完了試験研究成績  (作成 64年1月)

1.課題の分類  食品 カボチャ−流通利用適性
           北海道
2.研究課題名  カボチャの冷凍適性向上に関する試験
3.予算区分  道単
4.研究期間  (昭和61年〜63年)
5.担当  中央農試園芸部流通加工科
6.協力・分担関係


7.目的
 冷凍適性の優れたカボチャの収穫、選別方法について検討するとともに適切なブランチング、冷凍方法について明らかにする。

8.試験研究方法
(1)冷凍カボチャ製造企業のアンケート調査
 冷凍野菜を製造している道内20数社にアンケートを発送し、13社から回答を得た。
(2)市販冷凍カボチャの検討
 62年製造の市販冷凍カボチャ(5社)を調査、分析
(3)ブランチングに関する試験
 オートクレイブを用い、加熱条件を検討
(4)冷凍法と果実品質に関する試験
 凍結(瞬間、緩慢)×貯蔵日数(12,29,95日)
(5)カボチャ果実の発育と成熟に伴う成分変化
 雌花の開花日を0として、5日ごとに調査、分析
(6)果実成分評価に関する試験
 果肉色のa値と全糖含量、水分含量と澱粉含量の関係

品種:えびす
調査項目:全糖、澱粉、水分含量、色調、パーオキシターゼ活性


9.結果の概要・要約
(1)冷凍適性を備えたカボチャとは甘味(全糖含量6.5%以上)と粉質感(澱粉含量8%以上)のあるカボチャであ
 る。食味の悪い市販冷凍カボチャは原料の澱粉含量が低く、冷凍カボチャは原料の品質によって決まると
 考えられた。
(2)ブランチング指標となっているパーオキシターゼ活性は80℃で失活を始めることから、カボチャのブラン
 チングにおいては果実の中心品温が80℃に達してから、酵素が失活するまでの6分間の加熱が適当で
 あった。
(3)液体チッソを用いた瞬間凍結は解凍後、果肉からのドリップが少ないことから、緩慢凍結より優れていた。
(4)カボチャの発育・成熟に伴う成分変化から、冷凍用カボチャの収穫期は開花後35日以上と考えられた。
 収穫まもない果実は荷崩れしやすく、甘味が不足しているのでキュアリング、貯蔵を行うことにより糖化を
 促進してから冷凍用カボチャとして用いるのが望ましい。
(5)果実内の全糖含量は果肉色のa値から、澱粉含量は水分含量から推測できた。また、a値と水分含量の
 測定の併用により、カボチャ果肉の品質を判定することが可能となった。
   y=0.629x−2.86(x:a値、y:全糖含量)
   y=-1.324x+110.7(x:水分含量、y:澱粉含量)


10.成果の具体的数字

 
図1  ブランチング処理による
中心品温と酵素活性の変化
図2  カボチャ果実の成熟に伴う成分変化
 
 
図3  カボチャの果肉色と全糖含量の関係 図4  カボチャの水分含量と澱粉含量の関係


11.成果の活用面と留意点

12.残された問題とその対応
 ・簡便な水分含量の測定法の検討
 ・収穫時の打撲等による品質低下の解明