【指導参考事項】
完了試験研究成績(作成 昭和64年1月)
1.課題の分類  総合農業 生産環境 土壌肥科 2-2-2
          農業環境 資材動態 肥科 廃棄物 4-2-2
          北海道 土肥環保 環境保全 廃棄物
2.研究課題名  花きに対する石灰系汚泥コンポスト施用効果
3.予算区分  受託
4.研究期間  61〜63年
5.担当  中央農試園芸部野菜花き第二科
           農芸化学部土壌肥料科
6.協力・分担関係

7.日的
石灰系下水汚泥コンポストの花きに対する施用効果について検討する。

8.試験研究方法
供試品目(品種):シュッコンカスミソウ(ブリストルフェアリー)[61,62.63年]
[試験年次] トルコギキョウ(紫苑[61年]、霧の峰,藤の峰[63年])
       スプレイカーネーション(ライラック、ジョリベッティ)[62,63年]

試験処理: コンポスト0,100,200,(400),(800)kg/a
炭カル0,30,60,120kg/a,(スプレイカーネーション除く)
( )は一部品目、3要素はそれぞれ1.5(シュッコンカスミソウ)、3
(トルコギキョウ)、5(スプレイカーネーション)kg/aになるように
コンポストに含まれる窒素、リン酸を減量して施肥、窒素はIB窒素,リン
酸は過石、加里は硫加を使用
供試土壌:褐色低地土、一部褐色森林土(63年シュッコンカスミソウ)
試験規模:場内パイプハウス内(無加温)隔離ベット(61,62年)、枠試験(63年)

9.結果の概要・要約
(1)シュッコンカスミソウでは1年目に200s/a以上施用した区(褐色低地土)で、生育、採花が遅れる傾向にあったが、褐色森林土の200s/a区ではそのような傾向はみられなかったコンポスト100s/a区は無施用区に比べ切花重は増加していた。コンポスト施用区と炭カル施用区と比較しては切花品質に差はみられなかった。2年目ではコンポスト施用の有無による生育、品質差はなく、残効はないものと考えられた。
(2)トルコギキョウではコンポスト施用により切花長、切花重、葉数、蕾数が増加し、切花品質は向上した。炭カル施用区と比較して、切花長では差は認められなかったが、切 花重、葉数、蕾数はやや多かった。
(3)スプレイカーネーションではコンポスト施用により切花長、切花重が増加する傾向を示した。
(4)コンポスト100s/a区は炭カル30s/a区と同等もしくはそれ以上の生育、切花品質を示し、コンポストは石灰質資材としての効果が認められた。
(5)コンポスト中には窒素、リン酸が含有されているので施用に際しては減肥が必要である。
(6)トルコギキョウ、スプレイカーネーションは200s/a施用区で切花品質が優れる傾向が認められたが、pHの上昇による後作への影響、重金属の蓄積、従来の基準との整合性などを考慮にいれた結果、花き(シュッコンカスミソウ、トルコギキョウ、スプレイカーネーション)に対するコンポスト施用量は100s/aを限度とする。

10.主要成果の具体的数字
表 シュッコンカスミソウ切花調査結果(1年株)

試験
年次
施用量
s/a
採花始
月/日
50%採花
日(1.5本
/株)
切り花長
cm
生重
g/本
調整重
(90p)
g/本
節数
(調整時)
茎径
(10節
目)o
61 0 9/10 9/11 85.3 90 71 20.1 2.7
100 9/10 9/12 84.6 88 70 20.5 2.6
200 9/10 9/15 85.9 98 76 20.7 2.7
400 9/10 9/16 82.3 85 76 20.5 2.5
800 9/10 9/22 81.6 79 81 21.0 2.6
63 0 8/30 9/1 97.8 153 109 20.1 4.0
100 8/26 9/1 96.5 168 116 20.3 3.6
200 8/26 9/1 95.3 168 120 20.2 3.2

表 トルコギキョウ切花調査結果(61年)

施用量
s/a
採花本数
本/区
切花長
cm
切花重
g
葉数
蕾数
ケ/本
茎径
mm
G.M.値
(葉部)
0 19.5 64.6 101 118 41.7 6.5 54.8
100 21.0 66.5 111 135 47.6 6.4 56.2
200 19.0 70.8 133 150 53.3 6.6 60.0
400 19 66.0 121 133 46.4 6.3 58.9

表 スプレイカーネーション切花調査結果

品種
試験
年次
施用量
s/a
採花
本数
本/株
切花長
cm
切花長
70p以
上割合
生重
g/本
調整重
(55cm)
g/本
分枝数 蕾数
ケ/本






62 0 1.1 73.8 94 73 33 4.9 5.5
100 1.2 75.0 80 76 33 4.9 5.2
200 1.4 76.9 94 76 32 4.8 5.2
400 1.0 73.8 74 81 35 4.7 5.3
63 0 2.0 64.4 19 62 38 4.7 5.5
100 1.7 66.5 32 67 37 4.7 5.7
200 1.7 66.2 35 68 39 5.0 6.1




62 0 1.8 70.3 53 41 22 3.9 5.6
100 1.7 71.3 64 44 22 3.9 5.7
200 1.7 71.1 73 47 22 4.8 5.7
400 1.5 72.1 78 48 24 4.0 5.6
63 0 2.9 58.9 2 44 32 3.9 5.5
100 2.4 60.7 0 45 28 3.9 5.5
200 2.5 59.3 6 45 30 3.9 6.2

11.成果の活用面と留意点
施用基準、土壌管理を遵守する

12.残された問題とその対応