に採用する理由
　昭和61年からの糖分取引の実施にともない、高糖性、高糖量の品種の早期育成が切望されている。｢北海51号｣は現在栽培されている主要品種に比べて糖量が優り、根重と糖分の均衡のとれた優れた系統で現糖分取引制度下において有利性が高い。抽苔発生のおそれのない地帯を　中心に普及を図り、北海道てんさい作の発展に貢献することが期待できる。

4.普及見込地帯
　十勝中部およびこれに準ずる地域。

5.栽培上の注意
　1）耐湿性がやや弱いので、湿害のおそれの多い畑はさける。 　2）抽苔耐注はやや強であるが、まれに発生することがあるので極早まきをさける。