総合農業 作物生産 夏作物 てんさい-1-2 北海道 畑作 てんさい −てんさい新品種候補系統− 「北海54号」の概要 北海道農試・畑作物生産・てん菜育種法研、てん菜育種研 |
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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1.特性一覧表・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ |
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系統名 | てんさい「北海54号」 | 組合せ | (MOMS 23×MOTO 95)×NK-152 | |||||||||||||
特性 | 長所 1. 高糖性(根中糖分:高)である。 2. 品質が良い。 |
短所 1. 収量(根重)が「ハイラーベ」よりやや劣る。 |
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採用道府県と普及見込面積 | 北海道 ; 4,000ha | |||||||||||||||
調 査 地 | 育成地 (北海道農業試験場) | |||||||||||||||
形質\品種・系統 | 北海54号 | ハイラーベ(対象) | モノエース(比較) | モノホマレ(標準) | ||||||||||||
倍数性 | 二倍体 | 三倍体 | 三倍体 | 二倍体 | ||||||||||||
種子の胚数 | 単胚 | 単胚 | 単胚 | 単胚 | ||||||||||||
葉姿 | 直立 | や開平 | や開平 | 直立 | ||||||||||||
葉色 | や濃緑 | 中 | 中 | や濃緑 | ||||||||||||
葉形 | 皮針 | 楕円 | 楕円 | 皮針 | ||||||||||||
葉身の大きさ | や小 | 中 | 中 | や小 | ||||||||||||
葉面縮 | 多 | 中 | 中 | 中 | ||||||||||||
根形 | や短円錐 | 円錐 | 短円錐 | 円錐 | ||||||||||||
トップ重 | や少 | 中 | 中 | や少 | ||||||||||||
T/R比 | や低 | や低 | や低 | 低 | ||||||||||||
抽苔性 | 少 | 少 | 少 | 少 | ||||||||||||
褐斑病抵抗性 | 弱 | 弱 | 弱 | や強 | ||||||||||||
調 査 地 | 北海道農業試験場 | 十勝農業試験場 | 北見農業試験場 | |||||||||||||
形質\品種・系統 | 北 海 54 号 |
ハイラ ーベ |
モノエ ース |
モノホ マレ |
北 海 54 号 |
ハイラ ーベ |
モノエ ース |
モノホ マレ |
北 海 54 号 |
ハイラ ーベ |
モノエ ース |
モノホ マレ |
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根重 | 94 | 96 | 94 | (6.03) | 93 | 94 | 95 | (6.37) | 92 | 98 | 96 | (5.66) | ||||
根中糖分 | 103 | 98 | 102 | (16.52) | 104 | 99 | 102 | (17.58) | 104 | 98 | 102 | (17.63) | ||||
糖量 | 97 | 94 | 96 | (997) | 96 | 92 | 96 | (1,120) | 96 | 96 | 98 | (999) | ||||
(調 査 年 次) | 昭和60〜63年 | 昭和60〜63年 | 昭和60〜63年 | |||||||||||||
品 質 |
ナトリウム | 75 | 127 | 107 | (1.01) | 86 | 105 | 95 | (0.21) | 77 | 113 | 108 | (0.64) | |||
カリウム | 99 | 104 | 102 | (3.92) | 96 | 106 | 98 | (3.48) | 94 | 110 | 103 | (4.06) | ||||
可溶性窒素 | 95 | 99 | 86 | (1.33) | 106 | 115 | 103 | (0.99) | 95 | 127 | 103 | (1.47) | ||||
不純物価 | 92 | 108 | 96 | (3.96) | 95 | 110 | 98 | (2.79) | 90 | 118 | 102 | (3.66) | ||||
修正糖分 | 105 | 97 | 100 | (14.42) | 104 | 97 | 102 | (16.15) | 105 | 97 | 102 | (15.85) | ||||
修正糖量 | 98 | 93 | 96 | (869) | 97 | 91 | 96 | (1,046) | 96 | 93 | 98 | (917) | ||||
(調 査 年 次) | 昭和60〜63年 | 昭和61〜63年 | 昭和61〜63年 |
2.「北海54号」の特記すべき特徴
「北海54号」はオランダのファンデルハーベ社の保持する種子親「MOMS 23×MOTO 95」と北農試育成の多胚花親「NK-152」を交配して育成された単胚二倍体一代雑種である。
本系統は現行品種中もっとも高糖性で、また「モノヒカリ」に次ぐ高品質性を示す。根重は「ハイラーベ」よりやや少ないが、糖量は「ハイラーベ」並またはこれに勝り、修正糖量は「ハイラーベ」より多い。抽苔性は「モノホマレ」並の「少」で全道に適応し、採種性も良い。褐斑病および根腐病抵抗性は欧州品種と同じく弱い。そう根病の軽度発生ほ場では「モノヒカリ」並の耐性を示す。
外部形態では、葉色が濃緑で葉面の縮の多い点が特徴であり、葉姿は直立、葉形は皮針形で、根形は円錐形と短円錐形の中間に位する。
3.奨励品種に採用する理由
近年てんさい製糖コスト引き下げの一環として原料てんさいの高糖・高品質化に多くの努力が重ねられ、全道糖分平均はかなり高水準に達している。しかし、なお道内の糖分分布に幅広い変異があり、取引制度に示す基準糖度(16.5%〜16.9%、昭62年度)に達しないてんさい原料は全体の27%を占め、これら低糖分原料の生産地は全道に広く散在している。
「北海54号」は根中糖分および品質にすぐれ、糖量および修正糖量はほぼ現行品種の水準に達していることから、通常の栽培技術の適用では解決が困難な道東の一部泥炭地および沖積地を主とする多収・低糖分地域を中心に、主として「ハイラーベ」に置き換えて普及し、当該地域の糖分と製糖歩留りの向上を図る。
4.普及見込地帯 全道一円
5.栽培上の注意
道東および道北の一部沿海地域ではまれに当年抽苔の発生することがあるので極端な早まき育苗を避ける。