(作成 63年12月)

1.課題の分類  北海道 果樹 栽培−ハスカップ 繁殖
2.研究課題名  特産園芸作物の繁殖法に関する試験 (2)ハスカップの繁殖法
3.予算区分  道単 共同
4.研究期間  (昭58〜 年)(昭61〜63年)
5.担当  中央農試園芸部、北海製缶㈱缶詰研究所・ホクレン農業総合研究所
6.協力・分担関係


7.目的
 ハスカップ優良系統の増殖方法について検討する。

8.試験研究方法
1)組織培養に関する試験
 (1)茎頂培養
  ①NAA、BA濃度 ②茎頂の採種時期 ③GA3濃度 ④MS培地の無機塩濃度
 (2)シュートの発根
  ①培地の種類 ②MS培地の無機塩濃度 ③IBA濃度 ④移植シュートの形態
2)組織培養苗の育苗に関する試験
 (1)夏期順化養成方法
 (2)冬期順化養成方法
3)挿木繁殖法に関する試験
 (1)挿木時期 (2)マルチ (3)挿穂の取扱い (4)IBA処理 (5)挿木後の管理
4)培養株と挿木株の比較


9.結果の概要・要約
1)組織培養に関する試験
・ハスカップの組織培養による増殖法を検討した。
 ①10〜4月の冬芽の頂芽、または腋芽の茎頂を材料とし、MS培地にBA1.0mg/Lを加えた培地で培養する
  と、70〜90%培養確率できた。
 ②継代培養による増殖率は2〜3倍/20日であった。
 ③シュートの発根はMS培地の無機塩濃度を1/4〜1/8に希釈し、IBAを1.0mg/L加えた培地で70〜100%
  であった。
2)培養苗の育苗に関する試験
・培養苗の育苗方法について、露地・温室・暖地における育苗について検討した。
 ①早期(5月下旬頃迄)に順化が終了した場合は、露地育苗でよい。
 ②夏期(7月中旬頃迄)に順化が終了した場合は、温室育苗で大苗を得られる。
 ③秋期(9月下旬)に順化が終了した場合は、露地へ出すと生育量の増は期待できず、生存率も低くなる。
  温室内又は暖地(無加温ハウス)における育苗が必要である。管理面から、暖地育苗が簡便で良好のよ
  うである。
3)ハスカップの挿木繁殖法
・露地における休眠枝挿しについて検討した。
 ①挿木時期:秋挿しと春挿しの比較を行ったところ、秋挿しで活着率がやや高かった。
 ②マルチの有無:春挿しではポリマルチにより活着率が向上したが、秋挿しでは無マルチとの差が明らか
  でなかった。
 ③挿穂の取扱い:2年枝以上の古枝を挿す場合、葉面積を制限する目的で1年枝部分を切除して挿したも
  のは、そうでないものより活着率が高かった。
 ④IBA1%粉剤を挿穂基部の切口に処理することにより、活着率が高まった。
 ⑤系統により、挿木の難易度に差がみられるようである。
 ⑥挿穂の枝齢と活着の良否との関連は明らかでなかった。
4)培養株と挿木株の比較
・培養株と挿木株の生育について、定植2年目に比較した結果、挿木株に比べて、培養株の生育は極めて旺盛であった。


10.成果の具体的数字

図1  ハスカップの茎頂培養によるシュートの生長(MS,BA1.0mg/L)
 
図2  増殖の方法(MS,BA1.0mg/L)


表1  培地の無機塩濃度とシュートの発根(培養40日 IBA 1.0mg/L)
  置床数(個) 発根個体(個) 発根率(%) 根数(本) 最大根長(cm)
1/2MS 13 10 77 1.9 1.6
1/4MS 13 11 85 2.6 1.9
1/8Ms 13 9 70 2.6 2.0


11.成果の活用面と留意点
(1)ハスカップの繁殖方法の資料とする。
(2)挿し木繁殖の場合、挿し穂の長さは15〜20cmとし、10cm程度の深さに挿す。

12.残された問題とその対応